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しかし、最終コーナーを立ち上がった瞬間。37号車は加速しなかった。最後の最後でガス欠の症状にみまわれたのだ。ゴールまで、わずか500m足らずのところで100号車が逆転を果たしトップチェッカー。この瞬間、2020年のGT500チャンピオンは100号車の山本/牧野組が勝ち取った。
そんな100号車もゴール直後にガス欠を示す警告ランプが点灯し、後半の13コーナーでストップ。彼らもガス欠寸前のギリギリのところで戦っていた。まさに壮絶極まりないバトルだった。
レース後、パドックに降りると、そこはまさに「天国と地獄」だった。今季初優勝を飾り、逆転でシリーズチャンピオンを勝ち取った100号車のピットは、言うまでもなく歓喜に包まれ、なかには嬉し涙を流す人の姿もあった。
実はチームのメインスポンサーであるRAYBRIGが来年3月いっぱいでブランドを終了することに伴い、長年にわたって多くのファンに愛されてきたRAYBRIGカラーも、これで見納めとなることが決まっていた。そのラストランで逆転チャンピオンと言う結末に、100号車のピットをはじめ、サーキット中は大きな感動に包まれた。
まさに有終の美を飾ったRAYBRIG NSX-GT
その一方で、残り500mというところでチャンピオンを逃した37号車のピットは……誰も何も言葉を発しようとせず、黙々と撤収作業を進めている光景が広がっていた。
忙しい時間の合間を縫って取材に応じてくれた山田淳監督も、状況を丁寧に説明してくれたが、時より言葉を詰まらせていた。
チェッカー後、力なくメインストレート脇に停車した37号車の平川。マシンから降りてきた彼は、コース横のサービスロードにしゃがみこみ、思い切りガードレールに拳をぶつけた。
“悔しい”と言葉にするのは簡単である。だが、その悔しさの量というのは、当事者である本人にしか絶対に分からないものだ。
レース後、100号車を称えると共に「ライバルがいるから速くなれる。強くなれる。」とSNSに綴った平川
2018年はジェンソン・バトンとの接戦の末、1.6秒届かずチャンピオンを逃した。昨年は最終戦で優勝を果たすもタイトルを争っていてたNo.6 WAKO’S 4CR LC500が2位に入り、再び悔し涙をのんだ。そして今年、チャンピオン獲得まで残り500mというところで、その手からこぼれ落ちてしまった。
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