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ラグビーワールドカップ2019 準決勝 ウェールズvs南アフリカ
2019年のラグビーワールドカップ(RWC)日本大会で世界一に輝いた南アフリカ代表(スプリングボクス)。世界最強のフィジカルエリートに交じって、170cm、80kgという小さな体でエネルギッシュに駆け回っていたのがファフ・デクラークだった。勝利後のロッカールームでは、南アフリカ共和国の国旗柄のパンツ(水着)を披露し、その愛らしい笑顔もあって日本のファンの心をとらえた。2017年からイングランドのセールシャークスでプレーしていたが、2022年に退団。リーグワンの横浜キヤノンイーグルス入り。持ち味のアグレッシブなプレーでチームを引っ張っている。スプリングボクスの一員として臨む2度目のRWCについて、その想いを聞いた。
ラグビーワールドカップ2023 特集ページ
キック、ランを織り交ぜてチームに勢いを与えたい
――RWC2023の個人的目標を教えてください。
まずはメンバー入り果たすこと。もし、メンバー入りを果たしたら、2大会連続の優勝をすることです。
――その中でどんな役割を果たしたいですか。
良いラグビーをすることですが、基本に忠実にゲームプランを遂行することが大事です。キック、ランを織り交ぜて、チームに勢いを与えたいです。
――この4年間、どんな部分で成長できましたか。
選手としてあらゆる面で成長したいと思って取り組んできました。ゲームマネージメントの部分でレベルアップできていますし、キック、パスのスキルも上達しました。横浜キヤノンイーグルスに来てからはフィットネスも向上しています。これからは、テストマッチレベルのフィットネスをつけていきたいと思います。
――イングランドのセールシャークスで学んだことと、イーグルスで学んだこと、何か違いはありますか。
両チームでのプレーには少し違いがあります。セールシャークスでプレーしていたときは、雨の天候も多く、グラウンドのコンディションが違うので、テストマッチのようなタイトなゲームが多かったです。タイトゲームではマネージメントが大切になります。キヤノンでのプレーは、イングランドとは違って比較的天候が良く、思い切ってアタックできます。両方を経験できているのは良いことだと思っています。
ラグビーわんだほー!
ファフ・デクラーク(横浜キヤノンイーグルス)インタビュー
――いつもエネルギッシュにプレーしていますが、心掛けていることはありますか。
トレーニングも試合も、私はチームメイトにエナジーを与えるのが好きです。ただし、集中すべきところは集中しなくてはなりません。そのバランスがとても大切だと思っています。
プレッシャーのかかるゲームに勝つ自信がある
――RWC2023のプール戦は、非常にタフなプールBに入りましたね。世界ランキング1位のアイルランド代表、6位のスコットランド代表がいます。どんな印象ですか。
アイルランドは世界1位だし、スコットランドは最近、とても良い試合をしていて脅威であることは間違いありません。プレッシャーのかかるゲームになりますが、その中でどのチームがチャンスをつかむことができるかですよね。まずは決勝トーナメント進出が目標ですが、そうしたゲームで勝っていくことについては自信を持っています。
――セールシャークスのチームメイトで、RWCでの対戦を楽しみにしている選手はいますか。
トム・カリー(イングランド代表FL)はとても良い選手だし、マヌ・トゥイランギ(イングランド代表CTB)も頼もしい選手です。お互いによく知っているので、もし対戦すればチャレンジグな戦いになるでしょう。イングランド代表も新しいコーチ(スティーブ・ボースウィック)のもとでレベルアップして大会に臨んでくるでしょう。プレミアシップで戦った選手たちとの対戦は楽しみですね。
ラグビーワールドカップ2019 準々決勝 日本vs南アフリカ
――ご自身がプレーしたRWCの試合で印象に残っているのはどの試合ですか。
たくさんあります。私の誕生日(10月19日)の翌日がRWC2019の日本代表戦(準々決勝)でした。この試合ではマンオブザマッチに選ばれたし、妻も見に来てくれて特別なものになりました。準決勝のウェールズ戦も、泥臭くて古き良きラグビーという感じで良かったですね。そして、ファイナル(対イングランド代表)で勝てたことは一生忘れることはできません。
――前回のRWCでは、スプリングボクス柄のパンツが話題になりました。今回も作るのですか。
キヤノンのことですか? すでに作って、選手たちは履いてプレーしていますよ(笑)。RWC2023では、おなじみのやつを履きます。キヤノンのものは履きませんよ(笑)。南アフリカの国旗柄で行きます。
――最後に日本のファンのみなさんへのメッセージをお願いします。
ラグビーファンの皆さん、キヤノンのサポーターの皆さん、シーズンを通してのサポートありがとうございます。プレーオフトーナメントでも皆さんの応援が必要です。引き続き応援お願いします。アリガトウゴザイマス。
インタビューは、横浜キヤノンイーグルスの練習グラウンドで行われた。デクラークを観察していると、公式戦同様によく通る声で指示を出し、元気に動き回っていた。この快活なSHは、どんなチームの雰囲気も変えてくれそうな気がする。インタビュー中もハキハキと質問に応え、パンツの話では笑顔がはじけた。試合の流れを変えるタックル、パス、ラン、キックと高いスキルを持ち合わせる。南アフリカ代表がRWC2023で快進撃を続けるとき、デクラークがその中心にいてほしい。多くの日本のファンがそう願っている。
村上 晃一
ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。
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