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カザフスタン、ロシアでの2戦が終わり、W杯は最終コーナーをまわった段階に。そして、秋田たざわ湖大会DMが中止により第9戦となったカザフスタン・シムブラック大会で女子の、第10戦ロシア・クラスノヤルスク大会で男子の総合優勝が決まった。まずは、ともにDMとして行われたその2戦の展開を振り返ってみたい。
同じく8連覇を果たしていたアルペンスキーのマルセル・ヒルシャー(AUT)が引退。キングズベリーのW杯9連覇はすべてのスキー競技を通じて新記録となる
2戦連続でDMならではのハプニング発生も、男女の総合Vが決まる
第9戦カザフスタン・シムブラック大会は、固めのコブに苦戦する選手が目立ち、ランキング1位を走るペリーヌ・ラフォン(FRA)とミカエル・キングズベリー(CAN)がいずれも優勝を逃すという結果となった。 女子のセミファイナルに進んだのは、片方のブロックがラフォンとジャエリン・カーフ(USA)。もう片方のブロックは住吉輝紗良(JPN)とジャカラ・アンソニー(AUS)だった。ここで、ラフォンがまさかの転倒し、持ち味であるスピード感のある滑りをみせたカーフが勝利。そして、途中でバランスを崩した住吉をアンソニーが降した。ファイナルでは、またも高速ランを見せたカーフがアンソニーを圧倒し、今季初優勝を決める。なお、ラフォンは3位決定戦で住吉に勝って体裁を保ち、アンソニーが決勝で敗れることで総合3連覇が決まった。
男子セミファイナルでは、地元優勝を狙っていたドミトリー・レイヒャード(KAZ)が第1エアがオーバー気味になりバランスを崩し、キングズベリーが勝利。また、堀島はほぼノーミスで滑り、今季急成長中のローラン・デュマス(CAN)に貫禄勝ち。
ビッグファイナルは、昨季の秋田たざわ湖大会DM以来となるキングズベリーと堀島の直接対決となった。ここで、キングズベリーは約1年前の同じ場面の再現を狙い、第1エアで超高難度エア・コーク1440を見せた。しかし、その後の展開が前回と違った。ランディング後にバランスを崩すのだ。結果、スピードで上回った堀島が、今季3勝目を飾り、極めてわずかながら総合優勝の可能性を残した。なお、堀島は昨季も同じ会場でのDMで優勝している。
ロシアのクラスノヤルスクに舞台を移した第10戦は、女子は順当、男子は波乱ありのストーリーに。 女子のビッグファイナルはラフォンとアンソニーの対決に。前回大会で転倒したラフォンは、またいつもの彼女に戻り、今季8度目のVを達成する。
男子はベスト16でまさかの展開があった。堀島行真が、その時点で総合ランキング16位のトーマス・ガーケン-スコフィールド(GBR)のスピードに追いつけず、敗れたのだ。
このスコフィールドは、'18季からW杯に出場している堀島と同じ22歳の選手で、これまでのベストリザルトは今季第3戦タイウー大会DMの4位だ。サプライズを起こしたスコフィールドの勢いは以後も止まらず、クォーターファイナルでも勝利すると、セミファイナルでは強豪・ベンジャミン・キャヴェ(FRA)にも勝った。そして、ビッグファイナルではキングズベリーと激突。ここではさすがに貫禄負けといった印象だったが、2位をゲットし、世界に名前を売ることに成功した。
なお、キングズベリーはこの大会の結果で、前人未到&空前絶後のV9を決めた。未だ衰えることのない絶対王者は、いよいよ10連覇を現実的なものとした。
ヒゲがトレードマークのスコフィールド。イギリスの選手が表彰台にあがるのは珍しい
川村だけじゃない! 今季台頭した新星をクローズアップ
ここでは視点を変えて、今季ブレイクしたニューカマーを何人かをクローズアップしておきたい。 女子はなんといっても15歳の川村あんりの名前が最初に挙がる。開幕戦でW杯初出場にして2位という鮮烈デビューを飾った彼女は、その後も全戦で決勝に進出し、快挙がビギナーズラック的なものでないことを証明。シーズンを通じて、いろいろなコースが戦場となるなか、この結果は、その対応力の高さのあらわれともいえる。彼女はまだエアの難度面が発展途上である。逆の見方をすればそれだけ伸びしろがあるということ。2年後の北京五輪までにどこまで成長するのか? 楽しみだ。
女子では川村以上の飛躍を遂げたのが20歳のハンナ・ソアー(USA)だ。昨季の総合ランキング18位、最高位8位だった彼女は、今季は第10戦終了時点で総合5位。スーパーファイナル進出率は高く、表彰台が2回。アンソニー、カーフ、ユリア・ギャリシェバ(KAZ)、ジャスティン・デュフォー-ラポイント(CAN)らが形成する女子の第2グループの一角に仲間入りした。上半身が安定したターンはジャッジからの評価も高くなっており、今後、ラフォンを脅かす存在となる可能性も考えられる。
もうひとり、今季、第4戦で初表彰台を経験したアナスタシア・スミルノア(RUS)にも注目したい。ともに21世紀生まれで、2歳年下の川村とのエキサイティングなライバルストーリーが、数年後の女子モーグルシーンを牽引していくのではないだろうか。
まさかもあり得る、穴馬的な存在のスウェーデンの兄弟
男子では、前述のスコフィールド以外では、第8戦、第9戦と2大会連続で3位表彰台に挙がったローラン・デュマス(CAN)に勢いがある。現状ランキング6位だが、5位のマット・グラハム(AUS)が第9~10戦を欠場しており、残る2戦も不出場となれば、デュマスの更なるランクアップは確定的だ。
また、スウェーデンのフェリックス・エロフソン、オスカル・エロフソンの兄弟は面白い存在になっている。彼らは失敗も多く、安定したリザルトを残せていないが、兄のフェリックスは初表彰台を経験。弟のオスカルともどもスーパーファイナルにたびたび進出している。2人とも現状の安定感ではW杯総合ランキングでさらに上に行くのは難しいが、ダークホース的な魅力に満ちている。
なお、日本の松田颯は、序盤戦はスーパーファイナル進出など強い印象を残したが、残念ながら北米ラウンド以降失速。今季中になにか再浮上のきっかけを掴みたいところだ。
2位争いに大注目。意外な展開もありそうな北欧での2戦
さて、残るはスウェーデン・イドレでの第11戦MOと最終戦DMだ。総合優勝が決まったいま、見どころとなるのが2位争いである。
男子は、第10戦後のインタビューで、“総合2位は守りたい”といった旨の前向きなコメントを残していた堀島と、キャベに2位の可能性がある。100点以上が開いているので堀島が断然有利だが、1度の失敗で逆転の可能性は十分にあるので、最後まで気を抜けない。
女子の2位は6位の選手までにチャンスが残されている。ただし、6位のユリア・ギャリシェバは第10戦を欠場しており、残る2戦に出場するかどうかは微妙だ。もし、彼女の姿がなくとも、2位のアンソニー、3位のカーフ、4位のジャスティン、5位のソアーが苛烈な戦いを見せてくれるだろう。
日本のモーグルファンとしては、現在、ランキング9位と今季はライバルの冨高日向子とポジションを逆転させた住吉の初表彰台もそろそろ見たい。
また、地元スウェーデン勢がサプライズ的な旋風を巻き起こす可能性も考えられ、さらに総合優勝を決め余裕のあるキングズベリーが、またまた1440にトライする場面も見られるかもしれない。あるいは、堀島がそこの追随する可能性も……!? まだまだ見どころがたっぷりある今季のW杯なのである。
どのレースでも楽しみながら滑っているように見える川村。末恐ろしい15歳である
◎W杯最新ランキング(第10戦終了時点)
▶女子
1 LAFFONT Perrine(FRA) 896 |
2 ANTHONY Jakara (AUS)564 |
3 KAUF Jaelin(USA) 470 |
4 DUFOUR-LAPOINTE Justine(CAN)460 |
5 SOAR Hannah (USA) 423 |
6 GALYSHEVA Yuliya (KAZ)375 |
7 KAWAMURA Anri(JPN) 344 |
8 SUMIYOSHI Kisara (JPN)306 |
9 SMIRNOVA Anastasiia(RUS)276 |
10 JOHNSON Tess(USA) 274 |
▶男子
1 KINGSBURY Mikael(CAN) 940 |
2 HORISHIMA Ikuma (JPN) 639 |
3 CAVET Benjamin(FRA) 531 |
4 REIKHERD Dmitriy (KAZ) 362 |
5 GRAHAM Matt(AUS) 331 |
6 DUMAIS Laurent(CAN) 299 |
7 WALLBERG Walter(SWE) 284 |
8 THEOCHARIS Sacha (FRA) 271 |
9 ELOFSSON Oskar(SWE)249 |
10 ELOFSSON Felix(SWE)236 |
ハンナ・ソアーは1999年6月生まれ。'17シーズン途中からW杯に出場している選手だ
STEEP
スキー・スノーボードの本質を追いかけるWEBメディア。90年代からフリースタイルスキーを追う編集部による、モーグルW杯の見どころを紹介。サイトでは様々な情報を更新中。https://steep.jp/
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