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個人的には21世紀のアストロドームだと感じた。1965年にヒューストンにオープンしたアストロドームは、当時としてはめちゃくちゃ画期的な施設だった。何せ、野球を屋内に閉じ込めたのだから。「世界の七不思議」になぞらえてThe 8th wonder of the worldと評されたほどだ。
そして、オープン当時のアストロドームのルーフパネルは透過性の確保できるものだった。ところが開場後に選手から「ルーフがハレーションを起こしてフライボールが見にくい」と苦情が出た。そのため、ルーフをペイントしたら天然芝が枯れてしまった(当たり前だが)。その事態を解決するために導入されたのが、人工芝たるアストロターフだ。
ちなみにこの新球場では、フィールドには残念ながら人工芝が敷かれるようだ。ルーフが透過式でフロリダの強い日差しをもってしても、天然芝の維持は難しいとの結論に達したようだ。
ここまで述べてきた範囲では、人工芝(と個人的には観客席の少なさ)はマイナス点だが全体としては中々魅力的な球場のようだ。しかし、とても大きな問題点が残っている。
それは、総額約9億ドルとも見積もられている建設費の捻出だ。アメリカでは、球場建設に公費が投入されることは珍しくない。これは、球場以前に球団自体が地域の財産との考えが浸透しているからだ。しかし、必ずしも市民全体が野球を楽しむわけではなく、球場の建設費用捻出のために市民全体に増税を課すことに反対意見は根強い。今回のプロジェクトでも、レイズが負担する1.5億ドル以外の資金ソースは目処が立っていない。今のままでは、それこそ冒頭に記したように「絵に描いたモチ」だ。
レイズの新球場問題は、もうひとつの同様な問題を抱えるアスレチックスの動向にも影響を及ぼしそうだ。いや、それだけではない。ロブ・マンフレッド・コミッショナーが折に触れコメントしているように、「懸案のエクスパンション(球団数拡張)も、この2球団の新球場問題が片付いてから(場合によっては、他都市への転出の可能性もあるため)」なのだ。
まだまだ、レイズ新球場問題は楽観できない。
豊浦 彰太郎
1963年福岡県生まれ。会社員兼MLBライター。物心ついたときからの野球ファンで、初めて生で観戦したのは小学校1年生の時。巨人対西鉄のオープン戦で憧れの王貞治さんのホームランを観てゲーム終了後にサインを貰うという幸運を手にし、生涯の野球への愛を摺りこまれた。1971年のオリオールズ来日以来のメジャーリーグファンでもあり、2003年から6年間は、スカパー!MLBライブでコメンテーターも務めた。MLB専門誌の「SLUGGER」に寄稿中。有料メルマガ『Smoke’m Inside(内角球でケムに巻いてやれ!)』も配信中。Facebook:[email protected]
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