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サッカー フットサル コラム 2020年3月31日

映画『ディエゴ・マラドーナ 二つの顔』を見た。同時代人の一人として、涙なしには見られない彼のナポリ時代

後藤健生コラム by 後藤 健生
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だが、何の教育も受けずにいきなり神格化されてしまった20歳代の若者の心は次第に蝕まれていたのだ。ナポリを本拠とするマフィア組織「カモッラ」に利用されて薬漬けになり、また、マラドーナの息子を出産した女性が名乗りを上げるなど女性スキャンダルにも巻き込まれる。

そして、1990年のワールドカップでは地元優勝を狙っていたイタリア代表が準決勝でなんとマラドーナのアルゼンチンに敗れてしまったのだ。しかも、運命の悪戯だったのか、イタリア対アルゼンチンの試合会場となったのはナポリだった。

ナポリの市民はもちろん母国イタリアを応援するのだが、同時に北部の都市とは違ってマラドーナに対する同情心も働いており、ナポリっ子の心は引き裂かれ、そしてイタリアが敗れたことによってナポリを含むイタリアの国民はマラドーナに怒りの感情を向けるようになっていく。女性問題や麻薬の問題、脱税など様々なスキャンダルが追求され、マラドーナはイタリアを追われてしまう。

映画が焦点を当てるのは、このナポリの街でディエゴ・アルマンド・マラドーナという青年が、ディエゴという純朴な人格とマラドーナという神格化された公的な人格に引き裂かれていく過程を追っていく。

幼少時代のお宝映像から始まって、ナポリ時代のクラブ会長などのサッカー関係者はもちろん、元妻のクラウディア・ビジャファネと愛人で“息子”を生んだクリスティアーナ・シナグラのロングインタビューすら交えて、マラドーナのナポリ時代を克明に追っていく。

「ピッチ上のマラドーナがなぜ神なのか?」については、僕も語ることができる。だが、彼の私生活についてはまったく何も知らない。そんなマラドーナの苦悩のナポリ時代を振り返る映画だっただけに、同時代を生きてきた者の一人として、ついつい僕は涙腺を緩ませてしまったのだった。

映画は6月5日(あ、僕の誕生日だ!)から全国でロードショーとのことである。

文:後藤健生

後藤 健生

後藤 健生

1952年東京生まれ。慶應義塾大学大学院博士課程修了(国際政治)。64年の東京五輪以来、サッカー観戦を続け、「テレビでCLを見るよりも、大学リーグ生観戦」をモットーに観戦試合数は3700を超えた(もちろん、CL生観戦が第一希望だが!)。74年西ドイツ大会以来、ワールドカップはすべて現地観戦。2007年より関西大学客員教授

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