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野球 コラム 2021年10月25日

「過去10年で世界一2度&最下位4度」極端すぎる球団レッドソックスの2021年が終わった

MLB nation by 豊浦 彰太郎
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澤村拓一

澤村拓一擁するレッドソックス

レッドソックスの2021年シーズンが終わった。アップダウンの激しい近年の同球団を象徴するような1年だったと言えるだろう。

ワイルドカードから勝ち上がってきたレッドソックスと、西地区を制したアストロズの対戦となった今年のア・リーグ・チャンピオンシップシリーズは、4勝2敗でアストロズに凱歌が上がった。同球団は、ここ5年で3度目のワールドシリーズ進出となる。2017年の球団史上初の世界一は、その後発覚したサイン盗みスキャンダルですっかりミソをつけてしまっただけに、今回は汚名返上の絶好の機会だ。

一方、敗れたレッドソックスにとって、今季は正に波瀾万丈の1年だった。

開幕前の下馬評は、決して高くなかった。なにせ前年は、全てが例外的だった60試合の短縮シーズンだったとは言え、あの弱体オリオールズの後塵すら拝し地区最下位に沈んだからだ。2018年には全球団中最多で球団史上最多の108勝を挙げ、ワールドシリーズでもドジャースを制し、21世紀では全球団最多の4度目の世界一に輝いていただけに、この凋落ぶりは衝撃的だった。

しかし、同じくサイン盗み事件による1年間の処分が明け復帰した2018年世界一監督のアレックス・コーラ率いるレッドソックスは、開幕から突っ走り、なんと地区首位でオールスターブレイクを迎えた。しかし、後半は息切れした。7月末のトレードデッドラインで先発投手陣に有効な補強を展開できなかったのも影響したと思われるが、8月は12勝16敗と失速し、コンスタントに勝ち星を積み上げるレイズ、この月に13連勝を記録したヤンキースに抜かれた。加えて、9月には複数の主力に新型コロナウィルス感染者が発生し、戦力は低下した。

しかし、今季最終戦でようやくポストシーズン進出を決めると、ワイルドカードゲームで宿敵ヤンキースを下した。そして、地区シリーズでは、レギュラーシーズンで煮湯を呑まされたレイズに3勝1敗で勝利した。ワールドシリーズには手が届かなかったが、期待以上の成果を上げたシーズンだった。

また、2021年は近年の同球団の象徴だった。

レッドソックスは、最近10年で5度ポストシーズンに進出し、うち2度(2013年と2018年)世界一になっている反面、最下位が4度(12年、14年、15年、20年)もある。極めてアップダウンの激しいローラーコースター球団なのだ。編成部門トップもそれを反映し、2011年オフにセオ・エプスティーンがカブスに去ってからは、ベン・チェリントン、デーブ・ドンブロウスキー、そして現在のハイム・ブルームと回転ドアのように入れ替わった。その点では、21世紀になって、世界一こそ2009年の一度のみながら、ポストシーズンを逃したのも4度のみで、ブライアン・キャッシュマンが長期に亘りトップに居座り続けるヤンキースとは対照的だ。

現時点ではレッドソックスには「ご苦労様」の一言だが、このオフの宿題は少なくない。ローテーションの中心であるエデュアルド・ロドリゲスやブルペンでフル回転したアダム・オッタビーノ、大砲のカイル・シュワーバー、エースキャッチャーのクリスチャン・バスケスらがFAとなる。また、クローザーは重要な補強ポイントだろう。その一方で、マイナー組織は充実しているとは言い難く、チームのハート&ソウルだったムーキー・ベッツ(現ドジャース)を放出してまでも着手した再建は道半ばだ。その動きは、今季の予想外の健闘により、方向性の判断が少々難しくなったとも言えるだろう。

就任後2年間で、まさかの最下位とワールドシリーズ寸前までの健闘を経験した37歳の編成最高責任者ブルームの戦略性、決断力、実行力が問われるところだ。

文:豊浦彰太郎

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豊浦 彰太郎

1963年福岡県生まれ。会社員兼MLBライター。物心ついたときからの野球ファンで、初めて生で観戦したのは小学校1年生の時。巨人対西鉄のオープン戦で憧れの王貞治さんのホームランを観てゲーム終了後にサインを貰うという幸運を手にし、生涯の野球への愛を摺りこまれた。1971年のオリオールズ来日以来のメジャーリーグファンでもあり、2003年から6年間は、スカパー!MLBライブでコメンテーターも務めた。MLB専門誌の「SLUGGER」に寄稿中。有料メルマガ『Smoke’m Inside(内角球でケムに巻いてやれ!)』も配信中。Facebook:[email protected]

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