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モーター スポーツ コラム 2020年12月15日

2020SUPER GT第8戦レビュー|これが今のGT500の“熾烈さ”

モータースポーツコラム by 吉田 知弘
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あの時、平川はどんな想いで拳をぶつけたのか……。考えると、今でも胸が苦しくなる。

今回のレースを観て、おそらく多くの方が「すごい1戦だった」「きっと歴史に残る瞬間だっただろう」「これがレースだ」など、様々な感想を持たれただろう。もしろん、その表現は何ひとつ間違いではない。レースで起こったことを言葉にして伝える立場にある筆者も、通常ならこれらの言葉を選んで記事にしたかもしれない。

しかし、この最終戦、最終ラップを迎えるまで、2台はそれぞれベストを尽くしあって2020シーズンの全8戦を戦ってきた。筆者も毎戦取材をする中で彼らの一喜一憂を今シーズン通して見てきた。それだけに、今回ばかりはそのような言葉で片付けてはいけない“重み”があるように感じている。正直なところ、なんと表現するのが適切なのか、恥ずかしながら今でも答えを見出せていない。

ただひとつ、言えることがあるとすれば……「これが、今のSUPER GT、今のGT500のレース」ということだ。ウェイトハンデなどシーズン中の状況は刻々と変わるにせよ、その中でベストと思える戦略とマシンセッティング、タイヤを用意し、ベストを尽くす。その結果、チャンピオン争いは最終戦までもつれ込み、お互いにガス欠になるまでの激走をみせ、トップの座を奪い合う。その結果、軍配が上がったのが100号車だった。

ある意味で、ドライバー、チーム、マシン、タイヤも含め、極限中の極限まで攻めないと勝利を手にすることができないのが、今のGT500クラスなのかもしれない。

それが具現化されたのが、今回の最終戦だったような気がする。

SUPER GTの凄さ、醍醐味の全てが詰まっていた最終戦だった

すでに水面下では2021年のドライバーズラインナップに関する話も少しずつ聞こえ始めている。その中で毎年聞こえてくるのは、レースペースがチームメイトに対して少しでも遅いと、シート争いからふるい落とされる対象として真っ先に挙げられる。そのシビアさは他のカテゴリーとは比べものにならないくらいだ。日本のみならず世界中にたくさんのレーシングドライバーがいるなかで、現在GT500クラスに参戦できるのは、たった30名。そこに選ばれることはもちろん、その舞台で走り続けるのには常に速さを強さが求められる。その選りすぐりのトップドライバーたちによって、今年はシリーズ史上に残る大激戦が展開された。

改めてSUPER GTというのは世界に誇れるレースなのだということを痛感したのと同時に、そのシリーズが日本で開催され、間近で観ることができるというのは、本当に幸せなことなのかもしれない。来年以降もコロナ禍の影響で何かと制限がつきそうな気配ではあるが、“日本にはこんなにハイレベルなシリーズがある”ということが、少しでも多くの人に伝わり、コロナ禍が過ぎ去って、普段の生活を取り戻せた時に、これまで以上にサーキットの動員数やテレビでの視聴者数が増えればなと思う。

来シーズンも熱い戦いをファンは待っている

それを改めて、強く感じさせられた2020SUPER GT最終戦だった。

文:吉田 知弘

吉田 知弘

吉田 知弘

幼少の頃から父親の影響でF1をはじめ国内外のモータースポーツに興味を持ち始め、その魅力を多くの人に伝えるべく、モータースポーツジャーナリストになることを決断。大学卒業後から執筆活動をスタートし、2011年からレース現場での取材を開始。現在ではスーパーGT、スーパーフォーミュラ、スーパー耐久、全日本F3選手権など国内レースを中心に年間20戦以上を現地取材。webメディアを中心にニュース記事やインタビュー記事、コラム等を掲載している。日本モータースポーツ記者会会員。石川県出身 1984年生まれ

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