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3月18日、フランスのメジェーブでW杯最終戦(デュアル)が行われ、伊藤みきが決勝まで勝ち上がり、結果2位という大活躍。今季2度目の表彰台であり、’09世界選手権猪苗代大会の銀メダルに並ぶ、W杯としては自己最高位を記録した。
特に、準々決勝で女王ハンナ・カーニー(アメリカ)に勝利したのが、成長の証だった。決して大きなミスはしなかった女王に食らいつき、わずかにゴールは遅れたものの、ターンとエアで勝り、19対16のスコアで金星をあげる。そして準決勝でも、クロエ・デュフォー-ラポイント(カナダ)にターンポイントで上回り、勝利。決勝まで駒を進めた。
今季の日本チームは、第11戦スウェーデンで男子が遠藤尚、女子は村田愛里咲が初表彰台。第10戦苗場大会では、2位に復活の上村愛子、3位に伊藤みき。後半戦に4人も表彰台を獲得し、W杯総合順位では遠藤尚が8位で、伊藤みきが7位。
チーム力がアップしたことを示した。ヤンネ・ラハテラコーチの指導が大きく実を結ばせる一歩手前、という段階に近づいた雰囲気だ。
今季の総括として世界に目を向けてみると、’12季は男女とも大記録が生まれた伝説的なシーズンとなった。
男子はミカエル・キングスバリー(カナダ)が、最終戦は決勝で敗れたものの2位。今季13戦で優勝8度、2位3度、3位1度。6連勝という世界タイ記録を残した上に、全戦表彰台という史上初の快挙を成し遂げた。過去には、セルゲイ・シュプレツォフ(ロシア)が’95季に出場9戦中6勝&2位3回という記録を残しているが、1戦だけ不出場の試合があり、全戦出場ではなかった。
ミカエル以外の優勝は、パトリック・デニーン(アメリカ)が3度、フィリップ・マーキー(カナダ)とセルゲイ・ヴォルコフ(ロシア)が1度ずつ。2位4度で総合3位には、ジェレミー・コータ(アメリカ)も食い込んでおり、カナダ対アメリカという2大チームバトルが鮮明に。自国開催のソチ五輪での表彰台登壇を目指すロシア勢も上昇傾向にある結果となった。
女子は、ハンナが13戦11勝。’11季からシーズンをまたぎ、W杯16連勝という大記録を残した。
総合2位のジャスティン・デュフォー-ラポイント(カナダ)も、優勝1度、2位6度、3位1度と女王を必死に追い、17歳とは思えない安定感と将来性を示した。来季はこの2人の差が、おそらく縮まって接戦が予想される。
またこの2強以外にも、総合4位ヘザー・マクフィー(アメリカ)や、ハンナの連勝を止めたオードリー・ロビショー(カナダ)など米加両国が層の厚さを見せており、男子同様の女子も2大チームバトルとなった’12シーズンだった。
キングとクイーンが揃って独走し、今季は歴史に残る記録が残った。そして来季に向けては、打倒ミカエル、打倒ハンナという、わかりやすい構図が生まれた。
アレキサンダー・ビロドウ(カナダ)、ギルボー・コラ(フランス)が復活するであろう男子。新星が次々登場している女子。’12季W杯は幕を閉じたが、物語の続きがますます興味深くなったモーグルの世界である。
STEEP
スキー・スノーボードの本質を追いかけるWEBメディア。90年代からフリースタイルスキーを追う編集部による、モーグルW杯の見どころを紹介。サイトでは様々な情報を更新中。https://steep.jp/
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