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「前半にターンオーバーを10回され、ペナルティを8回してしまった。ハーフタイムに話したことをリーダーたちが後半に実践してくれたことで挽回できた。特にリザーブのメンバーが入ってゲームの流れを変えてくれたことには満足している」(ジェイミー・ジョセフヘッドコーチ)。後半の日本代表は、ロシアのキック戦法に対応して蹴り返し、エリアを意識しながら試合を進めた。
後半4分、WTB福岡堅樹のトライは出色だった。福岡は自陣で相手のアタックに好タックルを見舞うと、すぐに立ち上がって押し込み、ターンオーバー。そこからの連続攻撃ではFBウィリアム・トゥポウらの好走で攻め込み、最後は、福岡が左タッチライン沿い瞬時の加速で駆け抜けてトライ。松田のゴールも決まって17-22とする。その後は、15分にツイ ヘンドリックが自陣10mライン付近のラックから抜け出し、「ロシア代表が高くタックルしてくるのがわかった」と、タックラーを次々と弾きながらトライ。24-22と逆転した。
しかし、ロシアは交代出場のSOラミル・ガイシンがハイパント、地域をとるロングキックを巧みに蹴り分け、日本代表のディフェンスを翻弄する。19分、HOスタニスラフ・セルスキーがキックパスをキャッチして右コーナーにトライ。再び24-27と逆転されてしまう。このまま流れを持って行かれるかに見えてが、20分にSO田村優が交代出場で入ると、冷静にゲームをコントロール。相手反則で得たPGを確実に決めて同点にすると、32分には、田村が防御背後のスペースにキックを転がし、走り込んだリーチがディフェンダーを弾き飛ばしながらトライ。32-27として勝利を呼び込んだ。
テストマッチの経験豊富な選手たちが流れを引き戻したこと、フラストレーションのたまる試合を勝利で終えることができたのは若い選手にとって何物にも代えがたい経験になっただろう。また、ロシアは来年のRWC開幕戦の相手であり、彼らのプレースタイル、個々の選手の能力を見ることができたのも収穫だった。ほろ苦い勝利を来年の歓喜につなげたい。
村上 晃一
ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。
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