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リーグワンで笛を吹く2人
「ジャパンラグビー リーグワン」では、今季からリーグの競技レベル向上、国内レフリー技術向上、交流を目的に海外レフリーを招聘。開幕節ではニュージーランド人のレフリー3人(ベン・オキーフ、マイク・フレーザー、アンガス・メイビー)がそれぞれ試合を担当した。
そして、2019年ワールドカップでパネルレフリーだったオーストラリア人のアンガス・ガードナー氏、ニック・ベリー氏が来日し、記者会見を行った。2人はシックスネーションズでレフリーを担当する前に、今週末のリーグワンで笛を吹く。
◆1月22日(日)
・14:00 東芝ブレイブルーパス東京 vs. トヨタヴェルブリッツ(@秩父宮)
※レフリー:ニック・ベリー
・14:30 三菱重工相模原ダイナボアーズ vs. 静岡ブルーレヴズ(@ギオンス)
※レフリー:アンガス・ガードナー
なお、ガードナー レフリーは2019年ワールドカップの日本vs.アイルランドを担当したことで知られており、ベリー レフリーはレッズなどでSH(スクラムハーフ)として活躍した経歴を持つレフリーとして知られている。
会見には2人だけでなく日本ラグビー協会のハイパフォーマンス部門長の岸川剛之氏、ハイパフォーマンス部門レフリーマネージャーの原田隆司氏、そして、ワールドカップなど国際舞台で活躍し、現在は日本ラグビー協会のレフリーのコンサルタントを務めるニュージーランド人のポール・ホニス氏もオンラインで出席した。
岸川部門長
海外レフリーの招聘は昨季から行いたかったが、コロナ禍で呼ぶことができず、今季からの実施になったという。海外レフリーを招いた経緯を岸川部門長は「2019年ワールドカップで、日本のレフリーがピッチに立つことができなかったのが一番の課題」。
「2019年ワールドカップで笛を吹いた2人と何が違うのか、日本のレフリーと交流し、学びやディスカッションできるかが、今回招聘した趣旨です。昨年12月にもビッグネームに来ていただいた。2023年のワールドカップは無理だが、2027年、2031年には立たせたい」と説明した。
原田レフリーマネージャー
また、原田レフリーマネージャーも「(日本人のレフリーにとって)ワールドカップのレフリーが、リーグワンという同じ土俵で笛を吹いているのが、ものすごく大きい。レフリー自身の学びになる。日本代表強化につなげるためにもどういうことが必要か、日本のコーチ、海外のコーチも知ることができ、いろんなことを学ぶことができるいい機会です」と歓迎した。
海外レフリーを実際に招聘したホニス氏は、「2人のレフリーはプロで、リーグワンのレフリーはフルタイムが3人。他はアマチュアで仕事が終わった後、夕方と週末レフリーをしている。一方、オーストラリア、ニュージーランド、欧州もレフリーはプロ化し、そういう環境でレフリングをしている」。
ポール・ホニス氏
「日本のレフリーがどうしたら世界のトップになれるのか。世界のトップから学ぶことがベスト。彼らが培っている洞察、レフリーの仕方、オンフィールド、オフフィールドの過ごし方、プロの姿勢、準備、(レフリーの)パフォーマンス、笛を吹いた後のレビューの仕方、1つ1つを学んでほしい」と話した。
ニック・ベリー レフリー
ベリー レフリーは「リーグワンという素晴らしい大会の一部になれることは、自分たちにとって良い機会です。オーストラリアで、テレビで見る機会があり、数年間で成長している。見ていてエキサイティングで、ボールスピードも突出しており、スキルもついてきている印象です。どのチームもワールドカップクラスの選手がいる魅力がある」と話した。
アンガス・ガードナー レフリー
また、初来日は2010年のサニックスワールドユースだったというガードナー レフリーは「レベルの高い大会なので、非常に楽しみです。リーグワンはオーストラリアで、幸い全試合見ることができます。スピードあり、見応えがあります。ワールドカップクラスの選手がどのチームにもいる。そんな大会でレフリーができて光栄です」と挨拶した。
どうしたら日本のレフリーが世界のトップに肩を並べることができるかと聞かれて、ベリー レフリーは「世界に出て行くことが重要です。ニュージーランドや世界に出て行って、いろんな経験をして学んで、落ち着くことができた」。
「久保(修平)レフリーもスーパーラグビーに参戦して成長した。日本のチームがスーパーラグビーにまた参加してほしい。そうすることで日本のレフリーもレベルアップできると思う。また、今回のコラボレーションで日本のレフリーの一助になればいい。いろんなレフリー間で、コラボレーションを持つことで私達も学び合いたい」と話した。
続いて、ガードナー レフリーは「(私たちが今回参加する)一番のベネフィットは他者から学ぶことです。たくさん日本のレフリーと話すことで、日本のレフリーの成長につながってほしい。いろんな経験、強みを持っている人がいるので、そういう人と話すことで学びが多くなる」。。
「今回は(日本のレフリーに対して)マッチレビューをどうするか、どういった準備をするかを話している。学ぶ機会を提供するのが(私達の)一番の役割です」と語気を強めた。
開幕節を担当したベン・オキーフ氏(ニュージーランド)
原田レフリーマネージャーによると、開幕節に海外レフリーを3人招聘しての印象は「レベルが上がって難しくなっている中で、簡単に吹いている。チーム側からもハッピーなフィードバックしかなかった。頑張らないといけないが、ディシジョンメイキングの正しさと、前もっての声掛けや、どう話すかなどのマネジメントなどが今後の課題となった」と振り返った。
一方、ホニス氏は「日本のレベルアップは確かに前進していて、確実に成長している。開幕節で担当したニュージーランドの3人、ここにいる2人も週末、高いレベル、スタンダード見せてくれるはずですが、その高み、バーは超えられるものだと思います」。
開幕節を担当したアンガス・メイビー氏(ニュージーランド)
「1つ、日本の中で大きな変化があったのは、2年前。トップレフリーは1年間で6~7試合でしたが、今は倍になっています。レフリーは場数、経験、違う環境を得ることによって成長できる。良いものも悪いものも、たくさんの異なるディシジョンメイキングをすれば学びになる。ゲームを重ねれば重ねるほどレフリーの成長になる。ポジティブな変化です」と日本人のレフリーの成長に期待を寄せた。
滑川剛人レフリーは2~3月に行われる「U20シックスネーションズ」に招聘されており、認められていけば、2027年ワールドカップが見えてくるという。早稲田大学3年の古瀬健樹を筆頭に、若いレフリーも育ってきており、8年後、12年後にレフリーとしてワールドカップに立つ可能性がある。また、桑井亜乃レフリーは「香港セブンズ」に呼ばれており、順調に階段を登ればパリ五輪のパネルレフリーの期待がかかる。
日本ラグビー協会、リーグワンでは今後も海外レフリーを招集する方向だが、今後は北半球とも南半球とも日程が被っているため、未定だという。ただ、岸川部門長は「来季以降もリーグワンは日本の最高峰のゲームですので、海外からレフリーを招聘して日本のレフリーの向上に努めていきたい」と話した。
文/写真:斉藤健仁
斉藤 健仁
スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント
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