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レギュラーシーズンもいよいよ佳境、既に地区優勝やポストシーズン進出を決めているチームが出て来ている一方で、ア・リーグ西地区はワイルドカード(以下WC)争いも絡んだ熾烈な優勝争いが展開、現地9月21日終了の時点で首位アストロズと同率2位のマリナーズとレンジャースが0.5ゲーム差という大接戦が繰り広げられています。ディビジョン=地区制が採用された1969年以降、残り10試合以内で同じディビジョンに所属する3チームが首位と0.5ゲーム以内の差になったのは史上初とのこと。しかもマリナーズとアストロズの直接対決が3、マリナーズとレンジャースに至っては直接対決が何と7試合も残っている!日程を組んだ人の慧眼たるや、凄いを通り越して恐怖すら感じますよね……。
1位が2チーム、2位が2チーム、あるいは3チームが同じ勝率で並ぶ、なんてパターンも考えられますが、その場合はかつて開催された「Game 163」→いわゆる1試合のプレーオフは実施せず、該当チーム同士の直接対決による勝敗数で順位が決まります。
アストロズ対レンジャースはアストロズが勝ち越し、マリナーズとアストロズは3試合を残しながら既にマリナーズが勝ち越し決定。レンジャースとマリナーズは7試合残してレンジャースが現在5勝1敗なので、レンジャースがあと2勝すれば勝ち越しが決まります。となると、3チームが同率でシーズン終了した場合、直接対決でも三つ巴になってしまい、決められなくなってしまう……。その場合、次に重要になってくるのは、所属地区での成績、つまりア・リーグ西地区内での勝率になります。
現地9月21日現在でアストロズが30勝19敗、マリナーズが29勝13敗、レンジャースが23勝19敗。レンジャースが不利という状況が出てきました。該当チームと直接対決しか残っていないマリナーズ、そのマリナーズ以外にはエンジェルス(今季5勝5敗)と3試合残っているレンジャース。アストロズは今季100敗超えのロイヤルズと3試合、そしてナ・リーグのワイルドカード争いを繰り広げているダイヤモンドバックスとの3連戦が最後に残っています。
また、この3チームにWC争いで絡んでくるのが、ア・リーグ東地区3位のブルージェイズ。残り試合は地区優勝争いをオリオールズと繰り広げているレイズと6、そして1990年以来となる地区最下位はどうしても避けたいヤンキースと3、こちらも楽では無い日程が残っています。
それから各チームが2試合を消化、レンジャースはマリナーズに連勝し勝越し決定、アストロズはロイヤルズに何と連敗。ブルージェイズはレイズに初戦先勝したものの、第2戦は5点差を逆転して最終回を迎えながらサヨナラ負けで1勝1敗。少しレンジャースが抜けだした感がありますが、残り一週間、まだまだ予断を許しません。
日本時間10月2日(月)午前4時台に一斉プレイボールの「Game 162」に向けて、みなさん前夜は早寝して備えましょう……!
そして、ナ・リーグもWC争いが混沌として参りました。
現地9月21日現在でWC枠1位のフィリーズが若干抜けつつあり、3ゲーム離れて9月は12勝7敗と絶好調の同2位ダイヤモンドバックス、そこから2ゲーム差で同率3位に位置するのが、9月は不調8勝12敗のカブス、片や12勝7敗と好調のマーリンズ。更にそこから0.5ゲーム差でレッズが追走しています。この熾烈なWC争いの中、実はキャスティングボートを握るチームがあります。それはピッツバーグ・パイレーツ。
パイレーツはシーズン最終12試合が、カブス、レッズ、フィリーズ、マーリンズと各3試合。つまりWCを争う5チームのうち4チームと対戦、そしてカブスには2勝1敗と勝ち越しました。後半戦は31勝32敗とほぼ5割、9月は11勝8敗と勝ちが先行、8月28日以降だと5連勝を含む14勝8敗と絶好調。長期契約を結んだケブライアン・ヘイズやブライアン・レイノルズ、そして今季オールスターに選出されたクローザーのデイヴィッド・ベドナーと先発投手ミッチ・ケラーといったコア・メンバー以外は、来季以降の生き残りを賭けたオーディションが繰り広げられている状態です。現在は何と12人ものルーキーがロースターに入り、その若手の成長を、そしてチームの未来を、ファンも感じている様子です。
2015年を最後にポストシーズンは出ていないパイレーツ、9月になるとNFLスティーラーズの方に市民は意識が向いてしまい、本拠地PNCパークは閑古鳥が毎年の様に鳴いていましたが、今年はちょっと様子が違う。9月17日(日)に行われた試合は、ヤンキース戦ということが若干影響したものの、PNCパークになんと3万人に迫る観衆を集めました。デレク・シェルトン監督は「ポストシーズンに似た環境でプレイ出来た経験は、来年必ず役に立つだろう」とコメント、チームとファンの呼吸が合ってきています。
その勢いは選手たちもどうやら感じている模様。
レッズとの三連戦初戦に勝ったパイレーツは現地9月23日、3回終了で0対9と大量リードを許し、今日は流石にレッズの勝ちか……と誰もが思ってしまったであろう中、4回から何と13点とって大逆転、1882年に球団が創設されて以降では最大得点差の逆転勝利を収め4連勝を決めました。シェルトン監督による、目先のシチュエーションに応じた選手起用ではなく、選手毎にプランを設定してそれを遂行させるような冷静な選手起用も、逆に良い結果を残している印象です。
もし、残り試合を全勝したらシーズン81勝81敗、「誰かのために生きられるなら、何もこわくはない」状態のパイレーツ。来年以降が非常に楽しみに、カブスファンのボクからしたら非常に不気味な存在になってきました……。
文・オカモト"MOBY"タクヤ (SCOOBIE DO)
オカモト"MOBY"タクヤ (SCOOBIE DO)
1995年結成、"LIVE CHAMP"の異名を持つロックバンド「SCOOBIE DO」のドラマー兼マネージャー。
MLBコメンテーターとしても精力的に活動し、J SPORTS「MLBミュージック」メインMC、そして2023年シーズンからMLB中継の解説を担当予定。2022年4月には初の著書『ベースボール・イズ・ミュージック~音楽からはじまるメジャーリーグ入門』(左右社)を出版。MLBに関するラジオ出演や執筆活動も多数。2021年にはテレビ東京系ドラマ『生きるとか死ぬとか父親とか』で俳優としてもデビュー。
SCOOBIE DO http://www.scoobie-do.com/
Twitter: @moby_scoobie_do
Instagram: @moby_scoobiedo
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