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ラグビー コラム 2018年4月9日

前傾下からつなぎ ~ラグビー用語について~

be rugby ~ラグビーであれ~ by 藤島 大
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外来のラグビー用語を日本語に変換するとオフロードは…

外来のラグビー用語を日本語に変換するとオフロードは…

一時期、早稲田大学ラグビー部のグラウンドに謎の響きが連続した。
トツ。トツ! トツ、意識!
地面に倒れる。ただちに起きる。そのことを意味していた。

トツ。ひとりのフッカーの名、いや愛称に由来する。名字に続けてトツと呼ばれた九州出身の部員は、タックルしてもされても、いつでも、即、起きて、もうどこかへ向けて駆け出した。やがて後輩たちの畏敬の念が、クラブのいわば「符丁」へと昇華する。いつか南アフリカの一級コーチが交流のため指導にあたり、「トツ」の連呼に反応、ゆえんを聞かされ、「プレーの質を人名で表すとは見事な発想」と心動いたらしい。

トツは、いま多くのチームで「リロード」と称される。撃ち終えて、弾をもういっぺんこめる。訳はそうなる。現代ラグビーにおける重要な要素である。強いチームはここの領域を譲らない。また弱者、この言葉がふさわしくないのなら、挑戦者にとっては抵抗の手段でもある。弾を正確に打つのは才能でも、すぐこめるのは意識の高さがあれば可能だからだ。

「オフロード」という用語は、すっかり、なじみとなった。直訳では「負荷を解き放つ」。オーストラリアでラグビーを学んだ知人に聞くと、イメージとしては「飛行機の上の棚から荷物をポッと降ろす感じ」。グラウンドでの意味は、タックルを浴びて、あるいは誘い込んで、自身が倒れるまでにサポートに短くつなぐことだ。

ざっと15年ほど前、本稿筆者がコラムを書いている新聞の編集局宛に読者からのありがたい便りが届いた。東京都内で草の根ラグビーを楽しむ有志からだった。「昨今のラグビーにおける外来語多用は目に余る」という内容がユーモアをたたえた筆致で記されていた。

「このところ出現のオフロード。我々は『ずらし抜き』と呼んでおります」

いいなあ。ずらし抜き。そして思った。1960年から70年代前半、すでに日本式オフロードを自在にこなした名手がいたことを。

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