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まず立ち上がりに、アグレッシブに仕掛けていくつかのチャンスを作って、相手を押し下げることに成功。その後は、動きをセーブして試合をコントロール。トップの大迫勇也も中盤に下りてきて、柴崎岳、橋本とともに中盤でミスマッチを作って、4−1−4−1のパラグアイの中盤を制圧。そんな中で、攻めに行くスイッチが入った時には全員が呼吸を合わせてギアを上げて、2ゴールを決めた。
23分に長友佑都が鋭いグラウンダーのクロスを入れた瞬間、ゴール前の駆け引きでフリーになった大迫がしっかり合わせて先制すると、30分には橋本が浮き球でつなぐと中島翔哉が大きく逆サイドに展開してフリーで走り込んだ酒井宏樹が折り返し、最後はフリーの南野拓実が決めた。
どちらも、何人もの選手が連動した素晴らしいビッグゴールだった。
そして、その後はチャンスを作りながらも、行くときは行くが、無理はせずにゲームをコントロールして、パラグアイにほとんどチャンスを作らせないまま無失点で切り抜けた。
パラグアイが万全の状態でなかったことは明らかだが、しかし、もしパラグアイのコンディションが良かったとしても(球際の争いなどで苦しんだもしれないが)、日本が負ける要素はほとんどない。それほどの力の差を見せつけた。
単に全力を出し尽くして戦うだけでなく、試合の流れを読んで、時間帯や状況に合わせてプレーを選択する。そんな試合ぶりを見て、「日本のサッカーは本当に強くなったな」と思わせる試合だった。
これなら、ヨーロッパとの長距離移動でコンディションが悪くても、アウェーで難しいコンディションであったとしても勝利をつかめることだろう。大量点を狙うのでなく、確実に勝点3を積み重ねるためにプレーをコントロールしながら戦っていけばいいのだ。ワールドカップ予選は安心して見ていられそうだ。
フランス・ワールドカップから21年。プロリーグ発足から26年目の日本サッカーの立ち位置である。バスケットも、いつかはチェコのような相手からはしっかり勝利を手繰り寄せ、アメリカとも対等に渡り合える日が訪れることだろう。
後藤 健生
1952年東京生まれ。慶應義塾大学大学院博士課程修了(国際政治)。64年の東京五輪以来、サッカー観戦を続け、「テレビでCLを見るよりも、大学リーグ生観戦」をモットーに観戦試合数は3700を超えた(もちろん、CL生観戦が第一希望だが!)。74年西ドイツ大会以来、ワールドカップはすべて現地観戦。2007年より関西大学客員教授
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