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これまでに増して練習時間が長く、ポジション争いが熾烈という今年の久米島キャンプ。選手にとって、ランチは一息つける楽しみの時間だ。久米島球場にある選手専用の特別食堂では、スタッフが描いた手書きのメニュー看板が食堂入口を飾る。
J SPORTSのキャンプ中継でもお馴染みの場所。ここに向かう選手たちの様子、食べた後のちょっとした小話は、キャンプでしか目撃できない。
ただし、普段お伝えできるのは食堂入口まで。食堂の中は非公開だ。だが、今年も中継ではチラ見せの内部潜入リポートが実現するかもしれないので、乞うご期待!
ということで、まず久米島では、どんなランチが人気なのか、いつも選手たちは何を食べているのか、いろいろな選手と食事の管理を担う栄養士の長坂聡子さんに話を聞いた。
選手にとっては、食べることも日々の身体をつくる大切な”仕事”。少しでもストレスなく食事ができるよう腐心する長坂さんは、初日に「沖縄そばを食べたかったのに食べられなかった」という選手たちからの声を受けて、2日目から売り切れないように増やしてもらうよう、選手食堂にリクエストをした。
2日目、投手陣では岸孝之、森原康平、弓削隼人、辛島航らが、揃って沖縄そばを食べた。辛島はこう語る。
「久米島に来たら、毎年いつも沖縄そばを食べますよ。100点満点で点数をつけるなら102点。やっぱり沖縄限定だから」。
ええと満点は超えたものの、2点超えは少ないような…と疑問をぶつけると、「それは久米島にいる時しか食べないから」と辛島。滞在わずか10日ほどの恒例メニューだからなのだそうだ。
半年ほどの間に143試合を戦う野球選手にとって、スタミナを維持できる身体づくりとなる食事はとても大切だ。ややもすれば痩せていってしまう辛島は、たんぱく質である鶏肉の塩焼きに明太子のおにぎり2つを食べたという。
辛島選手のように、体重が落ちやすい選手や食の細い選手には、それに1パック200キロカロリーのエネルギーゼリーを補食として摂ってもらっています。
体重、体力が落ちないよう、1日プラス1000キロカロリーが目標。ゼリーは原材料にも余計なものが入っていなくて吸収がいい。おやつやデザート代わりに、ストレスが少なく摂れるんです」
久米島の選手食堂では、毎日チャンプルー(写真はイメージです)も出る。則本は沖縄そばではなくラーメン派。「オレいっつもラーメンに、野菜どーんでチャンプルーどーんのちゃんぽんです」と上級テク(?)のメニューを披露。
則本のように、栄養バランスを考えて、自分流に“トッピング”を加えて、特製メニューにして食べる選手も多いという。
対照的に「そば、食べないです」という少数派で、同じくトッピングの合わせメニュー派は高梨雄平。
「ぼく、その日にあるやつをいろいろ盛り付けて、ワンプレートランチにします。だいたいチャンプルーにサラダと肉。今日は豚肉にしたかな。それと豆。あとフルーツを食べました」と、ちゃんとバランスを意識しているのがわかる。
選手たちは、思い思いにランチを楽しんでいるように見えて、野球選手としてシーズンを通して戦えるよう、長坂さんの指導を受けながら、それぞれが栄養バランスを考えて日々ランチを食べている。
文:松山ようこ
松山 ようこ
翻訳者/ライター/インタビュアー。主にスポーツやエンタメ分野にて実績多数。野球はプロ野球からMLB、他にもマイナースポーツからオリンピック大会まで、国内外の競技場や大会での現地取材を数多く経験するスポーツ好き。アスリートはじめ、一般人から著名人まで幅広くインタビューし、日本語と英語ともに記事やコラムにする。訳書『ピッチングニンジャの投手論』『ベイダータイム』。 ※『ピッチングニンジャの投手論 PitchingNinja's analysis of Japanese MLB Aces』 ※『VADER TIME ベイダータイム: 皇帝戦士の真実 』
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