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野尻智紀は急きょサーキットに戻ってトロフィーを受けとった
52号車陣営は、2人ともまだサーキットに残っていたというが、両者ともに素直に喜んでいる表情はしていなかったと聞く。
実は、今年に入ってから暫定表彰式終了後に結果が変わるケースが非常に多く、特にGT500クラスに関しては第3戦鈴鹿以降、4戦連続で続いている。第4戦富士では2チームがペナルティで後退したことで、当初4位でチェッカーを受けたNo.64 Modulo NSX-GTの伊沢拓也と太田格之進が、雨が降りしきるなか暗くなった表彰台に上がり記念撮影をしていた。
表向きは、一件落着なのだが……果たして、これでいいのだろうか?
おそらく、あの日SUGOに来場したファンや、テレビの前で観戦していた視聴者の中にも、毎回レース後の夜になって結果が覆っていることに対して、何かしらを感じている人は少なからずいるはずだ。
また、こうやって結果が覆ると報道する各メディアでも、パルクフェルメや暫定表彰式で撮影した写真の大半を“お蔵入り”にせざるを得なくなる。こういったところでの悲喜交々したシーンは、そのレースを象徴する1場面でもあるが、それが意味をなさなくなる……それが4戦連続で起きているのだ。
勝つために限界を攻めたが故に起きてしまったことであることは重々理解しているが、それにしても“4戦連続”で起きているというのは、どう考えても異常だと感じる。国内で最も人気が高いモータースポーツとして知られているシリーズだが……仮にこれが今後も同じようなことが続くようと“ファンのSUPER GT離れ”が加速していくのではないかと、心から危惧している。
今一度、シリーズ全体が現状と真剣に向き合い、より良いものにするために対策を打ち出して行かなければならない時なのだろう。
文:吉田 知弘
吉田 知弘
幼少の頃から父親の影響でF1をはじめ国内外のモータースポーツに興味を持ち始め、その魅力を多くの人に伝えるべく、モータースポーツジャーナリストになることを決断。大学卒業後から執筆活動をスタートし、2011年からレース現場での取材を開始。現在ではスーパーGT、スーパーフォーミュラ、スーパー耐久、全日本F3選手権など国内レースを中心に年間20戦以上を現地取材。webメディアを中心にニュース記事やインタビュー記事、コラム等を掲載している。日本モータースポーツ記者会会員。石川県出身 1984年生まれ
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