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ラグビーワールドカップ2019 準決勝 ウェールズvs南アフリカ
南アフリカ代表キャップ66、2019年ワールドラグビー最優秀選手は、2mの長身で献身的に動き続ける好漢だ。ラグビーワールドカップ(RWC)は2015年から2大会に出場。2019年大会ではチーム3度目の世界一に貢献した。2021年9月にトヨタヴェルブリッツに加入し、リーグワン初年度は10試合に先発。今季は15節終了時点で14試合に出場し、攻守に高い数字を記録している。リーグワンが終盤を迎えた第15節前に話を聞いた。
ラグビーワールドカップ2023 特集ページ
南アフリカ代表の強みは、フィジカルの前に周到な準備があること
――今年のRWCでの目標を聞かせてください。
いまはリーグワンのシーズンに集中していますが、その後、南アフリカ代表のスコッドの一員になれたとしたら、準備を始めていきたいと思います。まずは自分自身がベストのコンディションになってチームの勝利に貢献できるように、フィットネスを高め、強い選手になっていきたいと思います。
――南アフリカ代表はどんな強みを持ったチームですか。
ファンやメディアの方々には見えないところですが、よい準備をすることを重視しています。相手チームの分析など、オフフィールドでできることをして、試合中に考えることを減らすようにして、チームの強みであるフィジカルにフォーカスできるようにしています。それ以外で言えば、スクラム、ラインアウトからのモール、ディフェンスで良いプレーができれば2019年のような良い結果につながると思います。
――チームの中でのデュトイ選手の役割を教えてください。
それぞれの選手に役割がありますが、私の役割はチームにモーメンタム(勢い)をもたらすことだと思います。ベストの状態でプレーし、私のキャラクター、Xファクターを出すことができれば、チームにとってプラスになると思います。
――2019年大会と比べて自身が成長した部分はありますか。
フィールドでショートカットすることを覚えました。ショートカットの意味は、スマートにプレーするということです。もちろん、フィールドの中では走り回ってタックルするようなプレーを心掛けていますが、よりスマートに良いポジションに入ることができるようになったと思います。
ラグビーわんだほー!
ピーターステフ・デュトイ(トヨタヴェルブリッツ)インタビュー
――今年の大会では、世界ランキング1位のアイルランドはじめ、スコットランド、トンガ、ルーマニアがいるプールBに入りました。どんな印象を持っていますか。
とても難しい、タフなプールです。どのチームもRWCで優勝できる力を持っていますし、競争の激しいプールです。すべての戦いがファイナルだという気持ちで向き合っていきたいと思っています。
――初戦でぶつかるスコットランド代表には、どんな印象を持っていますか。
スコットランドには南アフリカ出身の選手もいるので、昔のチームメートや知り合いとプレーするような感覚があります。ただ、非常によくコーチングされた才能が集まっているし、オフフィールドでもハードワークするチームです。我々としてはフィジカルだけではなく、メンタルの準備もしっかりしなくてはいけません。初戦ですが、ファイナルを戦うような気持ちで戦いたいです。我々はファイナルステージでどんなパフォーマンスが必要かを分かっていますので、その経験を生かしたいですね。
――世界ランキング1位のアイルランドにはどんな印象を持っていますか。
昨シーズンの終盤に対戦して我々が負けました。そこからの改善と学びにフォーカスすることが大事です。特定の注目選手をあげるのは難しく、全員がまるでマシーンのように役割を理解して動いていますし、プレー、スキルの質も高いチームです。
2019年大会の優勝に関われたことは、人生のハイライト
ラグビーワールドカップ2019 準決勝 ウェールズvs南アフリカ
――2015年、2019年のRWCに出場していますが、思い出に残っているゲームがありますか。
私にとってRWCは特別です。2015年のイングランド大会では、まだ若い時期にスコッドに入ることができて光栄でした。結果的に優勝することはできませんでしたが、良い経験になりました。2019年大会は、南アフリカ代表にとっても私にとっても非常にうまくいった大会でした。ハードワークをした結果ですが、ラグビーキャリアの中で優勝に関われたことは、私の人生のハイライトだと思っています。
――一番印象的なのは、2019年のファイナルですか。
もちろんそうです。私は2019年大会で初めて日本に来たのですが、日本大会全体が素晴らしかったと思います。
――リーグワンでのトヨタヴェルブリッツは、あまり良い結果が残せませんでしたね。
シーズン序盤に残念な結果が続きましたが、終盤にかけて勢いを取り戻すことができました。環境面の変化、自分たちのセットアップに基づくものです。リーグワン自体は昨年に比べてタフな戦いになっています。それは、コーチ陣、プレーヤーのレベルアップ、リーグ内のプロフェッショナリズムの向上だと思います。今後のリーグワンも楽しみにしています。
――では、日本のラグビーファンの皆さんに一言お願いします。
すべてのファンの皆さんに対して、シーズンを通してのサポートに感謝申し上げます。これからもファンの皆さんが誇りに思えるような試合をしていきたいと思います。引き続きサポートをお願いいたします。
試合中の骨惜しみしない動き同様、一つひとつの質問に丁寧に答えてくれる姿が印象的だった。世界ランキング1位のアイルランド、4位南アフリカ、5位スコットランドが入るプールBで、決勝トーナメントに進出できるのは2チームのみ。鉄壁のディフェンスと、スクラム、ラインアウトに強みを持つ南アフリカ代表は、ノックアウト方式の戦いに強い。優勝候補の一角だ。デュトイは、2023年大会でも連覇を狙う南アフリカ代表のFWのキーマンになるだろう。トヨタヴェルブリッツのサポーターだけではなく、日本のラグビーファンにとってその活躍は誇らしいものになるはずだ。
村上 晃一
ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。
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