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増田啓介(川崎ブレイブサンダース #11)
福岡大附大濠高校時代に初めてプレーを見た時以来、増田啓介は非凡なスキルがある選手と印象を持った。あまり強い向上心を持っている選手ではなかったが、筑波大2年生時にU19ワールドカップで世界レベルを体感するなど、着実に成長曲線を描いていたのは明らかだ。
川崎ブレイブサンダースのメンバーとして3年目、プロとして1年目となる今シーズン、増田は千葉ジェッツ戦で23点を奪うなど、攻防両面で活躍の機会が増えている。今回のミニインタビューでは、以前よりうまくなりたいという向上心が少し強くなった点、相手の脅威になっているシュート力についてなどについて話を聞いた。
Q 特別指定の時代を含めると川崎では3シーズン目。チーム内における自分の役割を理解し、プロとは何かというのを認識しましたか?そう思える理由があれば教えてください。
「そんな自分の中でプロになったからとかなっていないとかというところは、特段変わったわけじゃないです。チーム内の役割という部分でやはり川崎は年齢層が周りのチームに比べて高いので、自分や副キャプテンの青木(保憲)さんが練習でも試合でもアグレッシブにプレーして、ディフェンスはハードにハッスルしてチームに少しでも勢いを与えるということを意識してやっています」
Q 我が道を行くタイプだけど欲がない、福岡大附大濠高3年時のウインターカップで負けた後もあまり感情が出ていなかった記憶があります。でも、今はもっとうまくなりたいという思いや感情が出るようになってきましたか?
「やはり、川崎ブレイブサンダースは先輩たちが本当にうまくて、自分が少しでも追いついていくことがチームのプラスになると思うので、もちろん個人でうまくなりたいという気持はありますけど、チームに少しでもいい影響を与えられたらと思います」
Q 千葉戦で自己最高となる23点を記録しただけでなく、4Q残り2分12秒での結果的に決勝点となる3Pシュートを決めました。プロとして自分はやれると感じた試合でしたか?それとも、別に以前からそう思えるところはありましたか?
「どうですかね…。やれるとかやれないとかあまり考えていなくて、千葉戦も特段何とかしてやろうというとかそういうわけではなく、結構夢中でやっていたら…っていう感じでした。ハセさん(長谷川技)がすぐにファウルをしてしまったというのも相まって長く出られたのも関係あると思いますし、いつも通りという感じでした。自分の中では…」
増田啓介(川崎ブレイブサンダース #11)
Q 高校時代からミドルレンジのシュートがうまいという印象があって、筑波大の時にシュートレンジが広がり、今は3Pシューターとして存在感を示す機会が増えています。シュートに関しては子どものころから自信があったのですか?
「いや、全然そんなことはなくて、それこそ高校に行ってから『もっとシュート打っていいじゃない』と片峯(聡太)先生に言われました。大濠では先輩後輩でペアがあって、自分が1年生の時は杉浦佑成(島根スサノオマジック)さんだったんです。一緒にシューティングをしていて、佑成さんはすごくシュートが入っていたんです。自分が1年生で佑成さん3年生なのに、自分にも結構打たせてくれるんですよ。でも、自分は入学当初全然入らなくてめちゃ外していたので、『これはまずいぞと』思い、牧(隼利:琉球ゴールデンキングス)とシューティングをしていたら、ちょっとミドルが得意になったという感じです」
Q U19ワールドカップの時にすごく3Pシュートが入っていたから、上達したという印象を持ちました。あの頃は自分でもうまくなっているという感触がありましたか?
「いやぁ何と言うんですか、大学のころは先輩たちがすごく優しくて、特に自分がU19に行った時は2年生で、(青木)ヤスさんが4年生。『“好きに攻めていいよ”という感じで、自分たちがフォローするから増田とか牧は自由にプレーしなよ』みたいな感じですごく支えてくれたので、普段の試合からとにかく攻めたり自由にやらせてもらったので、そういうのがかなりあると思います」
Q 千葉ジェッツのシャノン・ショーター、富山グラウジーズのジュリアン・マブンガというウイングでプレーする外国籍選手とのマッチアップで奮闘しました。2017年のU19ワールドカップでもポジションが違うとはいえ、自身より大きな選手とのマッチアップすることを経験しています。彼らのような選手に対するディフェンスで心がけていたことは何ですか?
「自分だったり、クマさん(熊谷尚也)だったり、ハセさんがつくというのは、相手も体が大きくて力も強いと思うので、特に自分なんかは今のチームで1試合ずっと出るわけではないので、出ている時間帯で体を当てたりして、相手の外の外国籍選手はずっと長い間出るので、少しでも体を当ててフラストレーションを溜めさせたり、体力を削っていけたらということを意識しています」
Q 体を当てるということは、U19の経験が生かされてていますか?
「そうですね。ずっとインサイドをやっていて体を当てることが多かった。インサイドをやっていた経験(が生きているの)は少なからずあると思います」
Q リーグ戦再開後最初の試合が東地区首位を走る宇都宮ブレックス戦。勝利へのカギと意気込みを話してもらえますか?
「今の川崎は外国人選手2人がケガをして、その試合に間に合わないです。一方、宇都宮さんは元々何年も同じような選手たちと、さらに新しくLJ・ピーク選手だったり、テーブス(海)選手が入って、本当に強い、勝率も今トップを走っているチームなので、そこに勝つというのは技術どうこう言うよりも、気持ちの面で負けないようにしていくというのが本当に大切だと思います。特にブレックス・アリーナの応援は本当にすごいので、その圧に負けないように自分たちから盛り上げてやっていくのが大切かなと思います」
Q 最後に増田啓介が目指す理想のバスケットボール選手像とはどんなものですか?
「え〜、一番むずいですね、何だろう…。理想のバスケット像ですか…。今はそんなこういうのになりたいというのがないというのは本心ですけど、でも自分の課題というのはまだまだいっぱいあると思うので、そういうのを一つ一つ練習で解消していって得意な分野を伸ばしていったら、もう少しいい選手になれるんじゃないかなと思います」
Q 上手になりたいという気持は持っているということですね?
「そうですね、はい」
文:青木 崇
【Bリーガーインタビュー】
川崎ブレイブサンダース 11番/SF 増田啓介(取材日:2020年11月19日)
青木 崇
NBA専門誌「HOOP」の編集者からフリーのバスケットボールライターとなる。NBAファイナル、NCAAファイナル4、世界選手権などビッグイベントの取材や執筆活動を行なっている。
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