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石川祐希(ペルージャ)
イタリアに渡り11年目、今季は石川 祐希にとって苦難のシーズンとなった。
クラブにとって初優勝となった昨シーズンはコートに立ち、決勝ではポーランドのザビエルチェを相手にチーム最多の20得点を叩き出し、フルセット勝利の立役者と言うべき活躍を見せた。日本人の男子選手でヨーロッパチャンピオンズリーグを制したのも、石川が初めて。
中央大学在学時の2014年にモデナへ渡って以後、11シーズンに及ぶイタリアでの挑戦がまさに最高の形で結実する形となった。
バレーボール ヨーロッパチャンピオンズリーグ 2026 男子
日本を代表する選手であるだけでなく、もはや世界の『ユウキ・イシカワ』。充実のクラブシーズンに続いて、パリ五輪を経て新体制となって迎えた昨季の日本代表でも主将を務めたが、世界選手権ではトルコ、カナダに敗れ予選リーグを突破することができなかった。
だからこそ、というわけではないが、石川にとってペルージャでの2シーズン目は代表で得た多くの課題や重ねた経験を活かすべく、「昨年以上に活躍できる自信がある」と意気込み迎えたシーズンだった。
まさに有言実行とばかりに開幕からスタメン出場を果たし、昨年は届かなかったスクデット、コッパイタリアを含めた主要タイトルの全制覇を目指し、幸先のいいスタートを飾ったように見えた。
バレーボール ヨーロッパチャンピオンズリーグ 2026 男子
だが、石川だけでなく世界各国のトップオブザトップの選手が揃うペルージャでは、試合に出るのも容易いことではない。
シーズン当初からポーランド代表のカミル・セメニウク、元ウクライナ代表のオレフ・プロトニツキ、石川を含めた3枚のアウトサイドヒッターが、その時々のコンディションや相手との相性によって起用されていたが、なかなか調子が上がらなかったプロトニツキを復調させるべく、アンジェロ・ロレンツェッティ監督は、プロトニツキを試合で起用する機会を増やし、対角にセメニウクと石川が入る。
欧州連覇を目指すペルージャ
毎試合ではない中でも結果を残してきたが、昨年末の世界クラブ選手権の前後から徐々に出場機会を減らす。そして、真の『苦難』に見舞われたのが、世界クラブ選手権で大阪ブルテオンとの決勝を制した後、2026年を迎えた2月に入ってからだ。
リーグ戦だけでなく数多くの試合を戦わなければならないペルージャは、他のクラブと比べてもハードスケジュールが続く。選手のコンディション管理も難しく、不調やケガなどアクシデントも相次ぐ中、2月2日のパドヴァ戦の第1セット序盤、石川もサーブレシーブの際に右膝をひねり、直後は立つことができず交代を命じられた。
すぐに検査、診察を受けた結果、診断は右膝内側側副靱帯損傷。重度が3段階で分けられる症状のうち石川は『2』。手術の必要はなかったが決して軽傷ではなく、直後のコッパイタリアにはユニフォームを着てベンチ入りは果たしたものの、チームは準決勝でヴェローナに敗れ3位に終わった。
その後も同様にベンチ入りは果たすも、なかなか出場機会はない。シーズンに間に合うのか、日本で石川の活躍に期待するファンは不安も抱いたが、石川自身は常にブレず、イタリアへ渡って以後、大きな目標に掲げてきたイタリアリーグの制覇、スクデットとチャンピオンズリーグの制覇に向け、自身がすべきことに向き合い続ける。
そして、迎えた5月6日。チビタノーバとのリーグファイナルに臨んだペルージャは3戦3勝で悲願のスクデットを獲得。石川も第1セットにリリーフサーバーで出場し、3か月ぶりの出場を果たすと会場からは大歓声が沸き起こった。
多くのスター選手が集う中、今季はケガも重なり苦しいシーズンを過ごす石川に、これほどの声援が送られた理由は明確だ。彼がここまで、イタリアで歩んできた歴史をペルージャのサポーターたちは見てきた。
日本のバレーボールのレベルや注目度を引き上げ、ペルージャでも幾度となく会場を沸かせる主役を演じた石川の凄さと、バレーボールに対するひたむきな姿勢や努力する姿を誰もが知っているから――。
残す大会は1つ、5月16日に準決勝、17日にファイナルが行われるチャンピオンズリーグのみ。ペルージャがスクデットに続いて、チャンピオンズリーグでの連覇を成し遂げるのか。そして石川はどのタイミングでコートに立ち、どんなプレーを見せるのか。
最終決戦は、間もなくだ。
文:田中夕子
田中 夕子
神奈川県生まれ。神奈川新聞運動部でのアルバイトを経て、月刊トレーニングジャーナル編集部勤務。2004年にフリーとなり、バレーボール、水泳、フェンシング、レスリングなど五輪競技を取材。WEB媒体、スポーツ専門誌を中心に寄稿し、著書に「日本男子バレー 勇者たちの奇跡」(文藝春秋)、「高校バレーは頭脳が9割」(日本文化出版)。「夢を泳ぐ」「頂を目指して」(徳間書店)、「絆があれば何度でもやり直せる」、凡事徹底 前橋育英高校野球部で教え続けていること」(カンゼン)など、指導者、アスリートの著書では構成を担当
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