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モーター スポーツ コラム 2023年4月20日

やはり、自分は仏教徒です~筋斗雲=ミシュラン~

今日も今日とてプッシュ&ルーズ by 高橋 二朗
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天候の変化に翻弄された開幕戦を制した23号車 MOTUL AUTECH Z。

小学生の頃だった。
母に連れられて映画館に行き、孫悟空の映画を見た。正確には題名は「西遊記」。お断りしておきますが、「ドラゴンボール」ではないですからね。ボクが小学生のことには、そのアニメは無かったから。

さて、西遊記で孫悟空は、お釈迦様と術比べをして筋斗雲に乗ってこの世の果てまでブンブンと飛んでいった。しかし、果てと思っていた場所は、お釈迦さまの掌を越えられてはいなかった。西遊記のこの件は、宗教的であって仏教論としての解釈がされていますね。

先週末の岡山国際サーキット。雨に濡れながら目の前を走り去るレーシングの群れをピットから見送りながらなぜか筋斗雲に乗った孫悟空のことを思い浮かべていた。世界最速、最強のツーリングカーという呼び名を恣にしているGT500クラスのマシン群でさえ大自然の力の前には、タフなコンディションを超越する術を知らない。大自然は、お釈迦様なのか。しかし、その手のひらの中であっても、与えられた場として享受するのが重要なのでしょう。ドライバーは孫悟空。マシンは筋斗雲。サーキットは、大自然とお釈迦様の掌。

SUPER GTの開幕戦。予選から決勝まで天候の変化に翻弄された、と帰途の新幹線の中で思いつつ、いつしか疲れから眠りに落ちていた。翌日、時間が経ち、振り返ると、どのようなコンディションであっても挑戦する対象として受け入れ、それを制することを目標とすべきなのだと思い返した。いつでもドライコンディションで走行できるとは限らない。確率では少ないけれど、ウェットコンディションの場合だってある。雨量によっては安全を確保するために走行を中断することもある。今回も3度の赤旗中断。そして予定周回数をクリアーする前に終了。自然の現象は人間にはどうすることもできない。日常の生活とは違う異次元の速さでコーナーを走り去るためにクルマとタイヤを開発し、ドライバーがそれを制御して競い合い、終わりなき挑戦をしているのがモータースポーツ。

【危ないことして・・・】と思うのは、ごもっとも。
でもね。危ないことを安全に行い、感動さえ与えるのがモータースポーツの醍醐味。大自然=お釈迦様の畏敬を損なうことなく、人間の叡智を集結して勝利へ突き進む。
日産のNISMO陣営が勝った。足元を支えたミシュランのレインタイヤは、現状のSUPER GTのレースディレクションを研究&分析した末の武器として、その真価を遺憾無く発揮して勝利へ導いた。開幕戦のミシュランこそ、優勝に欠くことができなかった筋斗雲だった。

文:高橋 二朗

高橋 二朗

高橋 二朗

日本モータースポーツ記者会。 Autosport誌(英)日本特約ライターでもあり、国内外で精力的に取材活動をするモータースポーツジャーナリストの第一人者。1983年からルマン24時間レースを取材。1989年にはインディー500マイルレースで東洋人としては初めてピットリポートを現地から衛星生中継した。J SPORTSで放送のSUPER GTのピットレポーターおよび、GTトークバラエティ「GTV」のメインMCをつとめる。

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