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スポーツアーカイブの課題 | 町田樹のスポーツアカデミア 【Dialogue:研究者、スポーツを斬る】 秩父宮記念スポーツ博物館・図書館
フィギュアスケートレポート by J SPORTS 編集部N:亡くなっておられる方の資料もありますが、ご健在の方もたくさんいらっしゃいます。実際に使われたコスチュームの意図やどういった体の感覚で着ておられたかを、ヒアリングしつつ、そのお話とコスチュームを一緒に保管して活用できるとすごく素敵だなと思います。
M:先程拝見したボルダリングの器具には痕跡があって、プラスアルファでリアルな体験談と一緒にアーカイブすることで、痕跡もより意味を持ちますよね。だから、文脈ですよね。文脈と一緒に寄贈していただけたら、さらに資料の活用にもつながっていくということですよね。
M:次に博物館の休館についてお話を伺います。いろいろな資料を拝見させていただきましたが、残念ながら、この資料はしばらく倉庫の中に眠るしかない状態ですよね。時には巡回するような展覧会や研究者やジャーナリストの方が資料を参照したい場合には、予約をすれば使える状態になっています。しかし一般に広く開放されることは、残念ながら、しばらくない状況です。発端は東京2020大会の招致が決まった2011年の話ですよね。東京2020を象徴する建物を作ろうということで、旧国立競技場を取り壊し、新国立競技場を作る計画がありました。旧国立競技場が2014年に解体することが決まり、解体とともに旧国立競技場内にあった博物館も立ち退かなければいけない。そして、2014年の解体以降、今に至るまで倉庫で資料保管せざるを得ない状況になってしまったそうです。倉庫の中というのは、オフィシャルの博物館ではないので、資料保存に関してもすごく苦労もなされていると思います。博物館ではない倉庫での資料保管は困難が伴いますか。
N:資料を保管する時に一番気にするのは温度と湿度。それから徹底したセキュリティーを確保することですが、そのまま場所をお借りすると、それらの3点はなかなか実現できません。こちらに移る前に、この建物も工事をしましてセキュリティーの確保をしました。そして、除湿と加湿ができる設備を入れています。一定の環境を保つことをしなきゃいけないのですが、ここから引っ越す時には現状復帰をします。それを繰り返す可能性があり、辛いところではあります。
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