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【村上晃一】
1965年京都市生まれ。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。
ラグビーの現役時代のポジションは、CTB(センター)、FB(フルバック)。1986年度西日本学生代表として東西対抗に出場。
87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者、ラグビージャーナリストとして活動。J SPORTSのラグビー解説は98年より継続中。1999年から2019年の6回のラグビーワールドカップでコメンテーターを務めた。著書に「仲間を信じて」(岩波ジュニア新書)、「空飛ぶウイング」(洋泉社)、「ハルのゆく道」(道友社)、「ラグビーが教えてくれること」、「ノーサイド 勝敗の先にあるもの」(あかね書房)などがある。
世界中のラグビーファンを楽しませてくれたニュージーランド国内版スーパーラグビー「アオテアロア」が最後にきてCOVID-19の影響を受けることになった。
7月13日のアオテアロア開幕を前に、感染者ゼロを達成したニュージーランドでは、無制限に観客を入れて試合を開催してきた。しかし、8月11日(火)、同国最大の都市オークランドで6名家族の4名に陽性者が確認された。12日正午から14日いっぱいまで3日間のロックダウンに入ったが、感染はさらに広がり、8月14日、夕方の会見でアーダーン首相が今の警戒状態を12日間追加し、8月26日いっぱいまで2週間のロックダウンを行うと発表した。
現在、29件の感染を特定し、28件はオークランドのクラスターと関係していて、1件は調査中、濃厚接触者38名は隔離されているとのこと。警戒レベルは、オークラウンドはレベル3、南島のダニーデンはレベル2。レベル3は「できるだけ自宅にいる、接触は少人数、自宅から離れる時は2mの社会的距離を保つ、レストランとバーは閉めるが持ち帰りはOK、集まりは10名まで、学校閉鎖」。レベル2は「2mの社会的距離を保つ、マスク着用、病気だったら自宅にいる、集まりは100名まで」。
ということで、8月15日、ダニーデンで行われる予定だったハイランダーズ対ハリケーンズはキックオフを4時間早めて無観客で開催。8月16日、オークランドで開催予定だったブルーズ対クルセイダーズの試合は中止になった。
ブルーズ対クルセイダーズは、チケットの売れ行きが好調で、43,236名のサポーターが集う予定だった。ブルーズは、スーパーラグビーでイーデンパークに過去最高の観客を集めてきた。ニュージーランド勢同士の戦いが人気を呼び、財政難だったオークランドラグビー協会を救ったともいわれている。今回の中止は財政的な打撃も大きい。
僕はこの試合をJSPORTSで沢木敬介さんと解説することになっていた。いい試合になっただろうし、沢木さんの解説も楽しみにしていたので、とても残念。もし、クルセイダーズの優勝が決まっていなかったら、代替地で開催したのかもしれないが、新型コロナウイルスの感染症拡大に厳しく対応してきたニュージーランドで陽性者が増え始めたのだから致し方のないことだろう。ここまで無事に開催し、我々を楽しませてくれたニュージーランドの人々に感謝したい。最後の1試合も楽しもう。
ブルーズのアンドリュー・ホアCEOのコメント:「10週間前は大会を行えるとは思いもしなかったし、ファンを入れられるとは考えもしなかった。9週間も驚異的なラグビーを行うことができて、そのうち3試合はホームでたくさんのファンが足を運び素晴らしい試合ができた。中止のニュースは大変残念だが、ここまで、できた事を感謝しなければならないし、選手、スポンサー、そしてなによりもファンの方々に(大会が)もたらした意味を考えなければならない」
クルセイダーズのコリン・マンスブリッジCEOのコメント:「SRアオテアロアはニュージーランド人の結束と連帯感が素晴らしく映し出された大会である。満員のイーデンパークで大会を終えることができれば良かったが、ラグビー関係者はこの10週間で力を合わせて達成できたことを誇りに感じるべきだと思うし、中止の決定はニュージーランドの人々にとって何が一番いいかを考えての事だと理解している。クルセイダーズを代表し、2020シーズンを通じて素晴らしいサポートをしてくれたファンにお礼を伝えたい」