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町田樹のスポーツアカデミア 【Archive:フィギュアスケート・ザ・マスターピース】 アダム・リッポン「牧神の午後への前奏曲」(2013年スケートアメリカ):プログラム分析 第2パート〜第3パート
フィギュアスケートレポート by J SPORTS 編集部第3パート:牧神の見果てぬ夢 先行作品へのオマージュ
第3パート:牧神の見果てぬ夢
第3パートは「牧神の見果てぬ夢」というような形でテーマ設定をしましたが、ここで大事なことは、先行する作品のオマージュがたくさん入っているということです。アダム選手の《牧神の午後》は、ニジンスキーの《牧神の午後》からたくさんのインスピレーションをもらっています。それから、実はフィギュアスケート界ではジョン・カリーというイギリスのスケーターが演じた《牧神の午後》が非常に有名なんですけれども、ここからも振付の引用があるわけです。ジョン・カリーの《牧神の午後》の途中に、牧神に扮するジョン・カリーが何か得体の知れないものをそーっと触ろうとして、チョンっと触っていくような振付が入っています。その振付がアダム選手の《牧神の午後》にも引用されています。最初のトリプルルッツ、ダブルトゥーループ、ダブルループの3連続ジャンプの後、チョンと何かを触る振付がありますが、そこは完全にこのジョン・カリーの振付の引用だと言えるわけです。
この作品の最後は、左手で何かを求めているような振りで終わっていきますが、このポーズは秀逸だと思います。ステファヌ・マラルメの詩に登場する牧神をフランス文学者の菅野昭正さんは「絶対の渇望者」であると解釈しています。どういうことかと言うと、牧神はニンフに遭遇して、このニンフを自分のものにしようと欲情して追いかけ回すわけですけれども、結局、最終的にニンフは自分のものにならず去って行ってしまいます。一人寂しく薄衣で自分を慰めることをするわけですけれども、この作品においてニンフというものは、美の理想として描かれています。その美の理想を追い求めるけど手に入らないという、美を渇望する、そういうモチーフとして《牧神の午後》は描かれているんじゃないかと菅野さんは解釈しているわけです。まさにこの、アダム・リッポンさんの最後の振り、左手で何かを求めているような振付、これがその絶対の渇望者としての牧神を象徴しているようで、私は秀逸な振付だと感じるわけです。
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