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町田樹のスポーツアカデミア【Reportage:アリーナの今を訪ねて】 ~さいたまスーパーアリーナ~ ニーズに合わせた変幻自在の内部機構:マネジメント・経営 / 街とアリーナの将来像
フィギュアスケートレポート by J SPORTS 編集部関係者へのインタビューを通じてアリーナの在り方を考える
今回は《さいたまスーパーアリーナ》をご紹介しております。現在スポーツ庁は、スタジアム・アリーナ改革のガイドラインや指針を打ち出していますが、この中でスポーツ庁はこれからの日本のアリーナやスタジアムは「多機能複合型」「民間活力の導入」「街中立地」「収益性の改善」この4つを抑えるべきだと提唱されています。実は、このさいたまスーパーアリーナはこの4つのポイントを全て抑えています。
過去のコラムはこちら
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町田樹のスポーツアカデミア【Reportage:アリーナの今を訪ねて】 ~さいたまスーパーアリーナ~
Part.1 国内随一のアリーナ 建設の経緯
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町田樹のスポーツアカデミア【Reportage:アリーナの今を訪ねて】 ~さいたまスーパーアリーナ~
ニーズに合わせた変幻自在の内部機構:スライド式可動席機構
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町田樹のスポーツアカデミア【Reportage:アリーナの今を訪ねて】 ~さいたまスーパーアリーナ~
ニーズに合わせた変幻自在の内部機構:ムービングブロック
書き起こしコラム最終回となる今回は「マネジメント・経営」と「街とアリーナの将来像」についてい見ていきます。
マネジメント・経営
3.マネジメント・経営
ナビゲーター:株式会社さいたまアリーナ 中村薫子さん(以後敬称略)
実は運営と管理にこそ、現在スポーツ庁が指針を示す民間活力の導入が反映されています。株式会社さいたまアリーナの中村さんに話を伺いました。
町田:さいたまスーパーアリーナの年間の稼働率はどれくらいになっているのでしょうか。
中村:だいたい70%後半から80%という稼働率を出しておりまして、まだ80%?と思われるかもしれませんが、見ての通りこれだけの稼働機構がございますので、保守点検ですとか、ムービングブロックを動かす作業日なんかもありますので、そうすると年間60日〜80日はそういったことに取られます。実際に貸し出しできる日にちが300日程度になりますので、そうすると80%という数字はほぼ100%に近いということになります。
町田:アリーナの使用料はどれくらいになりますか?例えばイベント開催時では。
さいたまスーパーアリーナの利用料
中村:このモード(1万9000人収容)ですと、だいたい800万くらいです。
町田:これだけの人が集まるこの施設の利用料としては安いと思ってしまうのは私だけなのでしょうか。
中村:使ってもらえるから値段を上げるということはできません。この建物は埼玉県の物なので、条例で上限が決まっておりまして、私どもは決められた料金の中で運用しています。
メインアリーナとスタジアムはもちろん料金が違うので、スタジアムをたくさん貸した方が儲かるんじゃないかと思われますが、スタジアムをやってアリーナをやって、また次の日スタジアムをやってアリーナをやってとなると、ムービングブロックを動かす日をしょっちゅう作らなければいけなくなってくるので、それは効率的ではないですね。なるべく同じモードが続いて、開催できるようにしています。スタジアムだったら期間をまとめて、その後はしばらくメインアリーナみたいな感じで、なるべくムービングブロックを動かさないで、より多くのイベントを効率的に開催していくことが収益を上げていくことの一つのポイントです。
町田:変幻自在ではありますが、根本的なスタジアム・アリーナのムービングブロックは効率良く、なるべく動かさないようにするということですね。これだけ稼働して、いろいろなイベントに対応できる利点を生かして、イベント実績という点でもいろいろなイベントをやられていますか。
中村:ずいぶん増えました。2000年にオープンして、2001年くらいですと、年間60件とか。ここ数年は130件前後のイベントをやっていますので、いろいろなイベントをやっていますね。
中村:ジャンルで言うとコンサートが4割弱くらい、スポーツが2割くらいです。あとは展示会で4割強くらいです。
町田:60件から倍の130件、開業当初は経営的に厳しかったですか。
イベントジャンルと稼働率
中村:厳しかったですね。イベントスケジュールみたいなものを毎月出していましたが、スカスカみたいな月もなくはなかったので、開業してみないと分からなかったこととか、搬入にトラックが来ることは予想していたけれど、荷物を降ろしてすぐ出ていくわけではなかったので、ある程度たまりを作っておかなければいけなかったりして、どこかいい場所がないか奔走して借りたりしてきました。門型といわれる区間は元々は座席がある設計になりますが、そこを外して作りました。座席があった方がチケットは売れますから、どちらが良いのか考えたときに、やはり無くしてしまった方が設営時間が短く済むし、効率的に運営ができると判断しました。その時期には自主イベントもいくつか手がけました。利用するきっかけになればということもありましたし、こんな使い方ができるよというご提案の部分もありました。
町田:普通、指定管理者はイベントの主催者に渡す(貸す)のが一般的だと思いますが、みなさんは企画することもあるということですね。
中村:どうしてもこれだけのキャパの建物ですと、世界的なイベントや人気アーティストのイベントが多いですが、コンサートとかには来ないけど、この街に住んでいたり、この街の近くにいたりする地域の方々にも来ていただきたいという思いがあります。お子さんの方であったり、近隣に住むサラリーマンの方々が立ち寄れるようなイベントだったりということで、夏には水かけ祭りをやったりとか、冬にはイルミネーションをやったり、大道芸フェスティバルであったり、そういった地域の方々に楽しんでいただけるイベントも手がけて「子どもの頃あのイベント行ったよね」とか、そういった親しみを持ってもらう役割も必要かなと考えています。ビッグイベントだけではない部分を自分たちで実施しています。
世界のスーパーアリーナでありたいという思いももちろんありますが、地域の方々にも愛される建物でなければいけないと思っています。ずっとここにあり続けるためには大事なことだと思っています。
街とアリーナの将来像
4.街とアリーナの将来像
ナビゲーター:さいたま市 都市整備課 蓮見純一課長
町田が向かったのはさいたまスーパーアリーナから歩いて10分ほどのところにあるバスターミナル。SFのようなことが、それほど遠くない近未来に待っている。
これはアプリを使って気軽にレンタルできる電動自動車。あらゆるところに乗り捨てができます。世界を体感してきた元オリンピック選手 町田樹、電動自動車初体験。
蓮見:こちらの車が世界最小4人乗りの超小型電動自動車になります。
町田:モーター音だけですね。ハンドルもF1カーみたいですよね。かなりスムーズですよ。全然4人、楽しく和気藹々とドライブできるモビリティーになっていますね。
蓮見:今これをさいたま市内に実証実験で10台置いています。小型電動自動車だけではなく、スクーターや電動アシストなどの自転車、3つの種類のマルチモビリティを用途に合わせて使い分けていただいて、市内を回遊していただくということで展開させていただいております。
町田:2030年にはその未来が広がっている感じですか?
将来的にはそれらモビリティーで使うエネルギーを街中に設定された自然エネルギーで賄う予定だそうです。
蓮見:実証実験が始まっておりますので、近い未来にはそういうものが市内のいろいろな場所で展開できているような、そんな街を目指しています。
町田:これからさいたま新都心、さいたま市はどのようになっていくのでしょうか?
蓮見:ただいま体験していただいたような最先端の技術を使いまして、例えばさいたまスーパーアリーナに来たお客様が、こうしたスマートモビリティを使って市内のスポーツ施設を、スポーツツーリズムのような楽しみを持って回遊していただく。あるいは最先端の技術を使って、利便性・快適性を兼ね揃えた街をを目指していきたいと思っています。
◆総括
総括
今回、さいたまスーパーアリーナの技術的側面やマネジメントについて様々に調査をさせていただきました。このアリーナの設計や建設、マネジメントに関わる方々のお話を通じて、さいたまスーパーアリーナが何故に国内随一と言われるのか、その理由を知ることができました。番組冒頭でもお伝えしました通り、現在、国やスポーツ庁は多機能・民間活力の導入・街中立地・収益性の改善、この4つの利点を備えたスタジアムやアリーナの改革指針を打ち出しています。さいたまスーパーアリーナはまさにこの4つのポイントを具現化した施設なのです。このように、さいたまスーパーアリーナは竣工20周年を迎える施設ですが、現代、そして未来においても推奨されるであろうスタジアムやアリーナの理想像が詰まった施設だったんですね。
それからもう1点忘れてはいけないことがあります。このさいたまスーパーアリーナが20年間フロントランナーで走り続けていられるのは、立派な施設や整備された都市があるからだけではありません。施設とそこで開催されるイベントを愛し、地域の人たちと街づくりを行なっていく情熱を燃やす、行政や施設管理者の方々の力があってこそなのです。私たちは今、コロナ禍という課題と向き合っています。こうした問題との関係を含め、さいたまスーパーアリーナが、さいたま新都心と共にどのような未来を切り開いていくのか、ぜひご注目ください。
文:J SPORTS編集部
J SPORTS 編集部
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