【オリックス好き】杉本裕太郎は大砲カルテットに加われるか

「ブウゥゥゥン」だとか、「ブオォォォォ」とか。“ラオウ”にはやはり、仰々しい効果音が似つかわしい。

バットが空を割く音が可視できそうだ。190cmの長身体躯から繰り出されるスウィングは、重くて、長い。

杉本裕太郎のバッティングは、その体格が示すように、当たればとにかく飛ぶ。

だが、構えはゆったりとしていて、ヘッドが利いているから、センター方向にも逆方向にも長打が放てる。まるで、2012年からの2年間、バファローズに在籍した李大浩のように。

昨年の9月9日（イーグルス戦）に放ったプロ初安打初本塁打も、バックスクリーンに吸い込まれていった。緩いカーブにタメを作って、しっかりと強振。

低めのボールだったが、リーチの長さも生かした。「初回先頭打者弾」として話題になったアーチには、杉本の持ち味が凝縮されている。

一軍では9試合の出場のみだったが、二軍では、京セラドームとほぼ同規格になった新本拠地を主戦場に、チーム最多の8ホーマーを放ち、リーグ3位の長打率.416をマーク。

今年に入っても、春季キャンプの紅白戦で2試合連続してホームランを叩き込んだ。チームメイトからボールの見極めができているとの声が上がり、本人も「ゆったりとタイミングをとることで余裕が持てている」。

プロ入り3年目の背番号「99」には、ブレイクのにおいがぷんぷんと漂っていた。

ところが、その次の紅白戦でのサインミスが原因で二軍へ降格となる。走塁改革を掲げる福良淳一監督の逆鱗に触れ、オープン戦で与えられたのは1打席のみ。

肩が強く、センターをこなすが、まずはチームメイトの宗佑磨が「1番・中堅」の座を射止めた。左右両翼にも吉田正尚とステフェン・ロメロがいる。

とはいえ、昨季のバファローズに散々と繰り返されてきたフレーズが「怪我人さえ出なければ」と「代わりになれる選手がいなかった」。

外野手としての出場で吉田正はOPS.928、ロメロが.838を記録したが、他の外野手全体では.670に過ぎず、打力で大きく見劣りした。

主力に負傷者や不振の選手が出た時に補えるか。今季のバファローズにとって、重要なポイントのひとつだ。

杉本が目標とする本塁打2ケタへ、シーズンは長期にわたる。昨年のように、チームに停滞しそうな状況が訪れた時、そんな雰囲気を自慢のバットで吹き飛ばす活躍ができるか。

大砲揃いの打線にもう一門が加わったら…。今度はうれしい悲鳴で監督を困らせたい。