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野球 コラム 2019年2月26日

高野連の球数制限の「継続審議」について

Do ya love Baseball? by ナガオ勝司
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2月20日、日本高校野球連盟=高野連が、昨年12月に新潟の高野連が今春の県大会からの導入を目指していた、1試合100球の球数制限に「待った」をかけた。全国で足並みを揃えたいということみたいだ。

4月に有識者会議を立ち上げ、継続して議論されていくそうだ。

球数制限は、高校野球以外ではすでに導入されている。 

日本のリトルリーグでは、本場アメリカの手法に倣って球数制限をやっているし、全日本軟式野球連盟も、今夏の小学生の全国大会で1日あたりの投手の投球数を70球以内とすることを決めている。U-15やU-18の国際大会でも球数制限が導入されている。

球数制限は、メジャーリーガーが出場できる唯一の国際大会であるワールド・ベースボール・クラシック(WBC)でも導入されている。「シーズン開幕に向けて怪我されたら困る」という切実な理由で、予選ラウンドでは65球、第2ラウンドでは80球、決勝ラウンドでは90球に球数が制限されている。

WBCに出場する選手の大半は屈強なメジャーリーガーなのに、新潟の高野連が導入しようとした球数制限よりも少ない。すべては投手の怪我防止のためだ。

リーグ戦とトーナメント戦の違いを無視して書けば、アメリカの高校野球にも球数制限は導入されている(州によって多少の違いがある)。

たとえばシカゴ郊外では105球の投球制限があり、15歳から18歳のピッチャーの投球数が76球を超えると、4日間は登板できないルールがある。75球以下でも次の登板までに中3日、60球以下なら中2日、45球以下なら中1日と、肩肘を中心とした体のリカバリー時間が与えられている。

そう、球数制限と連投制限のルールは、アメリカではワンセットになっているのだ。

今年、野球殿堂入りを果たしたマイク・ムシーナ投手(通算270勝。元ヤンキースほか)はユース世代の球数制限のアンバサダー(大使)をしており、こんなことを言っている。

「球数を多く投げることで怪我する可能性が大きくなるのは、誰が考えたって分かること。でも、それよりも大事なのは、投げた後のリカバリーだ。僕は現役時代から肩肘のケアは入念にやってきたし、そんな僕がメジャーで18年も投げ続けることができて、39歳で34回も先発して20勝を挙げ、200回以上も投げられたのは偶然じゃない」

たとえばWBCでは、1試合で50球以上投げたピッチャーは4日間、登板できないし、30球以上投げたピッチャーも次回登板までに中1日置かなければならないという連投制限ルールがある。

だから、たとえばキャンプ取材中、ホテルのジムにいたアメリカ人のドジャース・ファンに「日本の高校野球が球数制限を考えている」などと話しても「ふーん、そうなんだ」という反応しか返ってこない。

そもそもアメリカ人にとって、球数無制限は時代錯誤なのだ。

「アメリカも二十年ぐらい前はそうだったらしいけどね」

聞かれたから感想は言うけど、という感じだった。ついさっきまで、ケンタ・マエダが仕事人だとか、ヒデオ・ノモはパイオニアだとか盛り上がっていたのが、嘘のように会話が冷めてしまった。

「でも、いいじゃないか。導入されるんだろう?」

いや、これからさらに話し合うらしい、とは正直に答えられず、思わず口つぐんでしまうアリゾナの春である。

ナガオ勝司

ナガオ勝司

1965年京都生まれ。東京、長野、アメリカ合衆国アイオワ州、ロードアイランド州を経て、2005年よりイリノイ州に在住。訳書に米球界ステロイド暴露本「禁断の肉体改造」(ホゼ・カンセコ著 ベースボールマガジン社刊)がある。「BBWAA(全米野球記者協会)」会員

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