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フィギュア スケート コラム 2016年10月21日

【田村岳斗×佐々木彰生】VOL.3:平昌だけを見ていては、絶対にそこにはたどり着けない

フィギュアスケートーーク by J SPORTS 編集部
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フィギュアスケートーーク 田村岳斗×佐々木彰生

2018年平昌五輪まであと2年。今シーズンは、オリンピック出場に向けて大きな意味を持つシーズン。コーチは、オリンピックまでのプロセスをどのように考えているのか?
またプログラム作りの舞台裏まで田村岳斗コーチにお伺いします。

佐々木:宮原選手の場合、岳斗先生と濱田先生の他にも、コンディショニングコーチや表現力を磨いたりするコーチもいるとお伺いしたのですが、宮原選手に限らず、リンク以外でどう指導していくか、濱田先生と相談して決めていくのですか?

田村:特にミーティングの時間は設けてなくて、普段の会話でこれをやらせてみようか?というのはあります。ただそれは、適任がいる場合に、じゃあ考えてみようという感じかな。特にこうすべきというのは決まっていない。

フィギュアスケートーーク 田村岳斗×佐々木彰生

佐々木:これから2018年まであまり時間がありませんが、オリンピックに向けて、どのように指導していきますか?
僕はオリンピックに行きたいと思っていたので、4年間の中でここまでにこの順位で選ばれていないとダメだとか、世界ランクを取れないとダメだか考えていました。でも大体はうまく行きませんでした。

田村:2018年平昌だけを見ていても、そこにはたどり着けないと思う。1年1年、1試合1試合の積み重ねしかない。最終目標とは別に目先の小さな目標を設定して、それをクリアしていく事も大事だとおもいます。もちろんランキングや条件も関わってくるけれど、調子の悪い時でも、ある程度できる事、最低ラインを上げておく事がとても重要だと思っています。どんなに悪くてもここまでは行けますという事が大切になってくる。

佐々木:たくさんの選手がいますが、ノービスからシニアまで、プログラムはどうやって決めていくんですか?
僕は佐藤操先生に振付けをしてもらっていたのですが、ショート、フリーと毎年変えていました。曲は、メインコーチの佐藤亜希子先生と佐藤操先生と曲のジャンルや雰囲気を相談して決めて、操先生に何枚かCDを持って来てもらい、それで決めていました。

フィギュアスケートーーク 田村岳斗×佐々木彰生

田村:たいていの場合、プログラムは曲決めから始まると思うけど、自分で曲を選ぶ選手もいれば、コーチ、振付師が持ってきた中から選ぶ場合もある。明るい感じとかクラシックでとか、だいたいのイメージをリクエストする選手もいる。僕が口出すとしたら、ジャンプの構成、コースぐらいかな。

佐々木:若い選手がプログラムに難しいジャンプを入れている場合、岳斗先生はどのように考えますか?

田村:選手にもよるけれど、今は、女子はトリプル5種類7発を確実に、男子は4回転を複数キメておきたい。でも練習で1回、2回跳べたぐらいではプログラムに入れるのは難しい。無理して入れても、他のエレメンツに影響して全体のバランスが崩れる事もある。トップ選手であれば、現在のポジションへの影響も考えなければいけないから、ジャンプの精度にもよるけど、練習で9割跳べるなら考えるというところ。理想と現実のバランスをとる事はとても重要だと思います。ただ、紀平のように、初めてのジュニア大会の出場でチャンジしていく時期なら、5割の成功率でもトリプルアクセルのようなジャンプも挑戦する価値はあると考えています。

佐々木:岳斗先生は選手時代ユニークなプログラムで有名でしたが、演技自体のコンセプトみたいなものはありました?

田村:今は選手たちに、観客の前でいい演技をするためにとか、ジャッジにアピールするためにとか言っているから、あまり大きな声で言えないけど、当時はぶっちゃけ、自分がおもしろければ自分の好きな衣装着て好きな曲で踊りたいから、何をやっても勝手でしょと思っていた(笑)。

フィギュアスケートーーク 田村岳斗×佐々木彰生

佐々木:僕の場合、選手時代は今シーズンSPは明るい曲で、フリーはしっとりするような曲でなどというぐらいで、おおまかにしか考えていませんでしたけど、今は音楽も自分で編曲をしたいと思うようになってきました。佐藤操先生がそうだったので、これからコーチを目指すとしたら、そういう事もできた方がいいかなと思って。

田村:僕も何回かやった事があるんだけど、必要なことが2つあって、まずセンス。これは結構大事。

佐々木:(笑)。

田村:CDを聴いて、ココとココと思って音を切り出したつもりでも、全然違う事になったりするし。もうひとつはパソコンがちゃんと使える事。自分はどっちも無理だった(笑)。

佐々木:佐藤操先生は、ステップの時にちょっとスピードを速くしたり、効果音を入れたりと、いろいろやってくれたんです。大会に行くと、うまく編集できている人もいれば、ぶつ切りの人もいました。

田村:トップ選手の選曲、編集は僕がやっちゃいけないなって(笑)。振付も最初の頃やった事あるけどやっぱセンスないなって。そっちは今携わってないなぁ。

佐々木:じゃあ、選手に演技の事はあまり言わないんですか?

田村:ここは視線を上げた方がいいとかは言うけれど、せっかく振付師が振り付けたものを僕が変えたりすることはない。

●次回が最終回です。最後は、僕が疑問に思っている事も含め、フィギュアスケートへの思いをすべて岳斗先生にぶつけます!

田村 岳斗

田村 岳斗
1979年生まれ 青森県八戸市出身
1998年長野オリンピック フィギュアスケート男子シングル代表。全日本選手権は2度の優勝の経験を持つ。現役引退後、濱田美栄コーチの下で指導者への道を歩む。濱田コーチとともに、関西大学フィギュアスケート・コーチとして、宮原知子選手を始め、女子ジュニアの注目選手を次々と輩出。好評連載中のJ SPORTSオフィシャルブログ「田村岳斗-華麗なる舞-」にも注目!

佐々木 彰生

佐々木 彰生
1991年生まれ 神奈川県横浜市出身
フィギュアスケート選手として2008年世界ジュニアに出場。2012年全日本選手権では8位に入賞。2014年ユニバーシアード日本代表として銅メダルに輝く。2014年に選手生活を引退。バイク店で働いた後、2016年に休学していた明治大学に復学し卒業。フィギュアスケート界の役に立ちたいという思いから、現在はリンクで働きながら、ショースケーターとコーチングの勉強をスタートさせたばかり。

J SPORTS編集部

J SPORTS 編集部

 

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