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今季から東北楽天ゴールデンイーグルスに新設されたコンディショニング部。選手のデータを蓄積し、共有し、見える化することで、ケガの一歩手前のサインを読み取りやすくしている。
ギリギリで戦う選手にとって、どこまで行くとケガに至るのかという、超えてはいけないラインの感覚や、コンディショニングへの意識を高めることについて、部長の安部井寛さんに話を伺った。
◆「張ってるよ」「張ってますね」の危険信号
安部井さんは言う。「基本的には、トレーナーが危ないなって思ったり、選手がしんどいなって感じたりする時は、あまりデータに基づいていないんです」。
つまりは、”感覚”という聞き慣れた、つかみどころのないフレーズに回帰するのだ。こちらの疑問符が浮かんだのを察知したように、安部井さんは続ける。
「でも、その感覚というのは、すごく大事なんですね。トレーナーが実際に触ってみて『これちょっと張ってる』と言って、トリートメントを受けた選手も『張ってますね』と合致したら、それは危険信号とするには十分なんです」。
最新鋭のデータと感覚の融合。そして、それらを生かすためには、加えて日々のコミュニケーションが不可欠という。
「ケガを未然に防ぐためには、監督一人が状態をわかっていてもいけないし、コーチ陣だけに伝えてもだめ。チームとして、首脳陣とわれわれスタッフが全員で、例えば『この選手はちょっと黄色信号』という認識を持っていないといけないと思うんです」。
ケガに対するアンテナが広がることで、抑止効果にもなる。「例えば、出場中のある選手が黄色信号だとして、試合の後半にワンサイドになったような場合、ちょっと変えようっていう選択にもなりますから」。
アメリカに渡ってスポーツトレーナーになるべく学び、球団通訳を務めた経験もある安部井さんは、そうした選択肢を促すことになる、現場で働くトレーナーの人々の気持ちも代弁する。
「言いづらい時もあるし、彼らの気持ちもわかる。ならば、一緒に監督に説明に行こうというのは常にあります」。チームで取り組むべく、コミュニケーションを円滑にするのも、安部井さんが殊更に気をつけていることだという。
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