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スキー コラム 2014年12月2日

愛子、アレックスが去ったW杯モーグル。 採点配分変更で誰が笑うか?

ブラボー!!モーグル by STEEP
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北極圏に近いリゾート、フィンランド・ルカ。今季もW杯モーグルが恒例の聖地で、12月13日に開幕する。当初はモーグル(シングル)での予定だったが、デュアルモーグルで行われる。
ソチ五輪後、男子では五輪2連覇のアレックス・ビロドウ(カナダ)が引退した。女子は上村愛子がやはりバーンを去った。しかし、W杯王者のミカエル・キングスベリー(カナダ)、ハナ・カーニー(アメリカ)をはじめ、トップ選手の多くは新たな戦いに挑む。

今季、モーグルに大きなルール変更がなされた。これまでターン50%の15点、エア25%の7.5点、スピード25%の7.5点で、トータル30点満点というのが、長年続いてきた採点配分だった。これが今季は、ターン60点満点、エア20点満点、スピード20点満点に変更される。トータル100点満点で、順位は決められるのだ。慣れれば、100点満点のこの形がわかりやすいものとなるだろう。

ターン点は5人の審判が5点満点で採点していたものが、20点満点になる。最上下カットの3ジャッジ採用なのは変わりないので、20×3の60点満点となる。これは、ターン点が10%増したことに加えて、小数点以下一桁までの点数なのは変わりないので、以前より細かく採点できることを意味する。
エア点は、7.5点満点だったものが20点満点に。2人の審判が10点満点で採点するのだが、満点越えを考慮して、難易度点は割合をほとんど変えずに低くされた。
スピード点も、7.5点満点だったものが20点満点に。これはペースセットタイムで滑った場合に、以前は6点だったが、これからは16点になる計算だ。

この変更のよって笑うのは誰か?

ミカエルはエアでアドバンテージを持っている選手なので、やや不利になることは否めない。その点、ターン評価が高いソチ五輪銅メダリスト、アレクサンドル・シュミシャエヤエフ(ロシア)が有利になるとも考えられる。スピードに強い、昨季W杯総合3位のパトリック・デニーン(アメリカ)が、ターン評価が上がれば王者を脅かすことになる。昨季W杯で優勝1度表彰台4度、難コースを得意としダブルフルまで飛ぶブラッドリー・ウィルソン(アメリカ)の評価も上がっている。
男子はミカエルが中心としたこの4人が、W杯シーンを引っ張ると見る。

女子は、W杯総合優勝5度、4連覇中のハナ・カーニー(アメリカ)の強さは変わらない。そしてその女王を破り五輪金メダリストとなったジャスティン・ディフォー-ラポイント(カナダ)が、真の女王になれるのか? そのバトルに注目だ。
またジャスティンの姉で、ソチ五輪銀メダリストのクロエ・デュフォー-ラポイントは、安定したターンで、今季のルール変更に合ったタイプかもしれない。
男子以上に、米加対抗戦のような構図だ。

日本勢は上村愛子が去った上に、伊藤みきと村田愛里咲が怪我でいつ復帰となるかわからない。勢いが失われたとも想像される。
しかしそんな中、男子では昨季W杯最高2位、総合7位の遠藤尚が、いよいよ世界頂点への期待がかかる。24歳と脂の乗った時期を迎え、100%のパファーマンスをした時は、王者に引けを取らない力があると見る。
女子は、昨季W杯表彰台2度の星野純子、初海外遠征でスーパーファイナル進出の伊藤さつきの成長が頼もしい。両者は夏に行われたオーストラリアニュージーランド杯で優勝しており、さらに自信をつけた模様。伊藤みきや村田が復調すれば、4人の世界的強豪を持つ、米加と並ぶ世界トップチームとなる。
スーパースター的上村愛子こそ抜けたが、今まで以上に大きな可能性を秘めたシーズンになるであろう。

さらに、五輪の翌シーズンであるだけに新鋭の台頭も見込まれるが、それは次回以降のお話に。

STEEP

スキー・スノーボードの本質を追いかけるWEBメディア。90年代からフリースタイルスキーを追う編集部による、モーグルW杯の見どころを紹介。サイトでは様々な情報を更新中。https://steep.jp/

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