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スキー コラム 2023年4月4日

モーグルとデュアルモーグルが対等になった変革の’23シーズンを振り返る

ブラボー!!モーグル by STEEP
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DMのクリスタルグローブを手にしたのもやはりこの2人だった

世界選手権に続きW杯最終戦もラフォンとキングスベリーが制する

3月中旬にカザフスタンのアルマトイで行われた、モーグル(以下:MO)、デュアルモーグル(以下:DM)の最終戦をもって、長いようで短い’23シーズンのモーグルW杯が幕を閉じた。このコラムでも再三言及しているように、ミラノ・コルティナ五輪よりDMが五輪種目となったことで、W杯においてもMOとDMは対等な関係に変化、大会数も同数(各6戦)となった。今回は、最終戦の結果を確認しつつ、そんな変革のシーズンをプレイバックしたい。

■MO最終戦・アルマトイ大会RESULT
〈女子〉
1ペリーヌ・ラフォン(FRA)
2ジェイリン・カーフ(USA)
3テス・ジョンソン(USA)

〈男子〉
1ミカエル・キングスベリー(CAN)
2パヴェル・コルマコフ(KAZ)
3マット・グラハム(AUS)

■DM最終戦・アルマトイ大会RESULT
〈女子〉
1ペリーヌ・ラフォン(FRA)
2ジェイリン・カーフ(USA)
3オリビア・ジアッシオ(USA)

〈男子〉
1ミカエル・キングスベリー(CAN)
2ウォルター・ウォルバーグ(SWE)
3マット・グラハム(AUS)

最終戦で表彰台に上がったのは上記の面々である。世界選手権の勢いそのままに、女子はペリーヌ・ラフォン(FRA)、男子はミカエル・キングスベリー(CAN)がMO、DMで優勝を果たした。
ジャパンチームとしては残念な大会となり、女子のエース・川村は負傷欠場。J SPORTSのスタジオからゲスト解説者として最終戦を観戦することとなった。MO総合2位死守を狙った堀島はスーパーファイナル進出ならず8位。DMでもセミファイナル、スモールファイナルで敗れ4位に終わった。女子MOでは冨高日向子、柳本理乃がスーパーファイナルに進出したが、冨高は4位、柳本は5位。冨高の自身初表彰台はお預けとなった。

堀島はキングスベリーとの差が埋められず。グラハムはバージョンアップ復活!

■男子MO総合TOP5
1ミカエル・キングスベリー(CAN)540
2マット・グラハム(AUS)336
3堀島行真(JPN)329
4ニック・ペイジ(USA)292
5ウォルター・ウォルバーグ(SUI)233

■男子DM総合TOP5
1ミカエル・キングスベリー(CAN)462
2ウォルター・ウォルバーグ(SWE)374
3堀島行真(JPN)331
4フィリップ・グラベンフォース(SWE)265
5マット・グラハム(AUS)256

総合ランキング上位を照らし合わせながら、’23シーズン全体を振り返ろう。男子を一言で言い表せば、“絶対王者が健在ぶりをアピールしたシーズン”だといえる。キングスベリーは、以前のように連戦連勝の状態ではない。DMでは珍しく予選落ちもあった。しかし、MOで6戦3勝&2位2回、DMで6戦3勝&2位3回と、予選落ちの大会以外は必ず100点か80点をゲットしているのだ。その安定感は他の追随を許さなかった。堀島はMOで1勝、DMで2勝を記録したが、やはり表彰台を逃す大会が全体の半分程度あったのだ。あえて厳しく表現すれば、卓越したスキー技術やエアのセンスを誇りながら、堀島はいま季もキングスベリーとの差を埋めることができなかった。W杯総合優勝、ミラノ・コルティナ五輪金メダル獲得を目標に掲げる堀島のチャレンジは続く。

また、特筆すべきは負傷により昨季はほとんど存在感のなかったマット・グラハム(AUS)の完全復活だ。MO第5戦では’17季以来となる優勝をゲットするなど、以前よりも進化して戻ってきたのである。
また、急成長株として目が離せない存在となったのだ20歳のニック・ペイジ(USA)だ。1440もこなせる高いエア能力で以前から注目されていたが、いま季はいよいよブレイク。MOではスーパーファイナル進出回数が6戦中5戦と堀島より多く、第2戦では優勝も達成。急成長の過程にあり、3年後のミラノ・コルティナ五輪では金メダル候補のひとりになっている可能性は高い。そのほか、3月下旬にヴァルマレンコで行われたジュニア世界選手権でMO、DMともに優勝、W杯DM総合4位のフィリップ・グラベンフォース(SWE)の名前も覚えておきたい。この新鋭は、18歳にしてDMで2戦表彰台に立っているのだ。種目の独立によりこのような“DMで強い選手”が生まれてくるのは自然な現象だろう。

ウォルバーグ(左)は出遅れが総合順位に響く。グラハム(右)は滑りの質をさらに向上させる

川村は不調ではなかったがMO、DMともに総合優勝には届かず

■女子MO総合TOP5
1ジャカラ・アンソニー(AUS)480
2ペリーヌ・ラフォン(FRA)430
3ジェイリン・カーフ(USA)341
4川村あんり(JPN)293
5柳本理乃(JPN)223

■女子DM総合TOP5(第5戦終了時点)
1ペリーヌ・ラフォン(FRA)520
2川村あんり(JPN)380
3ジェイリン・カーフ(USA)312
4エリザベス・レムリー(USA)280
5オリビア・ジアッシオ(USA)258

女子は、MOがジャカラ・アンソニー(AUS)、DMはラフォンが総合優勝。北京五輪金メダリストのアンソニーはDMでは力を発揮できず二冠はならず。むしろ、ここでクローズアップしたのはラフォンの強さだ。北京五輪でメダルを逃したこともあり、モチベーション低下も懸念されたが、そんな様子は見られず、むしろ力強さを増した。世界タイトルコレクターの彼女は初のW杯DM総合優勝を掴み、手にしていないのは五輪DMのみという状態となった。その目標がある限り、その牙城は簡単には揺るがないのだろう。

総合優勝が期待された川村は、MOで表彰台3回の優勝1回、DMで表彰台4回の優勝2回と決して悪くなかった。最終戦欠場の部分を差し引いても、アンソニー、ラフォンを超えるためには、結局のところ優勝の回数をあと2つ、3つと増やしていくしかないのである。
北京五輪で強烈なターンを見せて銀メダルを獲得したジェイリン・カーフ(USA)は今季も勢いがあった。男子のグラハムと同様のポジションにおり、W杯を面白くする存在だといえる。女子の若手最も注目株はエリザベス・レメリー(USA)だろう。川村より若い17歳で、いま季はDMで初優勝し、表彰台はDM2回、MO1回。いま後、川村のライバルに浮上するか?

DMでは揃ってイエロービブを着用したこともあった堀島と川村

柳本がナンバー2の地位を揺るぎないものに。若手も見せ場を作る

■日本チームの総合順位
【女子】
川村あんり:MO4位/DM2位
柳本理乃:MO5位/DM7位
冨高日向子:MO10位/DM12位
梶原有紀:MO17位/DM14位
中尾春香:MO15位/DM16位
井原遥香:MO21位/DM23位

【男子】
堀島行真:MO3位/DM3位
杉本幸祐:MO8位/DM13位
村田優太郎:MO12位/DM15位
松田颯:MO22位/DM14位
藤木豪心:MO17位/DM21位
島川拓哉:MO25位/DM31位

最後にいまシーズンの日本チームの歩みを振り返りたい。前述した堀島、川村以外でもっとも目立ったのは柳本だ。MO、DM問わず安定したリザルトを残している。得にMOでは総合5位と歴代日本女子選手のなかでも屈指の順位を得た。あと一歩、もう一段回前進できれば表彰台の常連になれそうな位置につけているのだ。

一方、昨季はMO総合4位に輝いた杉本幸祐はMOでスーパーファイナル進出が1戦のみと、いまひとつ調子を掴むことができないシーズンとなった。他の男子選手は村田優太郎DM4位、松田颯はDM5位、藤木豪心MO6位、島川拓哉DM10位がベストリザルト。来季はここから誰が頭一つ抜け出せるかが焦点となろう。

女子は若きベテランの冨高は、なかなか殻を破ることができずにいたが、最終戦表彰台に迫ったのが大きかった。これを来季につなげたい。他選手も梶原有紀DM7位(2回)、中尾春香はDM10位、井原遥香MO9位とそれぞれ見せ場を作っている。

さて、このコラムも今回が最終回である。最後に、五輪も世界選手権もないW杯の密度がアップする’24シーズンは負傷欠場8ヶ月後に迫っていることを確認したい。

最後に勢揃いした最終戦の出場選手たち。日本チームはどこにいる?

文:STEEP

STEEP

スキー・スノーボードの本質を追いかけるWEBメディア。90年代からフリースタイルスキーを追う編集部による、モーグルW杯の見どころを紹介。サイトでは様々な情報を更新中。https://steep.jp/

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