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野球 コラム 2023年7月12日

ドラフト解禁となる高卒3年目に逸材、都市対抗野球に出場するプロ注目の選手たち。捕手・野手編

野球好きコラム by 大島 和人
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昨年優勝のENEOS

プロ野球ドラフト会議で2021年、22年とも社会人球界から15名が指名されている。2023年春のWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)では源田壮亮、中野拓夢ら、都市対抗出身の野手が世界一に貢献した。今回は第94回都市対抗野球大会に出場する野手、捕手から注目選手を紹介したい。

紹介をするなら誰を置いてもまず度会隆輝(ENEOS)だ。父の度会博文氏はヤクルトで15年に渡ってプレーした元プロ野球選手で、兄の度会基輝もJPアセット証券でプレーしている「野球一家」の出身だ。

183センチ・83キロの左打者で、19歳で迎えた昨夏の都市対抗では打率.429、4本塁打、11本塁打と大活躍。ENEOSの優勝に貢献するともに、個人としてもMVPに相当する橋戸賞に加え、打撃賞と若獅子賞も受賞した。「コンパクトに強く振れる」「ボールへ正確にコンタクトできる」スイングは天性のもの。高卒3年目でドラフトの対象となった今秋には、上位指名を受けるだろう。

横浜高校時代はプロ志望届を出しつつ、ドラフト会議で指名漏れ。しかし、社会人1年目からチームの主力となるなど、その後の台頭は目覚ましい。高校時代は二塁が定位置だったが、今は主にライトを任されている。売りは圧倒的に打撃だが、アスリート性や守備力や高レベル。昨年の決勝後のインタビューで有名になったが、前向きで明るいキャラも魅力だ。

社会人野球は大卒の多いカテゴリーで、強豪ならレベルもNPBの二軍と同等以上。そのため、高卒選手が入社直後から台頭する例は少ない。しかし、今大会は度会以外にもドラフト解禁となる「高卒3年目」の面白い野手が複数いる。

大西蓮(JR東日本東北)は183センチ・88キロで右打ちの内野手。履正社高校出身で1年目は代打起用が主だったものの、2年目からは4番に定着している。JABA所属の若手が選抜チームで臨んだ、昨年の「第4回 WBSC U-23ワールドカップ」では打率5割を記録して首位打者賞を獲得、今年もJABA大会、都市対抗予選で通算3割台の好打率を残している。昨年に比べて三振が減り、四死球が増えているところも成長を感じさせる部分だ。

第94回 都市対抗野球大会

【俺たちの都市対抗】オリックス・比嘉幹貴選手インタビュー

相羽寛太(ヤマハ)は静岡高校から入社して3年目で、178センチ・76キロのショート。好守を評価されて1年目からレギュラー格として起用されていた。「WBSC U-23ワールドカップ」ではショートを中村迅(NTT東日本)に譲ったものの一塁、クリーンアップで起用されていた。スーパーラウンドのオーストラリア戦、メキシコ戦では貴重なタイムリー安打も放っている。チーム内のポジション争いはあるが、間違いなく「有望株」で「プロ注」の1人だ。

大卒組にも楽しみな選手はいる。城野達哉(西濃運輸)は中部大学から入社して2年目の捕手で、179センチ・84キロの左打者だ。彼も「WBSC U-23ワールドカップ」に出場して優勝に貢献している。彼が球界を騒然とさせたのが、今年5月の「JABAベーブルース杯大会」で記録した5打席連続本塁打。JR西日本戦の第2打席、第3打席、第4打席に続き、続くアスミビルダーズ戦でも第1打席、第2打席と連発。しかも「5投手から5本」という快記録だった。

プロ野球では2022年に村上宗隆(ヤクルト)が5打席連続本塁打を記録しているものの、社会人では異例の(おそらく金属バット時代も含めて初の)記録だ。東海2次予選では打棒がやや精彩を欠いたものの、彼ほど「飛ばせる」選手は稀少。守備面も高水準で、今後の楽しみな選手だ。

山田健太(日本生命)は昨年のドラフト会議で、指名漏れが大きな話題になった選手。183センチ・87キロの右打者で、走攻守とも万能な内野手だ。大阪桐蔭高校時代は藤原恭大、根尾昂らとともに春夏連覇を達成し、立教大学でも1年次から不動のレギュラーだった。立教ではキャプテンも任され、侍ジャパン大学代表にも選出されるなど、大学球界の「顔」的存在だった。

不指名に至った各球団の事情は不詳だが、その実力は社会人でもトップレベル。ドラフト指名の対象となるのは来年以降だが、近畿地区2次予選は7試合とも「7番二塁」で起用され、打率.385、7打点と大活躍だった。

文:大島和人

大島 和人

大島 和人

1976年神奈川県で出生。育ちは埼玉で現在は東京都町田市に居住。早稲田大学在学中にテレビ局のリサーチャーとしてスポーツ報道の現場に足を踏み入れた。卒業後は損害保険会社などの勤務を経て、2010年からライター活動を開始。現在はサッカーやバスケ、アマチュア野球など多彩なボールゲームの現場に足を運んでいる。Twitter(@augustoparty

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