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野球 コラム 2025年4月18日

今永昇太のエース哲学

MLBコラム by 山田 結軌
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3月、練習中の今永

勝敗の責任を背負い、エースとしての哲学がある。カブスの今永昇太(31)は自身へ降りかかるピンチを逆説的に捉えている。

「自分の中ではあのようなことが起こってしまった時には、チャンスだと捉えなければいけないと思っている。あそこを抑えてベンチや周りのプレーヤーからの信頼を得られると思う。僕は今日、そのチャンスを逃してしまったので、次回はあそこをしっかり抑えて、周りからの信頼を得たい」

「あのようなこと」とは4月15日、敵地サンディエゴでのパドレス戦。0−0の5回、2死だった。打席には主砲のマチャド。今季は開幕から好調で打率はチーム2位の.324(4月16日終了時点)を誇る。そんな強打者への1球目。ライトのファウルゾーンへフライが上がった。

投手心理としては、完全に打ち取りアウトを確信できる打球。だが、タッカーがライト線付近で打球をグラブに一度は入れながらも、落球してしまった(記録はエラー)。

さらに2ボール1ストライクからの4球目、ホーム上空に上がったフライを三塁手ワークマンがグラブに当てるも捕れず、これもエラーに。その後、マチャドに対して2ストライクから4球ファウルで粘られ、9球目をレフトスタンドに2号ソロを運ばれた。

1打者の間に2エラーと1本塁打が起こる超レアケース。そのため、今永は5回を投げ、ソロ本塁打を打たれたため記録上1失点も、2アウトからこの2エラーがあるため、自責点0が公式記録となった。

2月のオープン戦での今永

ピンチはチャンス、とは日本で古くから伝承されてきた格言のようなものだが、投げている投手にしてみれば、目の前のピンチは、ピンチに変わりない。だが、その上で今永は「チャンスと捉えなければいけない」と考えている。

それは、信頼を高めるため。バックを守る仲間はミスをすることもあれば、助けてくれることもある。だからこそ、立て続いて起こってしまった守備のミスで生じた嫌な流れを断ち切りたい。そんな心境だったに違いない。

しかし、結果はホームラン。試合自体は延長戦の末、2−1でカブスが勝利したことで今永の気持ちをいくぶん、楽にしたかもしれない。

ただ、5イニングで自責点0は、立派な好投。左腕のスティールが左肘の手術で復帰が来季以降になることを考えれば、今後は今永にはエースとしての期待が大きくかかり、責任も重くなってくる。

そんなチーム状況以前に今永は横浜DeNA時代から、そんなエースの哲学を持っていたことが、守備が招いたピンチは自身の信頼を高めるチャンス、と捉える思考が証明している。

通常の先発ローテーションの順番なら、次回の先発は4月22日(日本時間23日)、シカゴでのドジャース戦。昨季のワールドシリーズ覇者とは、3月18日の開幕戦以来の今季2度目の対戦。現在はナ・リーグ中地区で首位のカブスが混戦を抜け出すためには、今永の登板試合で勝利を積み重ねることが必須だ。

文/写真:山田結軌(MLBジャーナリスト)

山田結軌(やまだ・ゆうき)

山田 結軌

1983年3月生まれ、新潟県出身。立教大時代にJ SPORTSの野球班でプロ野球中継の現場でスコアブックを書くアルバイトを経験した。サンケイスポーツに2007年4月入社、阪神、広島、楽天などを担当し、2016年2月より大学時代から夢みたMLB取材を続けている。2025年2月に18年間務めたサンケイスポーツを退社しフリーに転身。

X(旧:Twitter)
@YamadaMLB

Instagram
yukiyamada_mlb

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