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野球 コラム 2023年4月18日

【広島好き】雨を味方に首位浮上。週間MVPは8回無失点の九里亜蓮と11試合連続安打の西川龍馬。『週刊カープいいとこどり』

野球好きコラム by 大久保泰伸
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広島東洋カープ

前回、開幕1発目のコラムで「雨がMVPかもしれない」と書きましたが、新井カープと雨との相性の良さは本物のようです。開幕3連敗を喫したヤクルト相手に、地元で見事にリベンジを果たした先週のカープ。印象に残った出来事を振り返っていきましょう。

◆栗林良吏、4連投でチームは5連勝

昨季も4勝8敗と『鬼門』だったバンテリンドームでの初戦。先発の九里亜蓮が8回4安打無失点の快投を見せ、打線も5打数4安打でダメ押しの2点タイムリーを放った秋山翔吾を筆頭にマクブルーム、西川龍馬のクリーンアップが全4打点を叩き出した。

9回に登板したターリーが安打と四球で無死1・2塁のピンチを招くと、新井貴浩監督はクローザーの栗林良吏にスイッチ。安打と併殺打の間に1点を失ったが、後続を抑えて4セーブ目をマークした。前カードの巨人3連戦全てに登板していた守護神は、移動日を挟んだとはいえ、昨季は1度もなかった、佐々岡真司監督時代には『禁じ手』とも言える4連投となった。

◆『恵みの雨』その1:苦手ヤクルトに雨天コールドで今季初勝利

断続的な雨模様だった先週末の広島地方。開幕3連敗を喫したヤクルトを地元に迎えての3連戦初戦は、2度の中断など終始、降り続く雨の中で行われた。試合は開幕戦の再戦となった大瀬良大地と小川泰弘の両エースの投手戦。

0-0で迎えた6回裏に野間峻祥が決勝点となるタイムリーを放ち、守備のミスで3連敗の戦犯となった神宮の借りを返した。6回無失点の大瀬良は勝利投手の権利を得て降板し、7回は松本竜也、8回はターリーが無失点で抑えた時点で雨が強くなり、雨天コールドゲームにより1-0で勝利した。

◆秋山翔吾、今季1号は劇的サヨナラ本塁打

開幕直後から打率4割台をキープと絶好調の秋山翔吾。15日のヤクルト戦では第4打席までに2安打と3試合ぶりとなるマルチ安打を記録し、1点ビハインドで迎えた9回。2死から代打の堂林翔太が四球で出塁し、打席に入った秋山は、今季この時点まで5試合無失点と好調だったヤクルトの新守護神・田口麗斗からレフトスタンドに飛び込む逆転サヨナラ2ラン本塁打を放った。

今季1号は、西武時代の2012年以来となるサヨナラ弾で、テレビ解説の安仁屋宗八さんが「秋山にはホームランというよりも、間を抜く当たりでなんとか同点に…」と言いかけた直後に飛び出した一発だった。

◆『恵みの雨』その2:中断後の大逆転勝ちで首位浮上

3タテを狙った16日の試合は、この日が誕生日の先発・玉村昇悟が初回に5失点と乱調。4回に1点を返したが、劣勢の展開のまま5回終了時に雨が強まり、試合は49分間の中断。なんとか試合再開となった6回表、1死1・2塁のピンチで濱田太貴が放った安打性のフライを、菊池涼介が後ろ向きでキャッチするスーパープレー。

この超美技で試合の流れが変わり、直後の攻撃で田中広輔の起死回生となる同点満塁本塁打が飛び出した。続く7回に代打で登場した小園海斗が今季16打席目で初安打となる三塁打で出塁し、マクブルームがこの日2本目となる犠飛で勝ち越し。8回には坂倉将吾がダメ押しとなるソロ本塁打を放って同一カード3連勝を決めた。

*****

MVPは投手が完封勝利に等しい快投を見せた九里、野手は先週も秋山の活躍が目立ちましたが、11試合連続安打で週間打率.471をマークしている西川を選出したいと思います。

16日終了時点で送りバントはゼロ、継投策や栗林の起用法など、攻守で『新井カラー』が徐々に見えてきました。酷使も心配される投手陣では、4連投の栗林が翌日にベンチ入りを外れ、大瀬良をリフレッシュの意味で登録抹消するなど、長いシーズンを見据えたマネジメントも見受けられます。

新監督の評価を下すには、まだ早すぎる段階ですが、少なくとも昨年までとは違う、ということは確かなようです。

文:大久保泰伸

大久保泰伸

フリーライター、編集者。1969年広島市生まれ、現在は神奈川県在住。出版社勤務を経て、20世紀の終わり頃に独立。別冊宝島野球シリーズの執筆、編集や広島などのOBの著書の編集協力などを行い、同社のプロ野球選手名鑑は創刊時から現在まで関わる。記者活動は2009年にベースボール・タイムズ紙の広島担当でスタートし、15年から野球専門サイトのフルカウントで広島、18年からはDeNA担当も兼務した。

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