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森愛樹(日本製鉄堺ブレイザーズ)
『世界最高峰のバレーボールリーグ』を目指して昨年10月に開幕した『大同生命SV.LEAGUE(SVリーグ)』の男子では、世界各国から強力なビッグサーバーが襲来した。
会場内で歓声が上がるほどの強烈な打球に対して、リーグトップとなるサーブレシーブ成功率55.2%をマークして、『トップサーブレシーバー』に輝いたのが、日本製鉄堺ブレイザーズの森愛樹だ(以下、文中の所属は2024-25シーズン時のもの)。
近畿大学を卒業後は『V.LEAGUE DIVISION2』(当時/2部に相当)の兵庫デルフィーノに入団し、2023-24シーズンからDIVISION1の日鉄堺BZへ加入した森。大学時代は一般企業への就職を念頭に置いていたというが、卒業後も「自分の武器はバレーボールしかない」という思いは変わらず、結果的に今や国内トップカテゴリーに身を置いている。
そうして、日鉄堺BZでのデビューシーズンから自慢のレシーブ力を遺憾無く発揮。サーブレシーブ成功率64.3%でリーグ6番目の成績を残し、「自分の中で手応えを感じたシーズンでした」と森は振り返る。
それでも「満足せずに、昨年以上のパフォーマンスを心がけています。とくにレシーブの腕の面のつくりかたなどを意識しながら練習で取り組んでいるので、それを試合でも発揮したい」と2024-25シーズン、つまりSVリーグ初年度に臨んだ。
そのシーズンは序盤から安定したパフォーマンスを披露し、サーブレシーブ成功率の個人ランキングでも常にトップに名前を連ね続ける。年明け1月のオールスターゲームにはリーグ推薦で選出されたわけだが、サーブレシーブ成功率1位のまま本番を迎えるなど、リーグのトップリベロとして堂々と晴れ舞台に立ってみせた。そんな森へ――
「ダントツじゃん!!」「絶対にサーブレシーブ賞、獲るやろうな」
オールスターに選出された森愛樹
そう声をかけたのはオールスターゲームに一緒に選出された小川智大(ジェイテクトSTINGS愛知)や、山本智大(大阪ブルテオン)といった同じリベロの面々だ。なお、言わずとも、男子日本代表でも活躍する2人である。偉大なトッププレーヤーからの賞賛に、森は「そうスね」と謙遜するも、胸ははずんだ。
「照れくさいというよりも、なんか逆にうれしかったといいますか」
元から小川とは交遊があり、山本とは試合会場で会釈するぐらいの間柄だった。そこに、同じくオールスターゲームに選出された備一真(VC長野トライデンツ)を加えた4人は、開催地の石川の地で『リベロ会』なる食事の席を設けている。
バレーボールのこと、それ以外のこと、様々な話題で盛り上がったというが、森は先輩リベロたちへ質問をぶつけたそう。
「うれしいことに『森はサーブレシーブがうまいな』と言ってくださったので、『じゃあ、ディグを教えてください』って返したんです。僕自身、サーブレシーブは得意にしていたのですが、ディグはまだまだ改善の余地があると感じていたので…」
とくに山本は『ディグの神』と称されるほどのレシーブ力を持ち合わせる。小川もクラブ、代表では幾度となく相手に決定機を与えない姿が印象的だ。その2人の答えは…
「『止まっていたら上がるよ』って(笑)。さすがに、もうちょっと詳しく教えてくださいとお願いしたんですけど、『マジで、止まっていたら上がるから。あとはビビらんかったらいい』と言われましたからね」
森にしても「まだ、ちょっと及ばない」と苦笑いを浮かべるほどの境地に、小川や山本は立っているということか。とはいえ、そうしたトッププレーヤーと触れ合う機会は何よりの刺激となった様子。
「確かに、山本選手のディグの映像を見る機会も多いのですが、やはりビビってないですし、止まってしっかりと反応しているんです。レシーブのときにそれほど動いてない。だからこそ反応できているんだろうな、と思いますし、もっともっと自分の中で吸収したいですね」
トップサーブレシーバーを獲得した森愛樹
今春、クラブシーズンを終えて男子日本代表の国内合宿も経験した森。トップサーブレシーバーの勲章を手にしてもなお、ディグの上達も含めて、ここからさらにレベルアップに励んでいく。
文/写真:坂口功将
坂口 功将
スポーツライター。1988年生まれ、兵庫県西宮市育ち。
「月刊バレーボール」編集部(日本文化出版)で8年間勤めたのち、2023年末に独立。主にバレーボールを取材・執筆し、小学生から大学生、国内外のクラブリーグ、そしてナショナルチームと幅広いカテゴリーを扱う。雑誌、ウェブメディアへの寄稿のほか、バレーボール関連の配信番組への出演やイタリア・セリエAの解説も務める。
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