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「すがすがしい気分」
ソチ五輪での上村愛子の滑りは、多くの人の感動を呼んだ。
「‘98年長野大会7位→’02年ソルトレーク大会6位→’06年トリノ五輪5位→‘10年バンクーバー五輪4位」
で、最後に
「→‘14年ソチ五輪3位、、、だった」というのが、専門誌的に見ても正当評価だったような気がしないでもない。しかしながら、5人のターンジャッジにも2人のエアジャッジにもブレは小さく、細かく規定された採点基準に照らして考えれば、誤審とまでは言えない結果だった。
確かにメダルこそ獲れなかったが、
「18歳高校生で長野五輪入賞」
「前年W杯総合2位から、わずか0.19点差でメダルに届かなかったソルトレーク五輪」
「女子で最先端のエア、コーク720を成功させたトリノ五輪」
「前々年W杯総合女王、前年世界選手権女王として挑んだバンクーバー五輪」
「34歳で、メダリストと互角の戦いをしたソチ五輪」
他のスポーツを見ても、ここまでメダル候補として戦い続けた選手は果たしているのだろうか?
改めて、上村愛子のすごさが示された五輪だった。
そして、男子の「アレックス・ビロドウ(カナダ) vs. ミカエル・キングスバリー(カナダ)」、女子の「ハナ・カーニー(アメリカ) vs. デュフォー・ラポイント姉妹(カナダ)」という対決は、歴史に残る名勝負だった。
バンクーバー五輪金メダリストの先輩アレックス、W杯2連覇中で昨季世界選手権王者の後輩ミカエル。ここ数年、勝利数も安定感も圧倒的に後輩が勝っていたが、五輪のスーパーファイナルでは先輩が完璧な滑りで、五輪2連覇という史上初の快挙を成し遂げた。
2人だけ別次元だった究極のマッチレースは、前回自国五輪で勝った経験と自信が、後輩の若さと勢いを打ち負かした。
‘94年リレハンメル五輪の「エドガー・グロスピロン(フランス) vs. セルゲイ・シュプレツォフ(ロシア) vs. ジャン・リュック・ブラッサール(カナダ)」の三つ巴が伝説のバトルとして知られるが、それに匹敵する名勝負として語り継がれるであろう。
なお、過去バンクーバー五輪までの男子モーグル金メダリスト6人は、‘02年のヤンネ・ラハテラ(フィンランド/現日本コーチ)を除き、5人が21~22歳だった。21歳、実力No.1で金メダルを逃したミカエルは、悲運となるのか、これを機にもっと強くなるのか、今後さらに注目したい。
女子は予想通り、「アメリカ vs. カナダ」であった。そして、絶対女王ハナがまさかのミス。ジャスティン・デュフォー・ラポイントが、史上初の10代での金メダリストとなった。
確かにまだ、ジャスティンは技術的&メンタル的にハナに及ばない存在だった。しかし長姉マキシム、次姉クロエと3姉妹で五輪出場、決勝進出。そして結果として、クロエとのワンツーフィニッシュ。ジャスティンにとっては、まるで3対1で女王に挑んだ気分だっただろう。この点が、絶対女王にすらプレッシャーを与えた次期女王をプッシュしたポイントと思われる。
さてこの週末には、五輪後最初のW杯が福島県猪苗代・リステルスキーファンタジアで開催される。これは上村愛子にとって最後になるであろうに日本でのW杯であり、アレックスも今季での引退を表明している。この2人の”レジェンド”を見逃すべきではない。
愛子はもちろん、日本ブランドのスキーを履くアレックスには、日本でのW杯には特別な思いがある。ファンとしては、見逃せないW杯となる。
STEEP
スキー・スノーボードの本質を追いかけるWEBメディア。90年代からフリースタイルスキーを追う編集部による、モーグルW杯の見どころを紹介。サイトでは様々な情報を更新中。https://steep.jp/
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