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アジアで4カ国目となるカザフスタンが舞台。最終ラウンドはまさかの展開に!?
すでに8連覇を決め、気持ちに余裕を持ってカザフスタン大会に臨んだキングズベリー
カザフスタンのシムブラクで今季のW杯最終ラウンドが行われた。同国でのフリースタイルスキーのW杯開催は初めてのこと。南東部にある大都市・アルマトイが2022年冬季五輪として立候補するなど、カザフスタンは近年、冬季スポーツイベントの招致に積極的で、今後もシムブラクがモーグルW杯の舞台として定着する可能性は高い。
地元での初大会で世界選手権女王が主役となるも、総合優勝はラフォンに決まる
男子の実力者・レイヒャードが欠場する中、ギャリシェバが初開催の地元大会を盛り上げた
大会初日の3月2日(土)は第9戦、今季最後となるMOだ。
女子は“総合優勝をほぼ手中に収めたペリーヌ・ラフォン(FRA)を、逆転Vの可能性を残しているジャエリン・カーフ(USA)、ジャカラ・アンソニー(AUS)が追い越すことができるのか?”そして、“総合4位のユリア・ギャリシェバ(KAZ)が地元でどこまで意地を見せるか?”といったところが焦点だった。ところが、オーストラリア勢は男女ともにこの大会には不出場。その時点で、アンソニーの総合優勝は消え、ラフォンが10位以内に1度でも入れば総合優勝を手中にできる有利な展開となった。
予選、ファイナル1を経て、スーパーファイナルへは、上からギャリシェバ、ジャスティン・デュフォー・ラポイント(CAN)、ラフォン、カーフ、オリビア・ジアッシオ(USA)、星野純子(JPN)という面々が進出。この時点でラフォンの2連覇が決まった。
スーパーファイナルでは、まず星野が渾身のパフォーマンスで暫定首位に(75.81点)。次のジアッシオは失敗で14.00点。
続くカーフは持ち味の攻撃的なターンで結果的にラップを取るが、ターンが乱れて53.71点で星野に届かず。
優勝が決まったラフォンは79.11点の高得点で、2名を残して暫定トップに浮上。そして、終盤戦になって調子を上げてきたジャスティンが76.684点で暫定2位となり、ラフォンとジャスティンの表彰台が決まる。
最終滑走者となったギャリシェバはホームの大歓声を後押しに、今季の世界選手権の優勝得点を上回る79.69というハイスコアを記録。嬉しい自国での優勝となった。
絶対王者に続き新次元エアを成功させた堀島が今シーズン初優勝を達成!
堀島は“1440が優勝するための大きな武器となる”ことを、スコアで証明した
男子は、すでにミカエル・キングズベリー(CAN)が総合8連覇を決めたことから、堀島行真(JPN)、ベンジャミン・キャヴェット(FRA)、ウォルター・ウォルバーグ(SWE)、原大智(JPN)ら、2位以下のランキングの行方が興味深いポイントだった。
また、“前回の秋田たざわ湖大会でキングズベリーが初めて実戦で成功させたコーク1440を、堀島が先駆者(今季、開幕戦で初トライも失敗)としてメイクすることができるか?”という注目点もあった。
結果をみると、この第9戦はキングズベリーと堀島がすべてを持っていくことになる。何しろ、予選、ファイナル2、スーパーファイナルとすべて、この両者がトップ2を独占したのだ。
スーパーファイナルに進んだのは、1位キングズベリー、2位は堀島、以下、ウォルバーグ、ユミ・サロネン(FIN)、原、ルドヴィク・ジャルストロム(SWE)の順で、北欧勢が3名という最近では珍しい顔ぶれに。
最初に滑ったジャルストロムは71.20点、次の原は78.03点、続くサロネンはDNF。第四滑走者のウォルバーグは、原を上回る78.67点で暫定トップとなり表彰台を決める。残るは堀島とキングズベリーだ。
ここで勝負をかけた堀島はコーク1440を成功させてゴール。81.72点でウォルバーグを上回った。
最後のキングズベリーは79.37点と絶対王者にしては点が伸びず、堀島が今季初優勝を果たした。
両者のポイントは、キングズベリーがタイム点=16.22、エア点=14.75、ターン点=48.40。堀島がタイム点=15.87、エア点=16.25、ターン点=49.60。この数字をじっくり見比べると、差がついたのはターン点以上にエア点だったことが分かる。
最終戦は悪天候でキャンセルに。ただし、総合優勝争いには影響ナシ
全レース表彰台! パーフェクトな安定感で総合V2を決めたラフォン
今季のW杯は、第9戦でピリオドが打たれた。なぜなら、大会2日目の第10戦DMが悪天候によりキャンセルになったのだ。そのため、総合成績は第9戦までの成績で決められることに。
結果トップ3は、男子は優勝がキングズベリー(8シーズン連続)、2位が堀島、3位がキャベ。女子は優勝がラフォン(2シーズン連続)、2位がカーフ、3位はアンソニーの順。
堀島は昨シーズン、自身が記録した日本人男子選手の最高位を更新。同じく昨季にドミトリー・レウヒャード(KAZ/今季は怪我で途中から戦線離脱)が記録した、アジア勢の男子選手最高位に並んだ。
3シーズン連続して、“絶対王者に勝つ”という実績を残した堀島だが、まだまだ、互角の好敵手……と呼ぶには早い。キングズベリーとの間には総合点で300点以上の差を付けられているのが現実だ。
また堀島はMO全7戦でスーパーファイナル進出5回、DM全2戦でセミファイナル進出2回、計7回表彰台に迫りながら、優勝1回、2位3回と3度表彰台を逃している。
一方、キングズベリーはMOでスーパーファイナル進出7回、DMでセミファイナル進出2回のうち、優勝7回、2位1回で表彰台を逃したのは1回だけ。予選から決勝までほとんどミスをしないのが王者たる所以だ。
他の男子の上位選手は堀島同様にシーズンを通じて、取りこぼしが何度かある。技術的な部分だけではなく、これがキングズベリーとの大きな差と言える。
これは女子も同様。ラフォンは、全レース表彰台に上がり、優勝4回、2位4回、3位1回と絶対的な安定感を見せた。彼女はキングズベリーのように連戦連勝ではなかったため、局面によってはカーフ、アンソニーらにも総合優勝のチャンスもあった。だが、やはりシーズンを通して、予選から決勝までほぼ安定して能力を発揮できる選手が他にいないのだ。
当初は、大きな波乱も予想されたものの、結局は昨季のW杯総合覇者がまたもクリスタルトロフィを手にした'19季であった。
STEEP
スキー・スノーボードの本質を追いかけるWEBメディア。90年代からフリースタイルスキーを追う編集部による、モーグルW杯の見どころを紹介。サイトでは様々な情報を更新中。https://steep.jp/
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