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我々の国=日本のプロ野球とは随分、違う反応だ。
2008年、田澤純一投手(現カブス傘下AAA級マイナー、アイオワ)が3年総額400万ドル(約3億8000万円)で新日本石油ENEOSからボストン・レッドソックスに入団した。
その時、日本のプロ野球は「将来のNPBを背負う優秀な選手が海外に流出するのを防ぐため、やむを得ない措置」(日本プロ野球選手会の公式サイトより抜粋)として、日本プロ野球のドラフト指名を拒否して海外のプロ球団と契約した日本のアマチュア選手に対し、当該球団を退団した後、大卒・社会人は2年間、高卒選手は3年間、日本プロ野球のどの球団とも契約できないという「罰則規定」を設けた。
それは我々、日本のメディアが喧伝しまったことで「田澤ルール」と名付けられるようになり、昨秋、社会人野球のパナソニックからアリゾナ・ダイヤモンドバックスに入団した吉川峻平(現ダイヤモンドバックス傘下A級マイナー、バイサリア)にも適用される。
メジャーリーグは日本の「田澤ルール」に匹敵するものを作らなかった。
メジャーリーグは「スチュワート・ルール」を作らなかったし、今のところはそれに準じた「罰則規定」を作る動きもない。
そうならない理由のひとつは、メジャーリーグがスチュワートの日本プロ野球入団を、彼らにとっての「脅威」とは感じていないからだろう。
メジャーリーグは、彼らのドラフト対象国(アメリカ合衆国、カナダ、プエルトリコ出身選手)の有力なアマチュア選手の圧倒的多数が「メジャーリーグより日本のプロ野球を目指すような状況にならない限り、「罰則規定」など設けることはないだろう。
メジャーリーグが外国のプロ野球チームの存在に脅威を感じ、「田澤ルール」に似た「罰則規定」を設けたことが、過去に少なくとも一度はある。
それは第二次世界大戦直後の1946年のことで、メキシコ・リーグが金に物を言わせて何人かの現役メジャーリーガーを勧誘したからだ。
目的は「メキシコ・リーグをメジャーリーグに匹敵するプロ野球リーグにすること」。
そこで当時のメジャーリーグのコミッショナー、ハッピー・チャンドラーは「メキシコ・リーグに移籍した選手は、今後5年間はメジャーリーグには戻れない」という「罰則規定」を設け、高額年俸に心を動かされそうな選手の移籍をけん制した。
その後、何人かの選手が裁判を起こしたため、混乱を恐れたコミッショナーと選手たち(とその弁護士)の間で後に示談が成立し、選手たちが実際に5年間を棒に振ったわけではなかったが、メキシコリーグに移籍した選手の何人かは数年間、メジャーリーグから干されたという事実が残っている。
そういう「罰則規定」は、今は作られない。
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