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ピックアップ コラム 2020年2月19日

「ここで決まる」可能性大、大野将平ら日本代表1番手が五輪代表決めに挑む/グランドスラム・デュッセルドルフ大会

柔×コラム by 古田 英毅
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IJFヨーロッパツアーも終盤戦、2つ目のビッグイベントである柔道グランドスラム・デュッセルドルフ大会の開幕がいよいよ今週末、21日に迫った。この大会の様子はJSPORTSで生中継される。現時点でのエントリー人数はパリを超える実に718名、世界選手権並みの超巨大大会である。

ワールドワイドな視点でエントリーリストを俯瞰すると。階級のレベル自体が高いのはサギ・ムキ(イスラエル)に、政治問題で母国イランを離れたサイード・モラエイ(モンゴル)、そして永瀬貴規と3人の世界王者がAシードを占める81kg級、そして2015年世界王者ガク・ドンハン(韓国)を筆頭に1番手ベカ・グヴィニアシィヴィリとマスターズを制したばかりのラシャ・ベカウリを同時派遣するジョージア勢、さらに無冠の帝王ミハイル・イゴルニコフ(ロシア)にイワン=フェリペ・シルバ=モラレス(キューバ)が揃う90kg級など。

しかし今大会の注目はなんといっても日本勢。この大会直後におそらく、それもかなりの人数の東京五輪代表内定者が誕生するはずだからだ。派遣されているのはいずれも1番手(66kg級の阿部一二三と女子78kg超級の朝比奈沙羅を除く)であり、優勝すればそのまま長かった代表レースに終止符が打たれる可能性が非常に高い。まさに大一番だ。

というわけでどの階級も絶対に見逃せない。短い原稿の中で強いて注目階級を挙げることは非常に難しいのだが、いくつか。

73kg級の大野将平


ハイパフォーマンスの期待という観点で楽しみなのが73kg級の大野将平。求道者タイプの大野はリオデジャネイロ五輪以降試合出場を極端に絞り、自身の柔道自体を練り上げることとピーキングに腐心してきた。現行の制度でトップ選手がこれを実現するには出る大会で全勝必須、相互研究と技術革新のスパンが早い現代柔道の、それもレベルが高い73kg級でこれを実現するには超人的な強さが必要なのだが、大野は2017年をほぼ「全休」しながら、2018年アジア大会金メダル、2019年東京世界選手権金メダルと己の計画通りに勝ちを重ねて着々と五輪代表取りに歩を進めてきた。今大会はその総仕上げ。8月以来試合をせずこの1番にフォーカスしてきた大野のパフォーマンス悪しかろうはずがない。そもそも「大野の試合」を見られること自体がもはや激レア。単に「一本」を獲るに収まらない、「強さ」自体で見るものすべてを吸引するあの圧倒的な存在感をぜひTV画面で堪能してもらいたい。周りを囲む敵も五輪最大の敵になるであろうアン・チャンリン(韓国)にルスタン・オルジョフ(アゼルバイジャン)、天才肌のファビオ・バジーレ(イタリア)などハイレベル、相手にとって不足なし。

男子は、このシリーズで唯一ライバル選手の「敵失」がなかった(パリ大会で永山竜樹が優勝)ハイプレッシャー状態で優勝に挑む60kg級の髙藤直寿、同時派遣されていた1番手選手丸山城志郎が欠場し、それでも優勝するしか生き残る道がない66kg級の阿部一二三、昨年4月からの全勝街道の総仕上げに最強の敵が揃った81kg級の永瀬貴規がミッション達成に挑む。

52kg級・阿部詩


女子は2週間前のパリ大会が豪華すぎたゆえか、全体的に参加者のグレードは一段落ちた印象。その中で大会の最注目トピックと日本人の興味はおそらく一致、52kg級における阿部詩とアモンディーヌ・ブシャー(フランス)の再戦に注目が集まる。19歳の阿部は2017年以降海外勢に全勝、2018年と2019年と世界選手権を連覇したこの階級の新「絶対王者」だが、五輪代表決めのグランドスラム大阪(2019年11月)で阿部に土を着けたのがこのブシャー。プレッシャーで金縛り状態に陥った阿部の動きの重さにつけこみ、左右のクロス組み手を駆使して阿部得意の両袖内股を完全封殺。最後は必殺の肩車一撃で阿部を畳に沈めた。もっか向かうところ敵なしの阿部を五輪で倒し得るライバル誕生なるかどうかは、52kg級の勢力構図全体を揺るがす一大トピック。阿部があっさり弾き返すか、ブシャーの連勝なるか。勝てば五輪代表内定確実というハイプレッシャー下にある阿部が、常のパフォーマンスを発揮できるかどうかも併せて注目したい。

48kg級の渡名喜風南と78kg級の濵田尚里は、阿部同様2番手以降を大きく引き離したまま優勝≒五輪代表内定のミッションに挑む。ダリア・ビロディド(ウクライナ)がエントリーを取り消した48kg級に渡名喜の敵はなし、濵田には足技の巧者マイラ・アギアール(ブラジル)との決戦が待つ。調子上がらぬ63kg級の田代未来と70kg級の新井千鶴は今大会ターゲットとなる大物のエントリーが薄く、あっさり代表を決められる大チャンスが訪れた。

※2月18日時点のエントリーリストをもとに作成しています

文責:古田英毅(eJudo編集長)

古田 英毅

「eJudo」編集長。国内の主要大会はほぼ全てを直接取材、レポートを執筆する。自身も柔道六段でインターハイ出場歴あり。2019年東京世界選手権から、全日本柔道連盟の場内解説者も務める。J SPORTSワールドツアー中継ではデータマンを担当。

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