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約1ヶ月のブランクを経て、恒例のW杯は北米ラウンドが行われた。トレンブラン(カナダ)、カルガリー(カナダ)、ディアバレー(アメリカ)での4戦で、昨季の総合優秀者のペリーヌ・ラフォン(FRA)、ミカエル・キングズベリー(CAN)が、それぞれ4戦3勝と圧倒的な強さを見せ、ともに開幕戦からキープする総合ランキング1位のポジションを盤石なものとした。ラフォンは安定感を一層増し、キングズベリーは9連覇に向けて衰える気配がまったくない。
復活ジャスティンが第7戦で優勝も、総合点でラフォンに及ばず
女子でラフォン以外に特筆すべき存在は、ジェスティン・デュフォー・ラポイント(CAN)だ。2大会連続五輪メダリストで世界選手権の優勝経験もある彼女はここ数シーズン、ピークを過ぎた印象を拭えなかった。課題はエアの難度アップだったが、今季、コークを取り入れることで克服。持ち味である攻撃的なターンも復活した。北米ラウンドでは、カルガリーでの第5戦、ディアバレーでの第6戦で3位、そして、同じくディアバレーでの第7戦で久々の優勝。ラフォンに続く総合2位につけている。
ジャスティンに続くのが、3位のジャカラ・アンソニー(AUS)、4位ユリア・ギャリシェバ(KAZ)、5位のジャエリン・カーフ(USA)という昨季、優勝経験のある面々。しかし、彼女たちは今季まだ一度も優勝がなく、ラフォンの独走を許す形になっている。
日本勢では、住吉輝紗良が第5戦での今季2度目のスーパーファイナル進出が光る。注目の川村あんりは、北米で全戦決勝進出を果たしたが、第5戦での7位が最高順位だった。
ジャスティンに続くのが、3位のジャカラ・アンソニー(AUS)、4位ユリア・ギャリシェバ(KAZ)、5位のジャエリン・カーフ(USA)という昨季、優勝経験のある面々。しかし、彼女たちは今季まだ一度も優勝がなく、ラフォンの独走を許す形になっている。
日本勢では、住吉輝紗良が第5戦での今季2度目のスーパーファイナル進出が光る。注目の川村あんりは、北米で全戦決勝進出を果たしたが、第5戦での7位が最高順位だった。
エアの向上で、かつての輝きが戻ってきたジャスティン
予想された通りに2強がリードする展開に。エア新時代到来ならず!?
男子は、第6戦ディアバレー大会で今季2度目の優勝を果たした堀島がキングズベリーを追随。これまで、堀島は失敗から取りこぼしをするレースが度々あり、その部分がキングズベリーとの大きな差だったが、今季は表彰台を逃したのは1戦のみ。弱点を克服している。
この2強に差をつけられるかたちで、ベンジャミン・キャヴェ (FRA)、マット・グラハム(AUS)、ウォルター・ウォルバーグ(SWE)らが続くというシーズン前に予想された展開通りになっている。
なお、昨季の秋田たざわ湖大会DMで、キングズベリーがコーク1440を世界で初めて成功させたことから、「今季は一気にエアの新時代に突入か?」といった事前の見方もあった。ところが、これは大きく外れ、いまのところは大きな波は起きていない。女子は日本の星野純子や冨高日向子も含め、コークに挑む選手が増えてきたが、北京五輪に向けて男子のエアは進化していくのか? それとも現状維持なのか? 興味深いポイントとなる。
もう一点、男子に関して触れておきたいのがスウェーデン勢についてだ。ウォルバーグに限らず、総合7位のオスカー・エロフソン、8位のフェリックス・エロフソンらがたびたびスーパーファイナルに進出しており、W杯をかき回す面白い存在になっている。フェリックスはディアバレーでの第6戦で初表彰台(2位)を経験した。
この2強に差をつけられるかたちで、ベンジャミン・キャヴェ (FRA)、マット・グラハム(AUS)、ウォルター・ウォルバーグ(SWE)らが続くというシーズン前に予想された展開通りになっている。
なお、昨季の秋田たざわ湖大会DMで、キングズベリーがコーク1440を世界で初めて成功させたことから、「今季は一気にエアの新時代に突入か?」といった事前の見方もあった。ところが、これは大きく外れ、いまのところは大きな波は起きていない。女子は日本の星野純子や冨高日向子も含め、コークに挑む選手が増えてきたが、北京五輪に向けて男子のエアは進化していくのか? それとも現状維持なのか? 興味深いポイントとなる。
もう一点、男子に関して触れておきたいのがスウェーデン勢についてだ。ウォルバーグに限らず、総合7位のオスカー・エロフソン、8位のフェリックス・エロフソンらがたびたびスーパーファイナルに進出しており、W杯をかき回す面白い存在になっている。フェリックスはディアバレーでの第6戦で初表彰台(2位)を経験した。
たざわ湖では2度の優勝経験のある堀島
総合ランキングからよむ、総合優勝争いの行方
◎W杯最新ランキング(第7戦終了時点)
▶女子
1 LAFFONT Perrine(FRA) 636 |
2 DUFOUR-LAPOINTE Justine(CAN) 389 |
3 ANTHONY Jakara (AUS)344 |
4 GALYSHEVA Yuliya (KAZ)343 |
5 KAUF Jaelin(USA)295 |
6 SOAR Hannah (USA) 294 |
7 KAWAMURA Anri(JPN) 227 |
8 SMIRNOVA Anastasiia(RUS)212 |
9 SUMIYOSHI Kisara (JPN)191 |
10 JOHNSON Tess (USA)184 |
▶男子
1 KINGSBURY Mikael(CAN)660 |
2 HORISHIMA Ikuma (JPN) 515 |
3 CAVET Benjamin(FRA)386 |
4 GRAHAM Matt(AUS)286 |
5 WALLBERG Walter(SWE)284 |
6 REIKHERD Dmitriy (KAZ)196 |
7 ELOFSSON Oskar(SWE) 187 |
8 ELOFSSON Felix(SWE) 160 |
9 DUMAIS Laurent(CAN)159 |
10 THEOCHARIS Sacha(FRA)157 |
最後に、今後の総合優勝争いについて、現時点(第7戦終了時)のランキングを眺めながら検証してみよう。
女子はラフォンがすでに6勝(昨季はシーズン4勝)で636点。これを追いかけている第2グループの選手たちが200点台後半~300点台だ。
今季は残る6戦なので、今後獲得できるポイントは最大600点(全戦優勝)で、最小が0点(全戦DNF、DNS、または欠場など)。ラフォンが万が一、何らかの理由で以後1点も獲得できなかったと仮定すると、数字の上では29位の選手(38点)までに優勝の可能性があることになる。ただ、それはあくまで万が一の話であり、その安定感を考えると、彼女の3連覇の可能性は大きい。
では、第2グループの選手達が付け入るスキはないのか? 多少、強引にそのカギを見出すとすれば、ヒントは第7戦の結果にある。第6戦まで連勝だったラフォンは今季初めて崩れ7位。このレースはDMだった。
実はラフォンはここ3シーズン、DMで6戦中2戦しか優勝していない(過去4シーズンなら9戦中2勝)。'19季より採点方法が変わったので'18季以前のデータは参考記録扱いが正しいのかもしれないが、ともかくDMでの勝率が高いとはいえないのだ。そして、 残る6戦中4戦がDMだという現実がある。300点以上という点差を考えると簡単ではないが、DMを4戦も残した段階で、第2グループの選手たちに大逆転のチャンスはゼロではない!?
男子はまた状況が違う。唯一の500点台で660点のキングズベリーのすぐ後ろを走っている堀島には、ホームであるたざわ湖での2戦があることもあり、まだまだ逆転の可能性は十分。ここでもカギはDMにあり、できるだけビッグファイナルではない段階でキングズベリーと対戦し、勝利するということが続けば、念願の総合優勝も現実的なものになる。
さて、次回は2月22~23日のたざわ湖での2戦だ。雪不足から一時は大会開催が危ぶまれたが、その後、降雪があり中止の心配はなくなった。この2戦はカザフスタン、ロシア、スウェーデンでの終盤戦の流れを決める重要なレースとなるだろう。川村あんり、松田颯、伊原遥香ら、今季W杯デビューですでに結果を出している新星たちの自国でのパフォーマンスも楽しみだ。
女子はラフォンがすでに6勝(昨季はシーズン4勝)で636点。これを追いかけている第2グループの選手たちが200点台後半~300点台だ。
今季は残る6戦なので、今後獲得できるポイントは最大600点(全戦優勝)で、最小が0点(全戦DNF、DNS、または欠場など)。ラフォンが万が一、何らかの理由で以後1点も獲得できなかったと仮定すると、数字の上では29位の選手(38点)までに優勝の可能性があることになる。ただ、それはあくまで万が一の話であり、その安定感を考えると、彼女の3連覇の可能性は大きい。
では、第2グループの選手達が付け入るスキはないのか? 多少、強引にそのカギを見出すとすれば、ヒントは第7戦の結果にある。第6戦まで連勝だったラフォンは今季初めて崩れ7位。このレースはDMだった。
実はラフォンはここ3シーズン、DMで6戦中2戦しか優勝していない(過去4シーズンなら9戦中2勝)。'19季より採点方法が変わったので'18季以前のデータは参考記録扱いが正しいのかもしれないが、ともかくDMでの勝率が高いとはいえないのだ。そして、 残る6戦中4戦がDMだという現実がある。300点以上という点差を考えると簡単ではないが、DMを4戦も残した段階で、第2グループの選手たちに大逆転のチャンスはゼロではない!?
男子はまた状況が違う。唯一の500点台で660点のキングズベリーのすぐ後ろを走っている堀島には、ホームであるたざわ湖での2戦があることもあり、まだまだ逆転の可能性は十分。ここでもカギはDMにあり、できるだけビッグファイナルではない段階でキングズベリーと対戦し、勝利するということが続けば、念願の総合優勝も現実的なものになる。
さて、次回は2月22~23日のたざわ湖での2戦だ。雪不足から一時は大会開催が危ぶまれたが、その後、降雪があり中止の心配はなくなった。この2戦はカザフスタン、ロシア、スウェーデンでの終盤戦の流れを決める重要なレースとなるだろう。川村あんり、松田颯、伊原遥香ら、今季W杯デビューですでに結果を出している新星たちの自国でのパフォーマンスも楽しみだ。
STEEP
スキー・スノーボードの本質を追いかけるWEBメディア。90年代からフリースタイルスキーを追う編集部による、モーグルW杯の見どころを紹介。サイトでは様々な情報を更新中。https://steep.jp/
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