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3月下旬に開幕していたら?結果論だが、今年は多くの選手に聞いてみたくなる。
54試合に登板。防御率1.79。28ホールド3セーブ。祖父江大輔は最優秀中継ぎ投手賞を獲得した。同じ質問をしてみた。もし、3月に開幕していたら?
「正直、やばかったかなって思います。この結果は出ていませんでしたね」。
最優秀中継ぎ投手賞を獲得した祖父江大輔
コロナ禍の開幕3ヶ月延期を祖父江は最大限に利用した。身に着けた最大の武器はシュートだ。
祖父江は「これまでシュートはサインにも一応入っていましたね。だけど実戦でキャッチャーからサインが出ることはまずなかった。正直、僕自身も使えるレベルではないなって思っていたんで」。
持ち球として存在はしていたシュート。これをもう一度磨くことに時間を使った。
「最初は遊び感覚でしたけどね。投げているうちに感覚がよくなって。練習を続けていたんです。全体練習が許されて、キャッチャーに受けてもらったら、使えると思いますって反応が返ってきて。6月の開幕から使いました。これが今年の最大の特徴ですね」。
祖父江のシュートがいかに有効的だったのか、それは数字が物語っている。54試合に登板。与えた四球はわずかに7個。素晴らしい数字だ。一見、制球力が向上したように見えるがそうではない。
祖父江は「コントロールはそんなに変わっていないです。僕はいい方じゃないんで。ただ、今年はフルカウントが少なかった。早いカウントの勝負になったとは思います」。
これまでの祖父江はストレートとスライダーの組み立てが多くを占めた。右打者ならばストレートにケアをしつつ、カウントによってアウトコースへ逃げるスライダーを狙ってくる。
しかし、そこに懐に入ってくるシュートが加わった。当然打者はインコースもケアさせられる。外スライダーに届かない、ひっかけるケースも増えた。打者が早いカウントで勝負を仕掛けてきた分、祖父江の投球術が上回った。そして、今シーズンの要因をもう一つ挙げるならば祖父江のメンタルだ。
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