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埼玉ワイルドナイツ
リーグワン第4節屈指の好カードだ。1月29日(土)、神戸総合運動公園ユニバー記念競技場には、5,198人の観衆が集った。大方の予想は埼玉パナソニックワイルドナイツ有利だった。前節の横浜キヤノンイーグルス戦のパフォーマンスがその理由だ。反応良くスペースを埋めるディフェンス、効率よく得点するアタックはスキがなかった。稲垣啓太、坂手淳史、松田力也、ディラン・ライリーほか日本代表スコッドの選手がずらりと並び、新加入のWTBマリカ・コロインベテのアグレッシブな動きも、すでにチームに馴染んでいる。
一方、コベルコ神戸スティーラーズは、LOトム・フランクリンらFWの海外出身選手に負傷者が多く、BKの要であるCTBリチャード・バックマンが前節の脳震とうで出場できず、主力を欠いていた。ワイルドナイツの快勝を予想する声もあった。ところが、スティーラーズは今季最高のパフォーマンスで常にリードを奪う展開に持ち込んだ。
アーロン・クルーデン
午後2時半、ワイルドナイツボールのキックオフ。CTBディラン・ライリーの好タックルで相手のミスを誘ったワイルドナイツは、スティーラーズ陣10mライン付近のスクラムから右オープンにサインプレーを仕掛ける。SO松田力也は左内側に走り込んだWTBマリカ・コロインベテへパスを放った。これをスティーラーズSOアーロン・クルーデンが狙いすましてインターセプト。そのまま約50mを駆け抜けて先制トライを奪った。
さらに前半10分、スティーラーズは自陣のラインアウトから展開し、バックマンに代わって出場のCTB李承信(り・すんしん)がラインブレイク。ワイルドナイツ陣の右タッチライン際にボールを蹴り込む。コロインベテがボールを生かそうとタッチライン際から内側にパスし、WTB竹山晃暉からもう一度パスをもらおうとしたところで、そのパスをSH日和佐篤がカットしてインゴールへ走り込み連続トライ。劣勢が予想された側の2トライで試合は白熱する。
ジャパンラグビー リーグワン2022 ディビジョン1
【第4節ハイライト】コベルコ神戸スティーラーズ vs. 埼玉ワイルドナイツ
ワイルドナイツは前半21分、竹山がトライをあげたが、スティーラーズは35分にもゴール前のPKからFL橋本大輝キャプテンが速攻でインゴールに飛び込み、24-8とリードを広げる。ワイルドナイツもすぐに反撃。前半終了間際、スクラムで反則を誘うと松田の好タッチキックで得たラインアウトからライリーがトライ。24-15と差を詰めた。効率よくスコアしたワイルドナイツだが、前半だけで反則が9あり、前節の反省点だった規律面は修正できていなかった。また、前節は5本のプレースキックをすべて決めていた松田が不調で、前半だけで1ゴール、2PGを外した。
後半も先にトライしたのはスティーラーズだった。9分、ワイルドナイツのゴールラインに迫ったラインアウトから山中がトライをあげ、31-15とする。しかし、ワイルドナイツは後半に入って反則を減らした。ボールハンターのFLラクラン・ボーシェー、HO堀江翔太ら、次々にフレッシュな選手を投入。流れを引き寄せる。スティーラーズ側から見て痛恨のミスは、ワイルドナイツの反則で得たPKからタッチキックを狙ったクルーデンのキックが直接インゴールに入ってしまったこと。トライチャンスが消え、その直後にもダイレクトタッチでワイルドナイツのラインアウトを与えてしまったことだ。
相手のミスを逃さないのがワイルドナイツの強さ。このラインアウトからも、コロインベテがディフェンスを突破し、竹山がトライして、31-22。スティーラーズもクルーデンの2PGで突き放すが、28分、ワイルドナイツはゴール前のラインアウトモールにコロインベテが参加してトライをあげ、37-27とした。前半は素早く前に出るディフェンスでプレッシャーをかけ続けていたスティーラーズだが、後半20分過ぎからは出足が鈍った。34分、コロインベテがトライして、37-34の3点差となる。
逆転勝利を決めた埼玉ワイルドナイツ
残り時間は6分。ボールをキープして攻めるワイルドナイツに懸命に守るスティーラーズ。息詰まる攻防が続き、残り2分となったところで、スティーラーズのディフェンスラインがオフサイドの反則をとられる。PGを狙って同点か、タッチキックをしてラインアウトからトライを狙うのか。一瞬、松田と堀江が顔を見合わせた。「タッチで行きましょう」と松田。負けても7点差以内のボーナス点「1」は獲得できる。PGを狙って同点にしても勝ち点は「2」だ。トライを狙って勝ち点「4」を獲る判断だった。そして、ラインアウトからのモールで堀江が劇的トライをあげる。まさに「さよならドライビングモール」(J SPORTS実況アナ・谷口廣明さん)。絵にかいたような逆転勝利だった。
プレーヤー・オブ・ザ・マッチの堀江翔太
「ホームの地で勝利を信じて戦いましたが、最後の最後に自分たちの甘さが出ました」と、スティーラーズの橋本キャプテンは自分たちに厳しいコメントをしたが、自信を失う試合ではなかった。FL今村陽良、CTB李承信ら若い選手がタイトな試合を経験できたことは今後の財産だろう。プレーヤー・オブ・ザ・マッチは、堀江翔太。日本代表66キャップ、36歳。日本ラグビーが世界に誇るHOを試合の締めに投入できるのも、ワイルドナイツの懐の深さだ。
文:村上 晃一
村上 晃一
ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。
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