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カナダのニューブロンズウィック、モンクトンで1月16日、ノヴィスレベルから開幕されたカナダ選手権だが、20日からいよいよシニア競技が開始される。
今季の男子は、世界チャンピオンのパトリック・チャンがタイトルを守ることはほぼ間違いない。現在カナダの国内に怖い選手はいないチャンにとって、この大会は四大陸選手権、そして世界選手権に向けての足慣らしの舞台となるだろう。今季のGPシリーズではまだSP、フリーをノーミスで揃えたことはない。そのチャンがホームグラウンドであるカナダ選手権で、どのような演技を見せるのか興味深い。
2位、3位を狙うのは、4回転が得意なケヴン・レイノルズ、世界ジュニアチャンピオンのアンドレイ・ロゴジン、そして負傷から復帰したジェレミー・テンなど。またベトナム系カナダ人のナム・ニギュイェンのシニアデビューも見逃せない。ジュビナイル、ノヴィス、ジュニアとそれぞれの部門で最年少の優勝記録を作ってきた天才少年である。13歳の彼が初挑戦のシニア戦でどのような演技をするのか、歴史的な一幕が見られるかもしれない。
女子はジョアニー・ロシェットが依然と競技活動を停止している現在、スター無き戦いとなりそうだ。ベテランのシンシア・ファヌーフとアメリ・ラコステの間でタイトルが争われることになるだろう。
ペアは、今季GPファイナルに到達したミーガン・デュハメル&エリック・ラッドフォードと、惜しいところでファイナル進出を逃したカースティン・ムーア=タワーズ&ディラン・モスコヴィッチのトップ争いが楽しみだ。
タイトル保持者であるムーア=タワーズ&モスコヴィッチは2009年春に、デュハメル&ラッドフォードは2010年夏に結成されたばかりの、どちらもペアとしては歴史が浅い組である。だがいずれも他のパートナーとの経験があるだけに、短期間の間に国際大会でもしっかり結果を残し、着々とランキングを上げてきた。国内にライバルがいることが、お互いのモチベーションにもなるに違いない。また新結成されたばかりのチーム、ジェシカ・デュベ&セベスチャン・ウルフもGPシリーズはまだまだ未完成な演技だったが、どこまで調整してきたかが見ものである。
アイスダンスは、もちろん五輪チャンピオンのテッサ・ヴァーチュー&スコット・モイアがよほど予想外のことがない限りタイトルを守ることが予想される。GPファイナルでは惜しいところで2位に終った彼らは、おそらくプログラムの細部を見直ししながら滑り込んできたに違いない。この大会は国内のジャッジにその評価を問う場所となる。
また今季急成長してGPファイナルでは4位に入ったケイトリン・ウィーヴァー&アンドリュー・ポジェの2位も、ほぼ決定したようなものである。本大会ではこの世界のトップランクにいる2チームは別格であり、3位を狙う若手のアイスダンサーたちにとっては、彼らと競うというよりも、彼らと同じ氷の上で滑る貴重な体験になることだろう。
田村 明子
盛岡市出身、ノンフィクションライター。1977年留学のため単身渡米し、現在ニューヨーク在住。長い滞米生活と語学力を生かして多様な方面で執筆活動を行う。フィギュアスケートは1993年からはじめ、これまで15回の世界選手権、3度の冬季五輪を取材。選手のみならず、コーチ、ジャッジ、ISU関係者など幅広い人脈を駆使して多面的な視点から執筆。著書に「氷上の光と影」(新潮社)他。
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