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再春館製薬所は郡司莉子らシングルスで強力なメンバーを揃える
国内最高峰のバドミントン団体戦「S/Jリーグ2026-2027」が、10月31日に秋田県・IRISOアリーナ横手で開幕する。男女とも6チームずつ2ブロックに分かれて総当たり1回戦を行い、各ブロックの上位2チームが、優勝決定戦となるTOP4トーナメントに進出する。また、各ブロックの最下位同士は、残留チーム決定戦を行い、敗者はS/JリーグIIへ降格する。ブロックリーグでは、TOP4進出と最下位回避をかけた戦いが繰り広げられる。
女子Sブロック:連覇を狙うBIPROGYと実業団覇者の岐阜Bluvicが中心
中西貴映/岩永鈴
開幕2連戦の横手大会では、Sブロックの試合が行われる。連覇を狙うBIPROGYと、2複3単のトーナメント形式で行われた全日本実業団選手権で初優勝した岐阜Bluvicが2強。BIPROGYは、ダブルスに日本代表の中西貴映/岩永鈴、高橋美優/中出すみれ(10月29日にU24代表から昇格)を擁し、混合ダブルスで五輪2大会連続銅メダルの五十嵐有紗を組み合わせたペアでも戦える陣容で、とにかくダブルスが強い。普段とは異なるペアで戦うことも可能だ。中西は「開幕戦が2試合(PLENTY GLOBAL LINX、ACT SAIKYO)とも簡単な相手ではないので、しっかり準備したい。自分たちが出場できるかは分からないけど、チームとして2連覇をめざして頑張りたい」と抱負を語った。
岐阜Bluvicも、元日本代表同士で組む廣田彩花/櫻本絢子、U24代表の清瀬璃子/原菜那子に加えて、日本代表の福島由紀、昨季ブロック5戦全勝の長身アタッカー川添麻依子、単複2種目で起用できる平本梨々菜と戦力が豊富。シングルスは、世界ジュニア選手権準優勝の松本紗季(柳井商工高)と、浅野真央(青森山田高)が内定選手として加入。シングルスのエース古川佳奈は「2季連続で準決勝敗退。全日本実業団でそこを越えたのは、大きな変化。今季はリーグも優勝できれば。ダブルスは強いので、シングルスが鍵。今季は新人2人が強い。ダブルスもシングルスも試合に出るための競争が激しい」とチーム内競争の高め合いを結果に反映させたい考えを示した。
他チームは、割って入りたいところだが、まずは最下位回避が目標になる。何しろ「1弱」不在のブロックだ。1年で2部から復帰したPLENTY GLOBAL LINXは、混合ダブルスで日本代表の齋藤夏や、姉の齋藤栞らが加入。2年前とは異なり、競争力がある。2強を追う1番手は、シングルスで日本代表の宮崎友花、ダブルスでU24日本代表の田口真彩を擁するACT SAIKYOだが、開幕前に公式Instagramで各大会の出場予定選手と帯同選手を発表する異例のアナウンスを行ない、宮崎や田口を基本的には起用しない方針を明らかにした。コンディションなどにより変更はあるだろうが、少人数で乗り越えられるか。大澤陽奈(ACT SAIKYO)は「毎年、ダブルスが勝ち切れていない。15点制なので、上に勝てるチャンスがあれば、食らいつきたい」と意気込んだ。北都銀行は、日本代表だった松本麻佑/永原和可那が抜けた昨季は苦戦が予想されたが、3勝2敗で上位を争う健闘。シングルスの舛木さくららを中心に今季も底力を見せたい。昨季2勝の七十七銀行は、毛利未佳/千葉美采のダブルス、神山歩美のシングルスを中心に早めに1勝を挙げることが重要になりそうだ。
10月31日、11月1日の開幕2連戦で状況がハッキリする。BIPROGYと岐阜Bluvicは2連勝を飾りたいところ。両チームと連戦するチームはなく、ほかは、まず1勝が大事。開幕2連敗を喫するようだと、後半戦に大きなプレッシャーがかかる。
女子Jブロック:ヨネックス中心だが、大混戦の可能性
シングルス日本代表経験者の高橋明日香のダブルスにも期待
女子Jブロックは、2季連続準優勝のヨネックスや、過去5度の優勝を誇る再春館製薬所が実績で上回るが、混戦必至だ。ヨネックスは、日本代表の保原彩夏/廣上瑠依、仁平菜月が主力だが、ダブルスの主軸だった櫻本が移籍で抜けた穴をどう埋めるか。全日本社会人選手権などでダブルスにも出場したシングルス日本代表経験者の高橋明日香は「カバー力や攻撃力は生かせる。ダブルスの選手とは少し違って相手がやりづらく感じるかもしれず、ワンチャンスがあるかもしれないので、それをつかみにいきたい」とダブルス出場の可能性を見越していた。昨季、TOP4進出を逃した再春館製薬所は、世界選手権3度優勝の山口茜を筆頭に、郡司莉子、明地陽菜とシングルスは強力なメンバーが揃うが、ダブルス陣が手薄になった。今春にパリ五輪銅メダルの志田千陽が退団。パートナーの松山奈未は左ひざ負傷による離脱で、序盤は不在となる。池田雄一監督は「ダブルスは、誰が組んでも勝負できるようにしたい。TOP4には是が非でも行きたい」と、シングルスの強みを生かした自由度の高いダブルスオーダーで挑む考えを示唆した。
明地陽菜
NTT東日本は、10月29日に日本代表に再度選出された鈴木陽向/山北奈緒が、他チームのエースと渡り合えるのが強み。2季連続のTOP4進出を狙うが、序盤でつまずくと、2シーズン前のブロック最下位も頭をよぎる。レゾナックは、昨季から登録のシン・スンチャン(韓国)に加え、さらに女子ダブルス世界ランク8位(10月27日更新時)のステファニー・ストエバ(ブルガリア)を外国籍選手として登録した。外国籍選手は、ダブルスのみ、1試合に1人しか起用できないが、世界レベルの助っ人加入は、強みだ。杉山未来、岩城杏奈とともに国民スポーツ大会で茨城県の準優勝に貢献した染谷菜々美は「チームの最高順位がブロック3位。今季はTOP4進出を狙いたい」と成績更新に意欲的だった。
山陰合同銀行は、外国籍選手にキム・ソヨン(韓国)を登録。ダブルスに強みを持つが、シングルスが不安定。ダブルスの軸となる田部真唯は「かなり厳しいブロック。チーム全体でどう盛り上げていけるか。勢いをつけられないと自分に価値がない」とエースの自負をのぞかせた。広島ガスは、U24代表の新見桃芭/相磯美心のエースダブルスがどこまでけん引できるか。昨季は、ブロック最下位。下田菜都美監督は「今季は、15点制。少しでも引いてしまえば、一気に失点する。向かっていければいい。挑むのみの立場。(他チームが勝ち星を)計算できないようにしてやろうという気持ち」と挑戦者の姿勢を強調した。
「日程」と「15点制」の影響も一つの壁
両ブロックとも気をつけたいのは、国際大会との兼ね合いだ。12月12日の岐阜大会は、BWFワールドツアーファイナルズの期間中。27年1月24日の愛知大会では、SブロックのBIPROGYと岐阜Bluvicが対戦するが、マレーシアオープンと日程が重なり、ともに主力不在が予想される。直接対決までに取りこぼすと、ひっくり返される可能性もある。Jブロックも最後の愛知大会、京都大会で再春館製薬所、NTT東日本、ヨネックスが戦力ダウンする可能性があり、この3チームと対戦する広島ガス、山陰合同銀行には、ラストチャンスが残される。
試合は、2複1単で2勝を争う形式。ブロックリーグの順位は、勝利数、取得マッチ率、取得ゲーム率の順で決まる。1カードの結果としては変わらなくても、3勝0敗か2勝1敗か、0勝3敗か1勝2敗かの違いで順位を左右する可能性があり、気が抜けない。今季は、15点制を採用。勢いで実力上位の選手を苦しめやすい部分もある。混戦になるほど、1マッチ、1ゲームが意味を持つ。エース格だけでなく、大きな働きをするヒロインが誕生するかもしれない。開幕から、試合内容にも注目だ。
文:平野貴也
平野 貴也
1979年生まれ。東京都出身。
スポーツ総合サイト「スポーツナビ」の編集・記者を経て、2009年に独立。サッカーをメーンに各競技を取材している。取材現場でよく雨が降ることは内緒。
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