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ラグビー コラム 2024年9月23日

【ハイライト動画あり】いつもより早い「慶明戦」は明治大学が慶應義塾大学を圧倒。ラグビー関東大学対抗戦

ラグビーレポート by 斉藤 健仁
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モールからトライを挙げる明治大HO金

9月7日(土)に開幕した関東大学ラグビー対抗戦。9月22日(日)には4試合が開催され、東京・秩父宮ラグビー場では昨年2位の明治大学と5位の慶應義塾大学の伝統の一戦「慶明戦」が行われた。

なお、例年11月の第1週に行われていた「慶明戦」だが、両校の昨年の順位や開催場所の確保など総合的に判断され、今年は9月の対戦となったという。昨年は明治大学が66-40と乱戦を制したが、今年6月の練習試合でも明治大学が56-45で勝利していた。

ラグビー 関東大学対抗戦2024

開幕戦を73-17で勝利した明治大学は、開幕戦からFW(フォワード)2人、BK(バックス)2人のメンバーを交替した。

PR(プロップ)倉島昂大、LO(ロック)田島貫太郎(ともに4年)、SO(スタンドオフ)伊藤龍之介(2年)、ケガから復帰した副キャプテンのCTB(センター)秋濱悠太(4年)がスターターとなった。また開幕戦でハットトリックを達成した1年のWTB(ウィング)白井瑛人(桐蔭学園)も引き続き先発した。

一方、筑波大学に12-34と敗れ、黒星スタートとなった慶應義塾大学は1人の変更にとどめ、WTB渡邉匠(4年)が先発した。また、FL(フランカー)中野誠章(桐蔭学園)、CTB(センター)田村優太郎(茗渓学園)、FB(フルバック)小野澤謙真(静岡聖光学院)のルーキー3人は開幕から2試合連続の先発となった。

「紫紺」対「黒黄」の伝統の一戦は6830人のファンが集い、午後3:00にキックオフされた。先制したのは、やはりFWの圧力に勝る明治大学だった。ボールを継続した後の前半4分、WTB安田昂平(4年)が裏にボールを蹴って自ら押さえて先制トライ。

対抗戦で初の10番を背負った明治大SO伊藤

10分にはFWが前に出た後、SH(スクラムハーフ)柴田竜成(3年)がグラバーキックを蹴り、そのボールをルーキーのWTB白井が押さえて12-0とした。紫紺のジャージーは攻撃の手を緩めず、スクラムを起点にSO(スタンドオフ)伊藤龍之介(2年)、CTB平翔太(3年)とつないでトライ。CTB平自身がゴールを決めて19-0とリードする。

ラグビー 関東大学対抗戦2024

【ハイライト動画】明治大学 vs. 慶應義塾大学|伝統の一戦は明治が快勝

その後は慶應義塾大学もスクラムでペナルティを奪ったり、モールを押したりFW戦で強さを発揮したが、相手のゴールラインを割ることができなかった。すると38分、明治大学ゴール前でモールのチャンスを得て、10mを押し切って、最後はHO(フッカー)西野帆平(3年)が押さえて、26-0とさらにリードを広げて前半を終了した。

インターセプトからトライを挙げる明治大CTB平

後半の序盤は、黄黒ジャージーが相手陣でアタックする時間帯が続く。だが、相手のディフェンスの前にノックオンなどでトライに結びつけることができなかった。すると17分、明治大学のCTB平が相手SH橋本弾介(3年)のパスをインターセプトし、80mを走りきって右隅にトライ、自身でゴールを決めて33-0とした。

さらに途中交代の1年のSO萩井耀司(桐蔭学園)が「50-22」キックを成功させて相手陣に入る。23分には再び、モールを押し込み、最後は途中出場のHO金勇哲(4年)が左中間に飛び込み40-0として勝負を決めた。

慶應の1年生FB小野澤

28分、ようやく慶應義塾大学は、相手反則からNO8(ナンバーエイト)冨永万作(4年)がクイックタップで仕掛けてトライ。WTB小野澤がゴールを挙げて、7点を返した。しかし、最後まで集中力の途切れない明治大学は、ロスタイムに素早いアタックからFB金昂平(4年)、モールからFL福田大晟(4年)がトライを挙げて52-7としてノーサイド。

8トライを重ねた明治大学が、開幕から2連勝(勝ち点12)とした。一方、敗れた慶應義塾大学は2連敗(勝ち点2)となった。

MIPは慶應NO8冨永

なお、POM(プレイヤー・オブ・ザ・マッチ)は2トライ&6ゴールで、22得点を挙げた明治大学のCTB平が、MIP(モースト・インプレッシブ・プレイヤー)は慶應義塾大学のNO8冨永が選出された。

会心のゲームを見せて連勝した明治大学の神鳥裕之監督は、「伝統の慶明戦ということでたくさんのお客さんの前でしっかりしたラグビーができた。勢いを持ってやってくる慶應さんを1トライに抑えることができた。1つ次のレベルにいけるような試合ができた。まだまだ、今年のチームは成長する伸びシロがあると思っているので、今日の結果に満足せずにレベルアップしていきたい」と話した。

接点で強さを見せた明治大NO8木戸

キャプテンNO8木戸大士郎(4年)は「伝統のある一戦ということで気合いが入っていた。『今年は早いな、慶應戦』とホンマにすごく緊張していた。今週、『ネクストレベル』をテーマに準備してきて、それを試合に出せて成長につながった。今日は全員でディフェンスができた」と胸を張った。

連敗した慶應義塾大学の青貫浩之監督は、「先週はなかなか慶應らしいプレーができなかったので修正して、チーム一丸で臨んだ。ディフェンスは前に出ることが随所に見えたが、全体的として少し明治大学との差を実感した。通用することはあったが、特にセットプレー、BKでミスが起きたことは反省したい」と悔しそうな表情を見せた。

モールを押し込む慶應

キャプテンのHO中山大暉(4年)は「自分たちはコンタクト、ブレイクダウンのファイトをやっていこうと準備してきた。通用した部分があったが、スキルの高い相手にやられてしまった」と反省しつつも、「自分たちやるべきことは22mに入った後の得点力だと思うので、次の1ヶ月、王者(帝京大学)に対戦するマインドを忘れずにやっていきたい」と前を向いた。

帝京大学、早稲田大学、筑波大学とともに2連勝スタートとなった明治大学は、9月28日(土)、神奈川・城山陸上競技場で昇格組の日本体育大学の挑戦を受ける。2連敗となってしまった慶應義塾大学は1ヶ月後の10月20日(日)、群馬・太田陸上競技場で昨年の王者・帝京大学にチャレンジする。

文/写真:斉藤健仁

斉藤健仁

斉藤 健仁

スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント

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