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野球 コラム 2023年7月10日

都市対抗野球大会が7月14日(金)に開幕。ドラフト候補に応援団、社会人野球「真夏の祭典」のみどころ

野球好きコラム by 大島 和人
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前回優勝のENEOS

社会人野球の最高峰「第94回都市対抗野球大会」が7月14日(金)に開幕する。32チームが出場し、25日(火)の決勝戦まで東京ドームで31試合が組まれている。

前回大会の王者・ENEOSは予選免除の推薦出場だ。昨夏の大会で入社2年目の19歳で橋戸賞(MVP)に輝いた度会隆輝など、強力メンバーが今大会にも参加する。一方でベスト4入りを果たしたNTT東日本、ベスト8入りしたTDKや、第90回大会の王者・JFE東日本など、各地の予選で破れた強豪も少なくない。

そんな都市対抗のユニークな特徴が「補強選手制度」だ。同地区の敗退チームから最大3名を「レンタル」できる。2次予選を上位で勝ち抜けたチームから、獲りたい選手をピックアップしていく。上記のTDKは4名、JFE東日本とNTT東日本は7名が他チームに補強された。過去の優勝チームを見ると、補強選手の活躍が鍵になっているケースが多い。

社会人野球のレベルは当然ながら高校、大学に比べても高い。NPBとは縁のなかった選手でも、見方によっては「プロ以上」の能力や魅力を持つ選手がいる。また、NPBでキャリアを積んだ後に社会人に移籍する、戻ってくる選手もいる。田澤純一はNPB経験こそないが、メジャーリーグ通算388試合のキャリアを持つ「超社会人級」の大物右腕。日本の独立リーグ、台湾、メキシコを経て、今年は14年ぶりにENEOSへ復帰している。その経験はチームメイトにとっても大きな財産だろう。

もちろん、「これからのNPBを担う若手」を探す楽しみもある。2022年のプロ野球ドラフト会議では社会人野球から15人(投手12人、野手3人)が指名を受けた。今年3月のWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)では源田壮亮(西武)、中野拓夢(阪神)といった都市対抗の卒業生が世界一に貢献している。

グラウンドの外、スタンドにも都市対抗の魅力はある。第94回大会は応援に関する制限が緩和され、各チームの応援団が今まで溜めていたエネルギーを発散してくれるだろう。大企業の社員が相応のリソースを費やし、地域を巻き込み、本気で何千・何万人のお客を盛り上げようとすると、これだけのエンターテイメントが生まれる……。そんな日本企業と地域の「底力」を感じるイベントでもある。

第94回 都市対抗野球大会

【俺たちの都市対抗】オリックス・比嘉幹貴選手インタビュー

Honda各社、セガサミー、ヤマハなどオリジナリティのある応援も多い。ヤマハならば吹奏楽団、特にドラムのパフォーマンスは「必聴」だ。その地域や企業と縁のあるキャラクターが登場することも楽しみのひとつ。昨年の大会ではJリーグ・ブラウブリッツ秋田の「ブラウゴン」がTDKの応援に駆けつけ、スタンドでエネルギッシュなパフォーマンスを見せた。Honda熊本の試合には、恐らく熊本が誇るあの大物キャラクターが登場するだろう。

自分の知る限り都市対抗はふらっと見に来たライトなファンが、気づくと「沼にハマっている」例の高いイベントだ。J SPORTSの中継でご覧いただいても楽しめるはずだが、興味がある方はぜひ一度、東京ドームに足を運んでみてほしい。

各地区からの出場チーム、出場枠は下記の通りだ。

◆推薦(前年度優勝):1枠
・ENEOS(横浜市)

◆北海道:1枠
・北海道ガス(札幌市)

◆東北:2枠
・JR東日本東北(仙台市)
・七十七銀行(仙台市)

◆北信越:1枠
・バイタルネット(新潟市)

◆北関東:2枠
・日本製鉄鹿島(鹿嶋市)
・SUBARU(太田市)

◆南関東:3枠
・日本通運(さいたま市)
・日本製鉄かずさマジック(君津市)
・Honda(寄居町・小川町)

◆東京:4枠
・明治安田生命(東京都)
・JR東日本(東京都)
・東京ガス(東京都)
・セガサミー(東京都)

◆西関東:2枠
・三菱重工East(横浜市)
・東芝(川崎市)

◆東海:6枠
・トヨタ自動車(豊田市)
・ヤマハ(浜松市)
・三菱自動車岡崎(岡崎市)
・王子(春日井市)
・西濃運輸(大垣市)
・東海理化(豊川市)

◆近畿:5枠
・NTT西日本(大阪市)
・ミキハウス(八尾市)
・三菱重工West(神戸市・高砂市)
・パナソニック(門真市)
・日本生命(大阪市)

◆中国:2枠
・JFE西日本(福山市・倉敷市)
・JR西日本(広島市)

◆四国(1枠)
・JR四国(高松市)

◆九州(2枠)
・Honda熊本(大津町)
・西部ガス(福岡市)

文:大島和人

大島 和人

大島 和人

1976年神奈川県で出生。育ちは埼玉で現在は東京都町田市に居住。早稲田大学在学中にテレビ局のリサーチャーとしてスポーツ報道の現場に足を踏み入れた。卒業後は損害保険会社などの勤務を経て、2010年からライター活動を開始。現在はサッカーやバスケ、アマチュア野球など多彩なボールゲームの現場に足を運んでいる。Twitter(@augustoparty

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