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スキー コラム 2014年3月19日

新設のプラニツァLHを果敢に攻める = スキージャンプW杯・プラニツァ/スロベニア プレビュー

鳥人たちの賛歌 W杯スキージャンプ by 岩瀬 孝文
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雪が少なくなってきた欧州、ほぼジャンプ台のみに雪が張り付けられた状況と、ここでは冷やされたアプローチ『アイストラック』の威力が発揮される。

スロベニアの名門ジャンプ台、プラニツァにはFH、LH、NH、MH、SH、さらに小さな子供達用のものを含めると、なんと8台ものシャンツェがある。
さらに平地部にはクロスカントリースキーコースが増設されて、2019世界選手権に立候補した。そのいちばん左端に聳える伝統のフライング台は、現在、きれいに改修中にあり、世界最大の“飛ばせ台”になる。

直前にハラホフ(チェコ)で行なわれたフライング世界選手権では、2日間4本の合計で勝負が決まるはずだったが、その2日目は強風にてキャンセル。初日トップのフロイント(ドイツ)がそのまま優勝した。そこに上位で安定するプレフツ(スロベニア)、バーダル(ノルウェー)、ストッフ(ポーランド)、葛西紀明(土屋ホーム)の混戦模様で迎える最終戦シリーズだ。

その葛西はまるで開眼したかのように微笑みを持ってスタートを切る。
五輪明けのファルン(スウェーデン)で右ひざを痛め、腰も万全とは言えない状況ながら、一瞬、笑顔を見せてから、アプローチを滑り出す。まるで、懐かしの須田健仁選手(東京美装)のように。
「そうすると力が抜けて、リラックスして飛べるんです」
これまで、よく見られていた必要以上の力みは、もはやそこにはない。

目を引く新規のマテリアルでは、前年12月くらいから取りざたされていた日本チームのジャンプスーツに秘密があるというのは、欧州強豪チームからの話だった。
五輪のメダル獲得により、いよいよその一端が明らかになった。葛西のスーツ展示を要請されてローザンヌ(スイス)にあるIOCオリンピック博物館にそれを寄贈した。これで、当然、ライバルチームからの細やかなチェックと分析が入ることにもなったようだ。

細かく言えば上半身でうまく空気をとらえるということ。そこにひとつのルール内における工夫があるが、日本の勝利のためには、風がどこに入りどのようになるのかという表記は避けたい。日本のメーカーは優秀この上ない。より飛べるものを作ろうものなら、すぐに欧州勢の厳しいチェックが入るのである。そのあたりのせめぎ合いというのも、なかなか難しい部分だ。

それには、もちろん基本技術がしっかりしていなければ何にもならない。根本的にタフに身体を鍛え上げ、アイストラックをしっかりと踏めるパワーを習得し、そこで葛西ら日本チームは、各所で歯切れ良いサッツがみられる。
この新型スーツに関しては、終盤戦においてフロイントが巧みにアレンジ、またコフラー(オーストリア)あたりが器用に着用し始めて調子を戻してきた感さえある。

さて、チームの状態として、強豪オーストリアにやや元気がなく、エースのシュリーレンツァウアーと若きクラフト、ハイベック、ディートハルトが次代の中核となり始める様相。好調フロイントにリードされてベリンガーやヴァンクなどが復活してきそうなドイツ。はたまた一発屋が揃うノルウェーは、その豪快さを取り戻したい。
あるいは浮き沈みはあるが、まとまりの良いスロベニアに、ファンが熱狂するポーランド勢のストッフやコットなどが使うあの2本バーのビンディングは、果たしてスキーの安定をもたらしたのかなど、じっくりと探らなければならない。

日本チームは来季につなげるべく、勢いにあふれる清水礼留飛(雪印メグミルク)に期待を込めたい。また戦力強化のためには10代の若手選手の登場を待ってもいる。
そして膝の故障により終盤戦は欠場した伊東大貴(雪印メグミルク)と、帰国して病気の治療にあたる竹内択(北野建設)の復調も楽しみだ。

女子ジャンプでは高梨沙羅(クラレ)が、五輪明けすぐに個人総合優勝を決めて、最終戦のプラニツァでクリスタルトロフィーを得る。さらに続く伊藤有希(土屋ホーム)はファルンで2位表彰台に立ち、上昇機運をアピールしている。

まだまだドラマがあるW杯ファイナル、雪が少なくうららかな日差しを浴びつつ、シーズンの総仕上げ、笑顔の選手たちにエールを送りたい。

〔写真1〕五輪から後半戦に強さの勢いを増した清水礼留飛(雪印メグミルク)
〔写真2〕今シーズンで引退を決めた岡部孝信(雪印メグミルク)はW杯優勝の経験者だ。
(クリックで写真拡大)

〔写真3〕その長身を利して空におおらかに飛び出す渡瀬雄太(雪印メグミルク)
〔写真4〕若手では2年前から頭角を現してきたしてきたクラフト(オーストリア)
(クリックで写真拡大)

〔写真5〕葛西紀明(土屋ホーム)の持つプラニツァ147.5mのバッケンレコードは旧LHシャンツェでの大記録
〔写真6〕プレフツを筆頭に今シーズン台頭したスロベニアは団体戦においても上位入り濃厚
(クリックで写真拡大)

Photo & Text by 岩瀬孝文

岩瀬 孝文

岩瀬 孝文

ノルディックスキージャンプの取材撮影は28年以上、冬季五輪は連続5回、世界選手権は連続12回の現地入り取材。スキー月刊誌編集長を経て、2007札幌世界選手権では組織委員会でメディアフォトコーディネーターを務めた。 シーズンに数度J SPORTS FIS W杯スキージャンプに解説者として登場。『冬はスキー夏は野球』という雪国のアスリートモードにあり、甲子園の高校野球や大学野球をつぶさに現場取材にあたっている。

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