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ドラゴンズ1位指名の中西聖輝(青山学院大学)
10月も下旬に入り、一気に寒くなってきた。季節は秋である。同時にこの時期は、アマチュア選手の進路イベントがある。そう、プロ野球ドラフト会議だ。
今年は支配下73人、育成43人の合計116人がプロへの扉を開いた。本稿では中日ドラゴンズに指名された選手についてまとめたい。
中日ドラゴンズ 2025 ベストゲーム
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◆中西・櫻井のライバル物語が開演
支配下指名を受けた選手は6名。詳細は以下の通り。
1位:中西聖輝(なかにし・まさき)青山学院大学・投手
2位:櫻井頼之介(さくらい・よりのすけ)東北福祉大学・投手
3位:篠崎国忠(しのざき・くにただ)四国ILplus徳島・投手
4位:能戸輝夢(のと・きらむ)明秀日立高校・外野手
5位:新保茉良(しんぽ・まお)東北福祉大学・内野手
6位:花田 旭(はなだ・あさひ)東洋大学・外野手
1位は青山学院大学のエース・中西を獲得。井上一樹監督は前日までに投手への入札意向を示していたが、誰を指名するかは公表せず。競合覚悟で指名し、その勇気もあってか、単独入札で交渉権を手に入れた。
中西は総合力の高さが武器の先発右腕で、150キロ前後の速球を軸にカーブ、フォークを織り交ぜる。タイプとしては菅野智之(オリオールズ)が近いか。智弁和歌山高校、青山学院大学でチームを「日本一」に導いており、プロの世界でも「勝てる投手」を目指す。
2位の櫻井も中西と同様、総合力で勝負できる右腕。175cm・68kgと体格には恵まれないが、最速153キロの速球と多彩な変化球で打者を翻弄する。サイズ感は異なるものの、山崎伊織(巨人)とイメージが被る。
マウンド上で闘志をむき出しにする中西に対し、櫻井はポーカーフェイスで闘志を内に秘める性格。中西は指名後の会見で「ヨリと切磋琢磨して、2人で高いレベルを目指していければ」と共闘を誓えば、櫻井は「同じチームのライバルになったので勝ちたい」と対抗心をチラリ。2人の物語はこれからどう綴られるのか。
3位の篠崎は193cm・107kgの巨漢で、最速157キロの豪速球が持ち味。まだ20歳と若く、粗削りな部分はあれど、ショートイニングなら1年目から一軍に割って入れそう。プロの投手として洗練されたらどうなるのか、成長の行く末が気になる。
◆4位以降はスケール感のある野手が揃う
4位以降はスケール感のある野手が指名された。
支配下で唯一の高校生・能戸は左のスラッガーで、広角に長打を放つのが武器。強肩と俊足も兼ね備える。最後の夏は茨城大会で14打数7安打の大当たりを見せていたが、準々決勝で左足首靱帯を損傷。準決勝と決勝は欠場するも、チームメイトが甲子園に導き、能戸も聖地で代打出場を果たしている。
明秀日立高校とドラゴンズといえば、大先輩に細川成也がいる。タイプは異なれど、同じ外野手として教えを請う場面もあるだろう。良い先輩・後輩の関係を築いてもらいたい。
5位の新保はアクロバティックな守備が持ち味の遊撃手。6月の大学選手権で一発を放つなど、打撃面も成長の跡を見せている。
東北福祉大学では3年秋からベンチ入り、4年春からレギュラーと遅咲き。というのも、2年の春に「野球がつまらなくなった」と一度退部を決意。それを翻意させたのが2位指名の櫻井だった。なんという縁だろうか。野球の神様は粋なことをしてくれるもので、プロでもその絆を発揮してもらいたい。
6位の花田は187cm・87kgの大型外野手。長打力が最大の持ち味だが、強肩と俊足ぶりも東都大学リーグで有数の逸材。大阪桐蔭高校出身で、根尾昂の後輩にあたる。本人も「根尾さんのような意識の高い選手に」と目標を語り、ドラゴンズでのプレーを楽しみにしているようだ。
◆育成ドラフトで3人指名
育成ドラフトは3人の選手が指名された。詳細は以下の通り。
1位:牧野憲伸(まきの・けんしん)オイシックス新潟・投手
2位:石川大峨(いしかわ・たいが)掛川西高校・内野手
3位:三上愛介(みかみ・あいすけ)四国ILplus愛媛・外野手
育成1位の牧野は26歳の左腕。ファーム球団・オイシックスではシーズン途中から8回を任され、41試合に登板。4勝3敗、防御率2.90の成績を残している。
最速153キロの速球を軸に、チェンジアップで打ち取るのが投球スタイル。「憲伸」という名前だったり、育成1位から侍ジャパンに成り上がった松山晋也の存在だったり、牧野には追い風が吹いているような気がしている。
育成2位の石川は187cm・92kgの大型内野手。2年夏の甲子園では「7番・一塁」として出場している。今夏は静岡県大会の直前に左手首を骨折し、わずか1打席のみ。それでも体格の良さとスイングの豪快さでプロへの挑戦権を得た。憧れのアーロン・ジャッジ(ヤンキース)のような愛される大砲を目指す。
同3位の三上は俊足強肩の左打者。四国ILplusでは今季、打率.295&43盗塁をマーク。右翼守備では度々レーザービームを発動し、走者の進塁を防いできた。まだ21歳と若く、自らの武器を磨いて支配下争いに加わりたい。
文:加賀一輝
加賀 一輝
1988年3月6日、愛知県生まれ。2016年~23年まで『スポーツナビ』にて編集・編成を担当。在職中に五輪・パラリンピックへの派遣、『Number』『文春オンライン』等への寄稿を経験。24年より独立。スポーツに関するライティング、編集、MCなど幅広く活動する。趣味は草野球で、1週間で20イニング投げることも。Xアカウント
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