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エースダブルスとして期待がかかるBIPROGYの熊谷翔/西大輝
男子は、15点制採用で波乱が起きるかもしれない。国内最高峰のバドミントン団体戦「S/Jリーグ2026-2027」が、10月31日に秋田県・IRISOアリーナ横手で開幕する。男女とも6チームずつの2ブロックで総当たり1回戦を行い、各ブロックの上位2チームが、優勝決定戦となるTOP4トーナメントに進出。各ブロックの最下位同士は、残留チーム決定戦を行い、敗者はS/JリーグⅡへ降格する。
ブロック戦の順位は、勝点(勝1負0棄権または没収-1)、取得マッチ差、取得ゲーム差、当該チーム間成績の順で決まる。試合は、2複1単で2勝を争う形式。1カードの結果としては変わらなくても、3勝0敗か2勝1敗か、0勝3敗か1勝2敗かの違いで順位を左右する可能性がある。男子は、2024-25シーズンにおいて、S、Jブロックともに5位と最下位が1勝4敗で並ぶ接戦だった。TOP4進出がかかる2位争いと、最下位回避の争いでは、順位の影響が大きく、勝ち方も重要になる。
「逃げ切り」が難しい15点制、取得マッチ差、ゲーム差に影響出るか
今季、細部に影響を与えそうなのが、21点制から15点制への変更だ。国際大会が27年1月から15点制を採用するにあたり、日本は今季の国内大会から採用。1ゲームの戦いが短くなり、スコアを追いかける側が連続得点した際の勢いは、以前よりも強く感じられる。安全策で逃げ切ろうとして失敗するケースも出ている。団体戦は、個人戦よりも強いプレッシャーが生まれる。番狂わせの可能性が高まる。一度試合の流れをつかめば一気に試合展開が変わる、スリリングなゲームが増えたため、ファイナルゲームにもつれる試合も増えている印象。つまり、以前ほどすべてストレートで3-0の勝利を収めるのは、簡単ではない。実力が拮抗するチーム同士の順位争いは、1マッチ、1ゲームの差が影響しそうだ。
開幕戦の横手大会は、Jブロック2連戦
男子のJブロックは、前回準優勝のBIPROGY、2複3単のトーナメント形式で行われた団体戦の全日本実業団選手権を制したトナミ運輸が2強。Sブロックは、連覇を狙うNTT東日本、前回4強の日立情報通信エンジニアリングがTOP4進出候補となるが、向かって来られる立場の方が、15点制への対応は難しい。全日本実業団選手権の東海興業戦でエースの保木卓朗/小林優吾ペアが敗れるという経験をしているトナミ運輸の安村康介監督は「15点制では、相手の様子を見てから……という状況ではない。とりあえず点を取りに行って、勢いに乗れば勝ちにつながる。受け身にならないことが大事。相手はやりやすくて、向かって来ると思う。それを返り討ちにするくらいの気持ちをみんなで作っていきたい」と警戒心を示した。BIPROGYとトナミ運輸の直接対決は、ブロック最終戦となる京都大会(27年1月31日)だが、マレーシアオープンと日程が重なり、主力不在の可能性がある。ともに、短期決戦で挑まれる立場の難しさを乗り越え、無敗で最終節を迎えたいところ。
男子は、リーグ開幕戦となる横手大会の2日間(10月31日、11月1日)で、Jブロックの試合が行われる。トナミ運輸は、初日に東海興業、第2日に大同特殊鋼と対戦。BIPROGYは、JR北海道、東海興業と順に対戦する。3チームがどれだけ噛みつけるか、2強が強さを見せつけるか、今後の流れを決める重要な序盤戦となる。
Sブロック:NTT東日本と日立情報通信エンジニアリングが2強
全日本社会人選手権の両大会で準優勝した武井優太/中静悠斗
あらためて、ブロック別に見てみよう。Sブロックは、連覇を狙うNTT東日本が中心。シングルスは、元世界王者の桃田賢斗や今夏の世界選手権で2度目の準優勝を果たした奈良岡功大、現日本代表の田中湧士ら豪華な面子が揃う。ダブルスでは、今季の日本ランキングサーキット、全日本社会人選手権の両大会で準優勝した武井優太/中静悠斗の組み替えペアに勢いがあり、注目される。対抗馬となる日立情報通信エンジニアリングは、日本代表の霜上雄一/野村拓海、U24日本代表の川邊悠陽/松川健大がおり、ダブルスが強い。シングルスにもU24代表の宮下怜がいる。2強体制は堅いと見る。
ジェイテクトは、西本拳太、小川翔悟のシングルス陣が強みだったが、今季はともに負傷を抱えるなどパフォーマンスが上がり切らない印象で気がかり。最終節は、日立情報通信エンジニアリングとの対戦だが、マレーシアオープンと日程が重なるため、ともに主力を欠く可能性がある。最終決戦までもつれるかどうかは、一つの見どころになりそうだ。
三菱自動車京都は、ダブルスの外川賢輝/南茂斗羽、中村舜/阿保龍斗(内定選手:日本大)が全日本社会人選手権で8強入り。大学経由の新人が多く、世代交代の中で、どこまで勢いを見せるか。金沢学院は、全日本実業団では、BIPROGYからシングルスで1マッチ、ダブルスで1ゲームを奪う意地を見せた。その後、元日本代表の井上拓斗が現役復帰で加入している。コンサドーレは、昨季、ブロック最下位に沈み、残留チーム決定戦を勝って辛くも生き残った。今季は、全日本実業団で三菱自動車京都を破って16強入り。大越泉/山澤直貴、三浦將誓/渡邊拓斗の2ペアを中心に、リーグ戦でも勝利を狙う。
Jブロック:2強を追う中位争いは激戦
全日本社会人を制した秦野陸
Jブロックは、前述のとおり、BIPROGYとトナミ運輸が2強。BIPROGYは、熊谷翔/西大輝が世界ランクを17位(10月27日更新時)まで上げており、明確なエースダブルスに成長。シングルスも沖本優大がBWFワールドツアースーパー300で2勝を挙げるなど成長中。シングルスに渡邉航貴、ダブルスに岡村洋輝と、ほかにも日本代表が健在の中、世代交代の波が来ており、選手層が充実している。トナミ運輸は、元世界王者の保木/小林が依然として日本男子ダブルスのトップを走る存在。ほかにU24代表の目崎駿太郎/奥優汰や、吉田翼/後藤拓人ら次世代の選手も存在感を強めており、若手ペアをどう起用するか注目だ。シングルスは、全日本社会人を制した秦野陸、日本ランキングサーキット王者の高橋洸士に加え、大林拓真も日本代表経験者で層が厚い。オーダー戦略の肝となりそうだ。
3番手候補は、即戦力級の大卒選手を次々と獲得している豊田通商。ダブルスは、滝口友士/野口翔平、川原聡磨/髙栁大輔が中心。2季連続のブロック3位でTOP4進出の機会をうかがっている。ただ、BIPROGYから川本拓真が移籍加入した大同特殊鋼、寺島颯大/宮川友結らダブルスが上位を食う力を持つ東海興業と力の差が大きいわけではない。昇格組のJR北海道は、7季ぶりのトップリーグ。全日本実業団では、加藤太基が日立情報通信エンジニアリングから第1シングルスで勝利を挙げた。全日本社会人では、渡部大/光島理貴が、豊田通商の滝口/野口を破って16強入り。まずは、最下位回避を実現するために1勝を挙げ、他チームからどれだけマッチとゲームを奪えるか。男子は、特にダブルスが15点制で混戦化しているイメージがあり、どのような展開になるか、シーズンを通して注目される部分だ。
文:平野貴也
平野 貴也
1979年生まれ。東京都出身。
スポーツ総合サイト「スポーツナビ」の編集・記者を経て、2009年に独立。サッカーをメーンに各競技を取材している。取材現場でよく雨が降ることは内緒。
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