人気ランキング

J SPORTS IDを登録すれば、
すべての記事が読み放題

J SPORTS IDの登録(無料)はこちら

メルマガ

お好きなジャンルのコラムや
ニュース、番組情報をお届け!

メルマガ一覧へ

コラム&ブログ一覧

野球 コラム 2022年7月23日

MLB球宴、出場辞退者はベンチ入りやレッドカーペットショーも辞退すべきでは?

MLB nation by 豊浦 彰太郎
  • Line
ドジャースタジアム

ドジャースタジアム

現地一泊のみ&試合終了後の深夜便で帰国という自虐的スケジュールで、ロサンゼルスにMLBオールスターを観に行ってきた。現地18日(月)のホームランダービーと、19日(火)午前中のレッドカーペットショー(選手と家族がドレスアップしてハリウッドセレブさながらにレッドカーペットを歩き、メディアのインタビューや撮影、ファンとのフェンス越しの交流に応じるもの)、夕刻からのオールスターゲームをこの目で見届けた。その華やかさに酔いしれたが、しっかり記しておかねばならない問題もある。

それは、もう毎年のことなのだけれど、せっかく選出されても出場を辞退する選手が多いことだ。今年はその数13人。理由は、故障であったり、投手の場合は球宴前最終登板から日が経っていないからなどさまざまだ。故障は致し方ないが、「無理して出るほどの価値はない」という意識の選手が少なくないことも事実だろう。

それ自体は選手のせいではない。若い彼らは、昔は両リーグのメンツを懸けた戦いの場だったこと、スタメン選手がフル出場することも珍しくなかったことなど、情報でしか知らない。権威性を落としてしまった運営側に責があると言うべきだろう。

一方で、どうしても違和感が拭いきれないのが、試合出場は辞退しながらレッドカーペットショーにはしっかり登場し、ゲームにもユニフォームを着用てベンチ入り、試合前の選手紹介にも参加している者が少なくないことだ。ちょっぴり意地悪な言い方をすれべ「いいとこ取り」しているのだ。

今回のア・リーグ先発投手は、レイズのシェイン・マクナラハンだった。前半戦10勝3敗、防御率は両リーグトップの1.71と成績は申し分ないが、今季がメジャー実質2年目で全米的な知名度をはまだそれほどではない。

本来なら、アストロズのジャスティン・バーランダーあたりが相応わしい。過去MVP1回&サイ・ヤング賞2回受賞で通算238勝。さすがに全盛期は過ぎたが39歳にして今季はトミー・ジョン手術から2年ぶりに復活し、前半戦で両リーグ最多の12勝を挙げている。防御率も1.89だ。

レッドカーペットショー会場の様子

レッドカーペットショー会場の様子

しかし、彼は辞退した。年齢や手術明け後の復帰初年度であること、球宴の3日前に106球を投げていることを考慮すると、無理をしないという考えは十分あるだろう。ならば、この間しっかり休養に充てて欲しい。

バーランダーは試合当日午前中のレッドカーペットショーに、スーパーモデルの夫人とお子さんを連れ、ばっちりドレスアップし登場した。その際の夫人の勝ち誇ったような決めポーズは大きな話題になった。少々ダサい言い方をすれば、正に千両役者だった。

しかし、それを約10メールの距離で見ていたぼくは複雑な心境だった。「マウンド上やのうて、レッドカーペット上で輝いてどうすんねん?」。何もバーランダーだけではない。選出されながら出場を辞退した、ゲリット・コールも、マイク・トラウトもみんな相当力を入れてこのショーに参加していた。主催者からも、「試合出場は辞退しても、顔見せは参加してください」と依頼されているのかもしれない。このレッドカーペット・ショーも、しっかり入場料を取って開催しているからだ。

しかし、本来前座のホームランダービーやレッドカーペットショーばかり話題になり、肝心のオールスターゲームそのものが顔見せ興行化しているのは、主客転倒と言わざるを得ない。

ぼくは「ゲーム」をもっともっと盛り上げていくには、少しでも真剣勝負に近づけていくことが必要だと考えている。

そうなると、選手数を絞ることが重要だと思う。「1全球団から最低1名」のルールは捨て去る英断も必要だ。これにより、選出自体のステイタスを高め、試合中選手がホイホイ変わって行くいかにもエキシビション的な起用も抑制することができる。

また、放映する側もこれから打席に入る選手にマイクを向けるという真剣勝負ではあり得ない演出も慎むべきだと思う。

そして、その場には、出場の意思がない選手は居合わせて欲しくない。出場辞退は権利として認められているので致し方ないが、開催地に馳せ参じるのは、戦う意志を持つ者だけにして欲しい。

文:豊浦彰太郎

代替画像

豊浦 彰太郎

1963年福岡県生まれ。会社員兼MLBライター。物心ついたときからの野球ファンで、初めて生で観戦したのは小学校1年生の時。巨人対西鉄のオープン戦で憧れの王貞治さんのホームランを観てゲーム終了後にサインを貰うという幸運を手にし、生涯の野球への愛を摺りこまれた。1971年のオリオールズ来日以来のメジャーリーグファンでもあり、2003年から6年間は、スカパー!MLBライブでコメンテーターも務めた。MLB専門誌の「SLUGGER」に寄稿中。有料メルマガ『Smoke’m Inside(内角球でケムに巻いてやれ!)』も配信中。Facebook:[email protected]

  • Line

関連タグ

あわせて読みたい

J SPORTS IDを登録すれば、
すべての記事が読み放題

J SPORTS IDの登録(無料)はこちら

ジャンル一覧

J SPORTSで
野球を応援しよう!

野球の放送・配信ページへ