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今季のア・リーグ東地区では、前半はレッドソックスが走った一方で、ヤンキースは低迷した。ところが、後半はレッドソックスが失速し、逆にヤンキースが息を吹き返した。その両球団が浮き沈みを見せる中、昨季地区優勝でワールドシリーズ進出のレイズのみは安定した強さを発揮、という展開になっている。
現在ヤンキースは首位レイズには7ゲーム差で、今季残りの直接対決は3試合のみと逆転は容易ではないが、ワイルドカード争いではレッドソックスに2ゲーム差で1位だ。同3位のアスレチックスには4ゲーム差なので、ワイルドカードでのポストシーズン進出はかなり有力だ。
今のメジャーは何でも統計データで分析される。セイバー系サイトのfangraphsのデータによれば、ヤンキースの逆転地区優勝の可能性は10.8%でしかないが(レイズは86.0%)、ワイルドカードも含めたポストシーズン進出の可能性は93.0%となっている。
しかし、言うまでもないが、ヤンキースの目標はあくまでワールドシリーズ制覇だ。ワイルドカード・ゲームやディビジョン・シリーズあたりで、あっさり敗退するようなことがあると、今季が契約最終年のアーロン・ブーン監督の再契約は危ういものになるだろう。
ヤンキースは、松井秀喜がシリーズMVPに輝いた2009年を最後に、ワールドシリーズ優勝も進出もない。われわれ日本のファンには昨日のことのように思えるあの時から、すでに11シーズンが経過し、今季は12年目だ。もちろん、その間ポストシーズンには2013〜14年と16年以外は駒を進めているのだが、同球団がワールドシリーズから遠ざかる期間としては、ア・リーグ初優勝の1921年以降では1982年から95年までの14シーズンに次ぐ長さ(94年は労使紛争でポストシーズンは行われていないが)で、1965年から75年の11シーズンにすでに並んでいる。世界一を連続で逃す期間としては、1979年から95年までの17年、1963 年から76年の14年に次ぐワーストスリーだ。
もちろん、当時とはポストシーズンのフォーマットが異なるので、一概には比較できない。しかし、先代の父親ジョージとは異なり、感情を露わにすることの少ないハル・スタインブレナー共同オーナーの忍耐も、そろそろ限界に近いと思う。
文:豊浦彰太郎
豊浦 彰太郎
1963年福岡県生まれ。会社員兼MLBライター。物心ついたときからの野球ファンで、初めて生で観戦したのは小学校1年生の時。巨人対西鉄のオープン戦で憧れの王貞治さんのホームランを観てゲーム終了後にサインを貰うという幸運を手にし、生涯の野球への愛を摺りこまれた。1971年のオリオールズ来日以来のメジャーリーグファンでもあり、2003年から6年間は、スカパー!MLBライブでコメンテーターも務めた。MLB専門誌の「SLUGGER」に寄稿中。有料メルマガ『Smoke’m Inside(内角球でケムに巻いてやれ!)』も配信中。Facebook:[email protected]
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