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ラグビー コラム 2023年4月20日

南アフリカ代表を動かすプレーメイカーの一人~変幻自在のFBウィリー・ルルー~

“最強ラガーマン”列伝 ~ラグビーW杯2023~ by 村上 晃一
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ラグビーワールドカップ2019 準々決勝 日本 vs. 南アフリカ

2013年より南アフリカ代表(スプリングボクス)でプレーし、キャップ数は83。卓越した判断力でスペースを見つけ、スピーディーな走りと、ステップワークで突破したかと思えば、正確なキックスキルで味方を走らせ、チームを前進させる。マルチスキルを誇る世界屈指のFBだ。2014年にはワールドラグビーの最優秀選手にもノミネートされ、2015年、2019年のラグビーワールドカップ(RWC)に出場。2019年日本大会での世界一に貢献した。2016年に横浜キヤノンイーグルス入りし、イングランドでのプレー後、2020年にトヨタヴェルブリッツに入団。FBだけではなく、SOとしてもその才能をいかんなく発揮している。選出されれば34歳で迎える3度目のRWCにウィリ―・ルルーはどんな気持ちで臨むのだろう。

RWC2023のポイントは初戦。スコットランド戦はマスト・ウィン

――今年のRWCに向かっての目標を聞かせてください。
まずはスプリングボクスに選ばれることです。もしスコッドに入ることができたときは、再び優勝することが目標になります。

――南アフリカ代表の特徴はどんなところにありますか。
違った民族、人種の選手が並ぶという多様性がスプリングボクスのベストを引き出していると思います。プレーの面では強いスクラムを持っていますし、キッキングゲームも得意です。大きく強いFWがいて、シンプルなゲームプランで戦います。全員がクリアに自分の役割を理解しているのが強みですね。

――選出された場合、チームでどんな役割を果たしたいですか。
私自身、ベテラン選手になってきましたし、若い選手がたくさん選ばれることになったら、彼らを助けたいと思います。これまでの経験をチームに伝え、浸透させることが大切です。もし自分がメンバーに選ばれることができたら、南アフリカのファン、そして家族が誇りに思えるようなパフォーマンスを披露したいですね。

――RWC2023の一次リーグでは、アイルランド、スコットランド、トンガ、ルーマニアと同じプールBに入ります。このプールの印象を聞かせてください。
タフなプールですね。どの試合もノックアウトトーナメントのような気持ちで戦うことになるでしょう。初戦のスコットランド戦が非常に大事です。各選手が自分の役割をしっかり理解する必要があるし、マスト・ウィンの試合です。ここで負けると準々決勝への道のりがより険しいものになります。スコットランドは、今年のシックスネーションズでも良い成績を残しています(イングランド、ウエールズ、イタリアに勝利)。タフなゲームになるでしょう。

――世界ランキング1位のアイルランドにはどんな印象を持っていますか。
とても良いチームで、1位になっているのがよく理解できます。しっかりとコーチングを受けていて、スキルの高い選手が揃い、アタック(攻撃)、ディフェンス(防御)すべての局面で強いチームです。対戦が楽しみです。

RWCのスペシャルなゲームと言えば2019年の日本代表戦

ラグビーワールドカップ2019 準々決勝 日本 vs. 南アフリカ

――トヨタヴェルブリッツではSOでもプレーしましたが、南アフリカ代表ではSO、FBのどちらでプレーしたいですか。
スプリングボクスでは、FBでプレーしたいと思っています。ただし、スプリングボクスでもSOがタックルされて、1次攻撃、2次攻撃でいないときなどには、SOに代わってファーストレシーバーになっていますし、SOの横で2人目のレシーバーとしてプレーすることもありました。ヴェルブリッツでSOとしてプレーした経験は自分にとって大きな意味があります。

――ご自身がプレーしたRWCの試合で印象に残っているものはありますか。
スペシャルなゲームと言えば、2019年大会の準々決勝で日本代表と戦ったことです。ホームの観客の声援など、スタジアムの雰囲気も含めてタフな試合でした。前半はタイトな試合で、残り時間20分になってセットピースを上手く使うことできました。それ以外では、やはりファイナルですね。優勝したときは、信じられないような感覚でした。

 

――トヨタヴェルブリッツの一員として戦った今年のリーグワンではあまり良い成績をあげられなかったですね。
接戦を落とすことが多く、トップ4に入ることができませんでした。チームとしては満足できない結果でした。しかし、トヨタはもっと順位を上げて、常にプレーオフでプレーできるチームだと思います。ベストなシーズンとはなりませんでしたが、今後は、みんながハードワークしてトヨタをトップ4入りさせてくれると思います。

――日本のラグビーファンの皆さんにメッセージをお願いします。
いつも皆さんのサポートに感謝しています。リーグワンにはたくさんのスプリングボクスの選手がいますから、日本のファンの皆さんにとっては、スプリングボクスはセカンドチームになるでしょう。今年はとてもタフなRWCになると思いますが、私も楽しみにしていますし、みんなでRWCを楽しみましょう。

いたずらっ子のような微笑みを見せながら、質問に答ええてくれウィリー・ルルー。その天才的なプレーを、リーグワンを見ている日本のファンの皆さんはよく知っている。日本でプレーする選手たちがRWCフランス大会でどんなプレーを見せてくれるのか期待は膨らむばかり。日本の生活をこよなく愛するウィリー・ルルーが世界を驚かせるところも楽しみに待ちたい。

文:村上 晃一
村上晃一

村上 晃一

ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。

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